僕はシャープ、トイプードル、白とクリーム系の毛並みの8歳。保護犬なんだ。

今のご主人のところに来たのは、1年前の9月。

そのころ、僕は、保護犬カフェで、来る日も来る日も、カフェに来るお客様の相手で、時々いやになって、つかまらないようにずっと歩き回っていたんだ。

そんなある日、もうカフェを閉める時間が近いので、スタッフが来ている服を脱がせ始めたころ、今のご主人様夫婦がやってきたんだ。

他のみんなは、くたびれてみんな座っていたのだけど、僕は、まだつかまらないように、歩き回っていたんだ。

「あの子がいいわ、こんな時間なのに、元気に歩き回っているから、元気よね、元気な子がいいわ」と言って僕を指さしたんだ。

僕は「えっ?」って感じだった。

ご主人の方は、「もう少し考えようよ」というから、翌日来ることになったみたい。

 翌日いつものようにスタッフのお姉さんたちが来て、

お掃除をして、お散歩に連れ出してもらい、ごはんを食べて、体をきれいにして、服を着て、背中に名前を書いてもらい、お客様を迎える準備をした。

 僕はいつもご飯だけでは足りなくて、お客様がおやつ を買ってくれると、真っ先に頂きに行くんだ。この日も、誰かおやつを買ってくれる人はいないか、待っていたら、

昨日のご主人様夫婦が息子さんを連れてきた。

 僕の大好きなスタッフのHさんが、僕を抱きかかえて、そのご夫婦のところに連れてきた。どうやら、僕はもらわれる、ここを卒業するらしい。

おうちの子になれる、好きなだけごはんとおやつが食べれるかもしれない。

そう考えると、嬉しくなり、「いい子にしてなきゃ」とじっとそばでおとなしくしていた。

仲間のポメラニアンの「クロちゃん」や同じトイプードルの富蔵君が仕切りにアピールに来ている。アピールして気に入られれば、ここを卒業できると分かっているから。

奥さんが「クロちゃんもいいわね、なついてくれるから、クロちゃんにしようかしら?」と言い出した。

でもご主人が「いやこの子がいいよ、スタッフに対する態度がいいから」と強く推してくれた。「じゃあクロちゃんと2匹もらおうかしら」と奥様が言ったが、スタッフのHさんが、

「この子は1匹だけの方が良いと思います」と言ってくれた。

正直僕もそのほうが良かった。もうご飯を横取りされるのはまっぴらだ。よくわかってくれている。

 それで、僕は1匹で、今のご主人様のところに来ることになった。

ご主人様の奥様は、介護事業所を経営していて、毎日僕は、奥様と、一緒に事業所に出勤している。この介護事業所はヘルパーさんと呼ばれる人たちと、ケアマネさんと呼ばれる人たちが働いている。皆出たり入ったりを繰り返しているが、僕は、いつも勝手口のそばに居場所を作ってもらったので、ヘルパーさんやケアマネさんがで入りするたびに、声をかけてくれる。

「シャープちゃん」と何度も呼ばれ、振り向くまで呼ばれるのでみんなを覚えるのに大変だ。

僕の介護事業所の人たちとの日々が始まった。