ある時、モタード界の人と会話していて、こう言われました。
「モトジムカーナは、速度が低いから怪我すくないものですか?」
とんでもない。
◇本日は、モトジムカーナの怪我とその対策について語ります。
モトジムでなぜ怪我が多いかというと、
おそらく『車体が立っているときの転倒が多いから』というのが一つだと考えます。
サーキットは、基本的にはバンク中の転倒が多いようです。
一方、切り返しの多いモトジムは、その瞬間にこけると、高さがあるため、
速度以上のダメージを受けてしまうようです。
また、切り返しが多いと、『グリップ面』が瞬間瞬間で急変します。
加えて、『パイロン間の加減速』が多く、その意味でもグリップの急変が起きやすいと考えます。
自分が溝なしのツーリングタイヤで、モトジムとサーキットを走った時、
前者のほうが、圧倒的に怖かったです。
サーキットは、一方向にしか流れないので、『一定』なんですよね。
オフロードだって、一方向に流している間は、コントロール下におけると思いますよ。
◇モトジムで多い怪我箇所。
①『肘』
回転や八の字で滑る場合、ほとんどここを打ちます。
ただ、裂傷的ダメージが多く、お風呂でしみる程度で終わることが多いですね。
◆対策
「肘プロテクター」
これは必須です。
たまに白バイがシャツで練習していますが、やめたほうがいいと思います。
「ゴムで巻き付けるタイプのプロテクター」は、ずれることが多く、推奨しません。
オフロードジャージで転んでしまうと、肘が一発でビリビリになってしまうため、このタイプを使うケースがありました。
しかし、最近は、半袖シャツを装飾ジャージとして着ることが主流になりつつありますね。
その点、鎧(コミネSK-674など)は肌に張り付くので有効です。
…が、結局は血が出ている場合が多いです。
思うに、ハードプロテクターは、『衝撃には弱い』
プラスチック部分は、引きずりダメージには有効ですが、衝撃は受け止めないんですよね。
これは、ヘルメットで考えてみたらわかりやすいです。
もし、中のクッションがなければ、叩かれただけで痛いと思いますよ。
結局のところ、衝撃にはクッションの量だと考え、下にソフトプロテクターを入れて二重にしたりしています。
②『手』
肘を打ったら、手も打ちますね。
むしろ、手の方が先につくかもしれません。
掌の底(腹)の部分が、高確率で痛いです。
◆対策
「なし」
レーシンググローブを使用するというのが一案ですが、
モトジムは、"機敏なアクセルワーク"、"ハンドルを持ち替えるなどの動作"があり、
掌にプロテクターがあると邪魔です。
エクストリームでも、なるべく薄いグローブを使用するとのことでした。
「操作性」と「防御性」は、どうしてもトレードオフ関係になってしまいますね。
番外編『指』
手を打つということは、指も打ちます。
案外、大きなケガへ繋がります。
◆対策
「ストレッチ」
意外としてない方が多いんじゃないですか?
③『膝』
ピザピザピザ……ここは?
マ゛ダガス゛カル!!
実は、膝は気づかぬうちに打っています。
転ぶとき、無意識に手が出るように、膝も出ているんです。
結構、青あざになっていることが多いです。
打ちどころが悪いと、靱帯を損傷してしまうなども聞きます。
◆対策
「プロテクター」
はじめたての方で、ジーパン等でやられている方が見受けられますが、
ただちにやめてください!
客観的にみて、100万円を超したバイクに、跨る人間はジーパン…
…ダサイです↓↓
恰好から入りましょう。
たまに
「初心者なのに、すごい装備だと恥ずかしい」「うまくなってから、いい装備を買う」
という意見がありますが、ハッキリ言います…
下手だからいい装備を買うんです。
膝が割れたら、歩けなくなりますよ。
④『腰』
Rなどの高速コーナーで、バンク中にこけると、腰から落ちることがあります。
腰には骨があるので、結構痛むようですよ。
◆対策
「プロテクター、革パン」
革パンは肉厚で、耐スライド性が高いです。
以前、ヤマハのテストライダーの方が、
「サーキットでの転倒は、ドクターヘリか、無傷か」と言ってました。
…まぁ、それは極端としても、"飛んで骨折するか"、"スライドしたときは革ツナギで無傷(無出血)か"、
ということはあり得る話ではないでしょうか。
トランポ組なら、インナーで調整することで、パンチングレザーで通年乗り切れますよ。
また、腰プロテクターはおススメです。
どちらかというと安心感が生まれ、速度を上げられる感覚です。
ただ、パイロンに当たりますが。
⑤『足』
「つま先」や「くるぶし」をバイクに挟まれることが多いようです。
足の怪我はなかなか厄介で、選手生命、ひいては日常生活まで尾を引いてしまうようです。
怪我から復帰しても、同じように力が入らなかったりという話も聞きます。
この怪我がもとで辞めていってしまった仲間もいて、とても悲しい怪我です。
モトジムをしていなければ、怪我することはなかった箇所でしょうから。
◆対策
「ブーツ、作田バンパー」
まず、一番いいブーツを買いましょう。
理由は、「もし高いブーツだったら、怪我していなかったかな…」と思わないためです。
一番高いブーツで怪我をしたら、ある意味あきらめがつきます。
ガエルネ、sidi、アルパインスターズあたりが鉄板ではないでしょうか。
特に前者2つは、日本人型の足形らしいのでおススメです。
ガエルネより、sidiのが軽いです。財布も軽くできます。
ブーツにつま先プロテクト機能は必須として、『くるぶしブレース』も欲しいです。
ツーリングブーツのような、「単にくるぶし部分にプラスチックがあるもの」ではなく、
ちゃんと、『横方向、ねじれ方向に動かないブレース的(ギプス)になっているもの』がいいですよ。
これらを選ぼうとすると、必然的に各社のフラッグシップモデルとなると思います。
エントリーグレードを先に買ってしまうと、結果的には高くついちゃいますよね。
オフロードの世界でも、
「まずブーツを見て、技量を判断する」
なんて言ってる人がいましたね♪
バンパーは、作田バンパーがいいですよ。
VTRだと、プロスマンのものも安価でありますが、強度がモトジムには向きません。
次第に曲がってきて、エンジンに当たってしまいます。
⑥『肩や胸』
ちなみに、僕は、お尻か胸かでいうと、胸派です・・・・・・・・・・・・・・
自分は経験がないのですが、ハイサイドを食らうと、肩や胸を打つことがあるようです。
実は鎖骨って、肩まで延長しているらしく、肩を打つと、鎖骨にダメージを受けるらしいです。
また、胸を打って、肋骨にダメージを受けるというパターンも聞きます。
これらは、「ほっとけば治る」なんて話も聞きますが、見た目に痛そうです。
内臓を損傷することもあるようですよ。
◆対策
「ん~?」
前述のように、プロテクターをつけても、耐衝撃性は低いですから、完全に有効な対策とはいえないのかもしれません。
でも、やっぱり胸プロテクターは大事ですよ。
自走するなら必ずですね♪
ヲタくのセクハラ目線も防げます。
⑦『頭』
モトジムで頭まで打ちつけるケースはあるようです↓
実際自分も、真冬の朝、
ハイグリップタイヤが全く食わず、アクセルターンのようになってしまったとき、投げ出され、頭を打ちました。
◆対策
「ヘルメット」
まあ、被ってない人はいないでしょうw。
個人的には、「ジェットヘル」は危険だと思います。
顎を打ちますし、口を開けて走っているところがバレてしまいます←
また、「トライアルヘル」という手もありますが、
こちらはプラスチック部分が普通のヘルメットより薄くなっています。
加えて、エンジン音を聞きやすくしているので、うるさくて自走では使えないと思います。
この辺は自己責任で。
一方で、重すぎるヘルメットだと、首が疲れますよ。
モトジムは、ひっきりなしに首を振りますからね。
◇ちなみに、なおたんの装備↓
・鎧
・メッシュグローブ
・革パン
・外付け膝プロテクター(二重)
・SIDI ST
中古でも十分なので(どちみちボロボロになる)、
5~7万円で足りると思いますよ。
タイヤ1本にすぎないと考えたら、価値観が変わってきませんか?
◇怪我する人としない人
怪我をするかしないかは、『サプライズであるか』で分かれるのだと思います。
「転ぶ」ってわかっていると、ニーグリップで体が落ちないようにしたり、受け身をとれると考えます。
(仮に受け身の方法を会得しても、受け身をとるまでのリアクションができなければ、受け身は発動できません)
転ぶことがわかるとは、タイヤが滑ることがわかることです。
・・滑るのを知覚していますか?
・・・・転んだ時、どっちのタイヤが滑ったかもわからず、目を丸くしていませんか?
「グリップしないタイヤで滑らせる経験をしてから、ハイグリップを履いたほうがいい。
その前にハイグリップを履くから、限界がわからず、滑った瞬間『怖い』ってなっちゃう。」
このA級選手の言葉、前も書きましたかね。
滑るのを察することができれば、滑らないようにできるかもしれませんし、
滑ってしまっても、受け身などをとれるかもしれませんよ。
もっとも、新幹線から飛び降りて無傷でいれないように、ある程度の速度域以上では『察する力』も無意味でしょう。
だからこそ、その速度域に達する前に、経験しろってことなんでしょうね。