ももたまい妄想奮闘記

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キモいオタクが書くももたまい小説

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高校生パロディ!!
全て玉井目線。


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今日は体育祭。
高校の体育祭なんて大したことないと思っていたけれど、うちの高校は小学校の運動会みたいにちゃんとしている。

そんな体育祭も終盤になってきた頃、毎年恒例の借り物競走が始まろうとしてた。

この借り物競走、どうも厄介で…。
椅子だとか、メガネだとか、物もあれば校長先生、1番嫌いな先生、を持ってこいというのだから面倒くさい。

だからクラスから数人だけが選出されて参加するのだけど…。
私の幼馴染み、百田夏菜子は足が速いこともあって今日は競技に出っぱなしだし、この借り物競走にも参加する。
学校でも人気者だし、しょうがない。

「あっ、しおりーん!」

そう名前を呼ぶのはあーりん。

「あれ?あーりんも借り物競走でるの?」
「違う違う、私は係りなんで」
「ははは、だよね」
「夏菜子ちゃん出るんだから、ちゃんと見てなよー?」
「なっ、なんでっ?!」
「ふふーん、そんなの1番しおりんが分かってるくせにぃ〜」

そう言ってあーりんは走り去ってしまった。
もう…確かに夏菜子のことは好きだけど、夏菜子は私のことただの幼馴染みとしてしか見てないし…。

そうして借り物競走が始まった。

重そうに机を持って走る人、教頭先生と走る人、彼女と走る人、全然知らない人と走る人、ラッキーなことに何もなしで走る人、本当に借り物は様々だ。

ついに夏菜子の走る番が来た。
あちゃー、同じ番にサッカー部のエースの男子がいるじゃん。
ま、普通の競走じゃないからどうにでもなるよね。夏菜子が1位取れますように。

乾いたピストルの音が響いて、みんながスタートを切る。
箱の中に入っている紙を取り、各方向に借り物を求めて走り出す走者たち。

「あれっ、百田固まってんぞ」
「ほんとだ、どうしたんだろ」
「変なお題でも引いちまったんじゃねーか?」

うちのクラスの男子たちが言う通り、夏菜子は引いた紙を見つめながら固まっていた。

そんな夏菜子を心配していると、誰かが近づいてきた。

「玉井っ!悪りぃ、一緒に走ってくんねぇ?」

それはあのサッカー部のエースの子で。
なんで?と思っていたら、お題が書かれた紙を見せてきた。

【1番可愛いと思う女子生徒】

その紙を私の後ろにいたクラスメイトたちも覗き込んでくる。

「マジかよ!!」
「やるぅー!」
「さっすが玉ちゃん!」
「いいなー!!」

みんなそろってきゃあきゃあ騒ぎ出した。

「だ、だから一緒に…」

そう言って手を差し出された。

「玉井、行ってあげろよ」
「うんうん!行っちゃいなよ〜!」

はぁ…しょうがないか…。

諦めて借り物になろうとした時、

おおぉぉぉぉぉぉ!!!

と横から歓声が聞こえてきた。

「こっち来たぞ!」
「何借りに来たのかな?!」
「さっき固まってたよなあいつ」
「やっぱり足速いね〜」

私の周りが騒いでいたのも束の間、

「詩織!!!」

聞き慣れたよく通る声で名前を呼ばれて、私はその方を振り向いた。

そこには全速力でこっちに向かって走ってくる夏菜子がいて、私に向かって手を伸ばしてきた。

「一緒に来て!」

伸ばされた手を私は無意識のうちに掴んでいて、ぐいっと引かれて自然と足が前に出る。

「おっ!お目当ては玉井さんか〜」
「だと思った〜」
「ねぇねぇ、夏菜子ちゃんの紙なんて書いてあったのかなぁ?」
「さぁ?なんだろうな」
「あとで聞こーっと」

ちょっと振り向くと、サッカー部のエースは呆然と立ち尽くしていた。

私よりも少し背の低い、大好きな背中を見つめながら走る。揺れる高めのポニーテール。私のことなんてお構いなしに全力疾走だ。

おかげさまで私と夏菜子は無事1位でゴールインした。
肩で息をする。
ドキドキと心臓がうるさい。
それはきっと、夏菜子のスピードに合わせて走ったせいだけじゃない。
大好きな人と手を繋いで走ったからだ。

「夏菜子ちゃん、借り物確認するよ〜」

声をかけてくるのは係りのあーりん。

そうして夏菜子は持っていた紙をゆっくりとあーりんに渡した。
紙を受け取ったあーりんは、紙と夏菜子を交互に眺めて、最後に私と目を合わせながら、

「……へぇ〜〜」

と意味深にニヤニヤした。

「な、なに?あーりん」
「なんでもないよ、はい、返すね」

夏菜子はあーりんから紙を返してもらい、手のひらに握り込んだ。

夏菜子の隣に体育座りをして、

「ねぇ、なんて書いてあったの?」

と、気になった私は夏菜子にそう尋ねた。

夏菜子は少しだけ眉間にシワを寄せたあとに渋々、紙を渡してきた。

くしゃくしゃになった紙を恐る恐る開いて、私は目を見開いた。



【好きな人】



「か、夏菜子…?」

名前を呼ぶけど夏菜子はそっぽを向いたままだ。

「好きな人、って友達としてって感じだよ…ね??」

恐る恐る夏菜子に聞いてみる。

「違う、って言ったら、どうする?」
「……え?」

また乾いたピストルの音が聞こえた。
騒がしいはずの運動会なのに、私と夏菜子だけ違う世界にいるみたいな静かな時間が流れている。

「夏菜子、それって…」

夏菜子が素早く自分のハチマキを取り、私の首に掛けた。そしてそのまま引っ張られてキスをされた。

「かな…こ…?」
「これでもまだ分からないって言うなら、もっとしてあげようか?」
「いや、ちょちょちょ…!」

夏菜子はニヤリとして私の首に掛けたハチマキを取って、また自分に巻き直した。

「詩織」
「な、なに?」
「確かに詩織を借り物にしたけど、誰にももう渡さないから」
「……へ?!」

待って待ってそれって……
夏菜子は私のこの気持ちに気づいてたってこと…?!
でも……いや…

「もう退場でーす!皆さん立ってください!」

そんなあーりんの声が聞こえた方を見ると、目が合ってウィンクとピースサインをされた。

「まっ、まさか…」
「詩織?どうしたの?まだ物足りない?」

なんてニヤニヤしながら聞いてくる夏菜子を横目に、あーりんを睨みつける。

私と夏菜子の悪魔のキューピット。
後でみっちり怒ってやるんだから…。
でも、その前にありがとうって言わなきゃね。