韓国シネマ留学)ソウルで映画のビジネスを学ぶ③ | なりあやの韓国シネマ留学記

なりあやの韓国シネマ留学記

2017年、3度目の韓国留学。
ソウルの大学院で映画を勉強します!

続きです。

公開初日で97万人を動員し「軍艦島」が色々話題になってますが、すみません、マイペースで。

 

シネコン最大手のCGVは配給社最大手CJE&Mの系列

 

2番手ロッテももちろん配給社ロッテエンターテインメントと、

 

MEGABOXはもとは配給社SHOWBOXの系列でしたが、今は中央日報の系列です。

 

ここで配給と上映を同じ系列でやるのは公正でない、と指摘されてるんですが、分離して解決する問題とも思えない…

 

「軍艦島」は、制作、投資、配給、上映のすべてが最大手のCJ系列で、特に問題視されてます。

 

 

公開初日、2027のスクリーンで上映。全国のスクリーン数は2016年のデータで2575。例えば、1つのスクリーンで「軍艦島」を3回、ほかの作品を3回とかいう上映の仕方もあるわけで、単純に2575分の2027というわけではないんですが、それにしても、の数ですよね。

 

総制作費は、純制作費+P&A(Print&Advertisement)なんだそうですが、P&Aは宣伝費かな。この宣伝費が膨らんでるそう。

 

「軍艦島」も、ものすごい宣伝していて、ここまでやったら、スクリーンも押さえられるだろうし、かなり観客数を伸ばせるだろうなと思うわけです。近年、規模が大きいほど投資が集まりやすくなってるのは、そういうことだと思うんですね。映画の中身うんぬんよりも、大規模=宣伝費があるという金の力がものを言ってる気が。

 

わたしの関心はここなわけです。

なんで最近の韓国映画は規模ばっかり大きくなって、内容がそれほどでなくてもヒットしちゃうんだろう、という。その分、中規模の作品ができにくくなっている。多様性がなくなるのが、映画ファンとしては悲しい。

 

来年予定されてるCJの作品はほとんど100億ウォンを超える規模なんだそうです。

 

「軍艦島」が内容的によくないと言ってるわけでなく、むしろわたしは好きだし、おすすめしますが、内容で勝負してるのか、という状況なんですよね。それはCJの責任ではなく、今の構造の問題。

 

この日の先生は、プログラマーとして大事なことをこう言っていました。

もちろん、観客の見たい映画を見たい時間に見られるようにするというのはそうなんですが、劇場がちょっと損をしても、多様性のある映画を上映して、観客に投げかける機能も大切と。観客を育てるという役割。

 

入るからって、どこもかしこも「軍艦島」ばっかりやってたんでは、観客の選ぶ目もなくなるし、ひいては、映画産業全体の地盤沈下につながると、わたしは思うんですね。韓国映画界はそういう局面に来ていると感じます。

 

なんでこういうことが起こってるかというと、フィルムがデジタルとなっていくらでもかけられるようになった。フィルムの頃にはここまでのスクリーン独占は起こりえなかった。

 

むしろ、人気作が上映されてる時には他の作品まで観客数が伸びるという効果まであったのが、今は人気作にあまりにもスクリーンを占められてしまうので、同時期の上映をみんな避けるんだそうです。現に、前週好調だった作品のスクリーンが「軍艦島」公開の影響で激減しました。だからますます人気作をやってる時期にほかに見る作品がない、あるいは時間帯が見にくい時間帯で、ますます人気作の観客数だけが伸びるという現象が起こるんですね。そうすると、以前だったらそこまで入る内容とは思えない作品が1000万人動員できちゃったりするわけです。

 

政権も変わり、何らかのメスが入るんだろうと思われますが、配給と上映を同系列で兼ねられないようにするという方向が予測されてます。兼ねてないSHOWBOXとかMEGABOXが、CJ(CGV)やロッテとどれほど違うのか、わたしにはよく分からない。

 

これは、わたしの案ですが、上映していいスクリーン数を全体のスクリーンの何割とかに制限したらどうでしょう。それでも内容として本当に受けてるなら、長い期間にわたってヒットして観客数を伸ばせるはずですし、そうでなければ、それだけの映画だということで、ほかの映画を見る機会、もっと言うと作る機会につながっていくんではという淡い期待。今のままでは悪循環。

 

ちなみに、この夏の期待作としては公開順に「軍艦島」、「タクシー運転士」、「青年警察」なんですが、「軍艦島」も「タクシー運転士」もテーマが重いということで、意外に「青年警察」がヒットするんではという予想も。

 

ここまでが、昨日の授業のメモ。

今日の分はまた後日~

 

おやすみなさい口笛