貴重な体験談1 | なりの日記

なりの日記

看護師です。阪神大震災後からゆるりクリニックで働いてきてます。第二子妊娠により休職中で子育て真っ最中です。

それは大手術でした。


私が准看護学生だった頃、偶然にも震災直後に脳梗塞で倒れられた方が手術を求めて岡山へ搬送されたと言うことがありました。

その手術とはmca-sta吻合手術といいます。

左浅則頭動脈と左脳大動脈のバイパスを作る手術で、神業を息を呑みながらみさせていただきました。

開頭手術であり、耳の上に浅く走る細さの丁度良い血管をバイパスとして利用するためにまず皮膚表面を剥離し、結紮切除を繰り返したのちその後開頭し梗塞部分野を視覚に確認できるようにして
髪の毛よりも細い少し指と指でテンションをかけただけで切れてしまうような細い糸で血管同士を一周13針縫います。

それは直接裸眼で見るのでもないのに鑷子と鉗子を巧みに操り、慎重に器用に縫い進めて行くという究極の神業。

当時人工脳膜を使い始めて間もない頃で、その脳膜で脳を再び保護し、頭蓋骨をまた三つ葉のような形状のプレートを3点で固定。
そして人体に使用しても可能という接着剤を霧吹きのような状態で吹き付け、術野を閉じるのです。
ドレナージといって、術野に漏れ出た血液や浸出液を外へ出すためのドレーンを残す事で癒着などを防ぐそうです。

その翌日その方の病室に行くと、そのドレーンをぶら下げたまま水を飲んでる姿をみてカルチャーショックを受けました。


この素晴らしい神業に25年近く経った今も魅了され続けています。