日替わりライテク

日替わりライテク

イチローは、首位打者をとった年ですら、フォームを変えていたそうです。『今年こそ最高のフォームだ』と。それで結果が悪くなるときもあったけれど、後退も成長のためには避けられないと信じていたそうな。ここで書かれたライテクは、そんな感じの、現時点の知識です。

Amebaでブログを始めよう!

ジムカーナの新規が減ってるらしい。

 

一方で、初心者が増えてるという意見もある。

 

そこのところどうなんだろう。

ジムカーナの現状に感じる問題と合わせて検討したい。

 

 

 

 

 

 

◇事務を始めたとき、「ムラだなここ」という意見を聞いた。

 

自分は、今のジムカーナを『限界集落』だと思ってる。

 

ある世代がそのまま高齢化した状態。

5年経てば平均年齢は5歳上がるし、10年経てば10歳上がる。

 

みんなが60歳になったとき、どうなってるんだろう。

 

 

 

◇もし事務村が100人の村だったら。

 

ちょうど、『2021年JAGE大会第1戦』の参加者数が100人だった。

 

A級 17人

B級 13人

C1級 31人

C2級 22人

N級 17人

 

 

 

◆グループ分けしてみる。

自分は、タイムやガチ度などから、以下のように大別できると思ってる。

 

ア) A~B級 30人

イ) C級 53人

ウ) N級 17人

 

 

 

ア) 105%未満のタイムを出せる人は別格だ。マシンからして違う。

B級の方がA級よりタイムがいい場合もあるし、このグループは一まとめにできると思う。

 

イ) C級は近接していると思う。

この段階は技量やマシンに波があって、練習会などでも%が変動する。

シードは降格がなく、一度基準タイムを出せばいいので、この付近にできる差は大きいものではないと思う。

よって、C級は一まとめにできると考える。

 

ウ) Nはどう見ても独立枠だ。

初参加の人から、伸び盛りの人までいる。

 

 

こうして眺めると、C級の層の厚さに気づく。

理由として、

(1) 105%未満の壁が厚く、停滞せざるを得ない

(2) 115%未満には、車種によっては比較的容易になれる

などが考えられる。

 

 

 

◆N級の立ち位置

A~B級は長くやってる人がほとんどだろうから、古参。

C級はボリューム層。

 

では、N級はというと・・・

やはり、ライト層(参加数が少ない)なのではないか。

 

このポジに長居せざるを得ない方もいるが、練習量という点ではライト層に分類されると思う。

 


参加回数が増えるとC級へ昇格する一方、参加回数が減ると卒業になるので、

N級はいつも流動的だと思われる。

 

 

 

◆Nは減っているのか?

3月のDUNLOP大会1戦では43人、6月の事務茶屋杯1戦では46人出場しており、

一見減っているとは思えない。

 

 

では、なぜ急減したのか?

(1) 茶屋杯→(2週間後)J杯→(2週間後)D杯と、に行われた

(2) が降った

 

ことで、回避が生まれた

 

 

・・・と単純に話を終えられない。

というのも、A~C級の参加者数は、同じようには減っていないからだ。

 

 

ここで話が戻る。

やはり、『N級は流動的だ』

 

上では数量的に流動的だと言ったが、ここではモチベ的に流動的ではないかということ。

 

 

「雨だと行きたくない」

 

・・・これは十分、事務の現状を反映していると思われる。

というのも、N級は『大変な思いをしてまで走りたくない』のだろう。

その上、N級は『自走』が多い。

 

一方、シードに上がると、それなりの準備や覚悟、はたまた義務感のようなものが生まれるのかもしれない。

 

「Nとシードの間に、大きなモチベの差があることを明らかにしたのが、この大会だった」

と自分は考える。

 

 

 

 

◇練習会をこれ以上増やしても、人は増えない説

 

「練習する場が無ければ、やる人は生まれない。」

だが、練習会をこれ以上増やしても、新規獲得という点では薄いと考える。

 

・・・というのも、薄々感じているだろうが、「練習会に来る層」はある程度固定だ。

練習会を増やしたところで、彼らがより多く練習するだけだと思われる。

 

 

なぜそうなるかというと、上の話に戻る。

Nは、『モチベ的に流動的で』『大変な思いをしてまで走りたくない』『自走』が多いからだと考える。

 

 

アイドルヲタく時代、「ライブ代4000円は高いのか」論争があった。

ガチ勢にとって、4000円で1日楽しめるならお安いものだ。

一方、ライト層にとって、4000円は小さくない金額だ。

 

事務の場合、この他にも費用がかかり、1日の経費は1万円を超える。

 

 

ハマった側の視点で見てしまうと、

「楽しめる場をより多く作れば、楽しんでくれる人もより増える」

と考えてしまうが、そう単純ではないと自分は考える。

 

大事なのは、

『"ハマってる人"への楽しませ方ではなく、"ハマってない人をハマらせる"楽しませ方』

なんじゃないかなと思ってる。

 

 

シードになるということは、それなりにお金と時間をかけた結果だと思う。

お金と時間をかけている人ほど、よく見かけることになる。

 

"よく見かける人たち"だけで盛り上がってるうちは、末は広がらないと感じる。

"よく見かけない人たち"も巻き込んで盛り上げられる』ことが、次世代への課題だと思う。

 

 

 

◆北関東ローカル

関東の事務は、現状、ほとんど、茨城で行われてる。

ゆえに、「茨城に行ける」人じゃないと残りづらい。

 

仮に、これ以上練習会を増やしても、おそらく茨城だろう。

トミンを使って、名前が異なる練習会が量産されることになるのだろう。

 

 

バイク人口が減っている中、バンパーをつける勢は限られる。

その上で茨城まで来る人は、さらに限定される。

 

そう。

ライト層は、『大変な思いをしてまで走りたくない』『自走』が多いと思われるからだ。

 

トランポ組が増えたのも、茨城まで行く大変さが一つの理由だと思う。

 

 

 

そういえば、サンメドウズ練習会があったころは、もう少し幅広い人材がいたような気がした。

古くは、レインボー埼玉でもやってたらしいので羨ましい。

 

ときに、レインボーを使えなくなった理由、これは中の人から伺った。

まあ、皆さんが想像しているとおりだった。

 

練習会場を増やすことに目を向けるのも大事だが、

練習会場を守ることに配慮できている(た)のかも考えていきたいところ。

 

自分たちだけ楽しんで、後世に残せなければ、結局は未来がないからだ。

 

 

 

◆月2の可処分時間

自分がHMSerだったころ、だいたい練習ペースは月2だった。

1回の経費が1万円超であること、月の休みは週8~9日しかないことを考えれば、そのくらいが一般的だと感じる。

 

練習会を増やしても、「じゃあ月3~4に練習量を増やそう」と、そう簡単にライト層はならない気がする。

 

 

むしろ、キャパの奪い合いになる気がする。

現状でも、「選んで」練習会に参加している人が少なくないと思う。

 

1人あたりでみると、趣味にかけられるお金と時間は有限なので、

そう簡単に定着させられない現実があると思われる。

 

 

(これは地下アイドルもそうだった。

アイドルが増えても、ヲタくは増えなかった。

むしろ、1つあたりの集客が減り、その結果対バンが増えた。

市場を広げることには貢献しなかったのだ。

 

さらに、体は1つ、お財布も1つという中で、その奪い合いになってしまった。

 

どうなったかというと、集客数が分散した分、1人当たりの負担量が増えた。

結局、ガチ勢とライト層の差は、ますます広がった。)

 

 

今までのジムカーナは、「薄い人を濃しよう」というフリカケ増毛スタイルだったように自分は感じる。

だけど、これからは、『薄い人を増やす』という植毛スタイルもありなんじゃないかと思ったりする。

 

 

 

 

◇目に見えない敷居

 

「現状の事務界は、初心者を歓迎していない。

これ以上人が増えても、受け入れられないからだ」

という意見を聞いた。

 

実際、見たことない人を受け入れていない練習会は、まだまだある。

(個人が運営している以上、仕方ない側面はある)

 

練習会は多いのに、練習会にアクセスしづらいのだ。

 

 

その上、練習会は初見殺しなところがある。

まず、自分のレベルで行ってもいいのかという不安があるし、TA練の流れは誰も教えてくれない。

(そもそも、マーシャルってなんだ?)

 

 

これは、大会もそうだ。

参加方法がわかりづらいし、開催するのかもわからなかった。

(これはコロナ禍の特殊事情もある)

そもそも、新着情報が上がったことすら伝わらない。

 

近年、有志がポータルサイトを作ってくれるようになったので、応援したい。

 

 

 

(これまた、地下アイドルの物販に近い。

値札すらなかったりする。

どうするかというと、おまいつのヲタくに聞くんだ。

 

新規は、現場に友達がいないので、勇気がいる。

 

 

一方で、おまいつと仲良くなると、途端に情報の中心にいれる。

地下現場は、1つの大きな界隈に入るか、個人プレイかに分かれる。

界隈で情報を回せば足りるので、外向けに発信する必要がなくなる。

 

情報格差が生まれるから、余計に界隈が強くなる。

運営自体も、情報は界隈に伝えればいいとなる。

小規模な運営が多く、省エネ体質なのだ)

 

 

 

◆アンリトンルール

MLBでは、不文律がある。

大量リードしている時に、セーフティバンドをすると、デッドボールを浴びせられるというものだ。

 

事務のレギュレーションも、長年そうやってきたようだ。

つまり、見知ったアマチュアの集まりのなかで、明確化を必要としてこなかったようだ。

 

だが、これは事務が、世間に向けてモータースポーツを名乗るなら、変えていくべきだと思う。

"見知ってない人たち"にいかに目を向けるかだ』というのが、再三の私の主張だ。

 

その点、そういう傾向になってきたようで応援したい。

 

(そういえば、ナップス杯でモトジムに興味を持った人は、多いらしい)

 

 

 

 

◇多様性を認める

 

近年、世界が持つ課題だと思うが、事務も例外ではないと思う。

 

 

「ハマったら自然とカネ使うようになるんだから、

初心者にいきなり、『この世界はカネ次第だ』とか言わなきゃいいのに…」

 

↑この言葉を聞いたとき、その通りだと思った。

 

 

そもそも初心者…すなわち120%を超える人たちが、いきなり105%未満を目指すだろうか?

いきなり15秒短縮を目指すだろうか?

 

モタスポをやっている人ならわかるが、1秒削るだけで大変だ。

だから、目の前の"0,何秒"の積み重ねで、何とかよりよいタイムを目指す。

 

初心者が結果を出すには、本来は時間がかかるハズだ。

そういった人たちに、もっと寛容力をもって接したいところだ。

 

 

自分も20代で始めた頃、「タイヤ変えたら」「トランポ買ったら」と多く言われた。

(これはマウントではなく、純粋なアドバイスだったと思うので、忌避していたわけでもないが。)

 

事務の良さは、サーキットと違い、初期投資が少なく自分のバイクで気軽に始められる点だと思ってる。

 

 

運営も危惧しているらしいが、その原点が崩れだしている…

…いや、ライト層は崩れていないと思う。

常連の価値観=事務村の価値観になってしまった結果なのではないだろうか。

 

 

自分の場合、

はじめてのバイクを買う(VTR)→安全意識に芽生える→ライテクを学ぶ→モタスポもやろう

となったから、バイクを四輪に乗せて運ぶというのは、やはりできない。

 

それでC級止まりだったとしても、それでいいのではないかと思っている。

 

 

個人が目指すものは、人それぞれなので、それを尊重する姿勢が大事なのではないだろうか。

 

とりわけ事務は、エントリーユーザーもそこそこ年を重ねているパターンが多い。

その中で、いわば即戦力的な結果を求めすぎているように、自分は感じる。

 

しかし、僕が自転車競技を高校生で始めた時、詳しい人ほどハイエンドな投資は勧めなかった。

 

なぜかというと、ハイエンド品の目的を理解していないし、必要ではないことがわかっていたからだ。

 

 

(ヲタくの世界でも、短期で入れ込んでる人ほど、燃え尽きも早かった。

「生誕他界」ってやつ。「ヲタく1年半説」をいう人もいた。)

 

 

そういえば、ある日、韓国のタイヤを履いていたキング氏が、こう言っていた。

「安いタイヤでもできることを証明しないと、若者が始めてくれないからサ」

 

同じく古参のSAITさんも、こう言ってくれた。

「みんなカネカネいうけどさ、それぞれの生活に合った楽しみ方でいいんじゃない? 

だって、カネとかいうその人が、そのカネを出してくれるわけじゃないじゃん」

 

 

仲良かった同世代の事務屋さんは、ほぼ消えた。

消えた分だけ入ってきているならまだしも。

 

今、20代の事務屋さんって、何人いるんでしょうか。

 

 

 

 

◇むすび

 

大会にも出たことないNOが、こんなこというのウザかったですかね?

 

ただ、考えていただきたいのは、

『これからの事を話すなら、これからの人も含めて話さないとダメ』

なんじゃないかということです。

 

これは、どんな世界にもあてはまる話ですよね。

 

限界集落で、おじいちゃんたちだけで、「この村の少子化をどうするか」と考えている姿を想像してみてください。

 

 

 

そういえば、亡くなったスティーブジョブズがこんな言葉を遺したらしいです。

「死は生命最大の発明。世代交代は進化を促す。」

 

 

 

ちなみに、僕は普段ジムカーナのことを、『モトジムカーナ』と呼んでいます。

この記事で、あえて「ジムカーナ」という言葉を使ったのは、そこに意味を込めたからです。