【玉ノ井親方 視点】

“例外”大きくて器用な琴櫻 

さらなる安定感へ課題は上手の取り方

<大相撲名古屋場所9日目>

平戸海(左)を

押し出しで下す琴櫻




<大相撲名古屋場所>

◇九日目◇

(2024年7月22日)

ドルフィンズアリーナ




 体が大きい力士は器用さに欠けるところがあるが、琴櫻は例外。長い手足をうまく使って取ることができるタイプだ。


 立ち合いで当たった後に平戸海に左前まわしを許したが、右をのぞかせ巨体を生かして出足を食い止めた。そこから腰を下ろして右下手を取った。腰高を指摘されることが多い琴櫻だが、このあたりの対応力は非凡。自分の欠点を自覚しているからこそすぐに重心を低くすることができたのだろう。丸太のような右で下手を引き、平戸海の戦意をそぐように押し出した。


 差してから前に出る型を完成させつつある大関だが、課題は上手の取り方。まわしを取る位置が深いため投げが決まらない。参考になるのは照ノ富士の相撲。上手が浅く下に叩きつけるように投げを打つ。そういう横綱の取り口を勉強して、技の引き出しを増やせば安定感はさらに増す。

 

(元大関・栃東