山本 幸久
渋谷に里帰り

山本さんらしいほのぼのとしたお話でした。

うーん。ほのぼの過ぎて物足りないかなあ。

題材は悪くないのになあ。主人公のインパクトもイマイチ足りないよなあ。まあ、そういうキャラ設定ではあるのですが…。

題名はインパクトありますよね。

渋谷生まれで小学生までをそこで過ごしたって、すごい都会的な気がしますが。

この主人公、渋谷を出て以来そこを鬼門と避けて過ごします。

「裏切り者─── 」

同級生のくるみちゃんが、渋谷を離れていく(住まいとして)人間が増えていく中、そういう人達のことを「裏切り者」と呼んでいた声が二十年経ってもなお、彼の耳には残っています。彼も家の事情で渋谷を出ることとなります。同級生にそのことを告げないままに。「裏切り者」と面と向かって言われるのが怖かったからです。彼は小学生だったわけだし、全然責められるいわれはないんですけどね。

学歴・男女差別のある社会で働く女性の苦悩をさらりと書いたり、食品卸し業界の様子もわかりやすく、うまいなあと思うのに、焦点が絞りきれてないからでしょうか、うーん、イマひとつ盛り上がりませんでした。あっさりしすぎてましたかね。もう少し大きな事件、波みたいなものがあってもよかったような気がします。