バンドのメンバーはバイト

あたしはイベントやテレビ局、ラジオ局をあたる


夕ご飯はバンドメンバーとあたしと弟

みんなで家族のように食べるのがお決まりとなった


食事を作るのは、あたしだ


社長からメールが届いた「事務所に来い」


事務所に行くと、「SNSを見たか?」


社長に言われ皆 携帯を見た


先日の公園ライブの動画が投稿されていた


社長もビックリした様子だった


いい歌

イケメンバンド

感動した

また聴きたい


フリンジは楽曲が少ないので、初のアルバム制作を始めるという社長の宣言に、メンバー1人1人が持ち寄った曲でアルバム制作に入った


地下室のような事務所と練習室に、バイト以外の時間

まるで缶詰のようにそこにいた


「姉さんは帰って寝なよ」

疲れているくせに弟は、あたしを練習室から連れ出して家に送ってくれた


「かなた いい曲作ってね」


「おぅ まかしとけ!」


そう言って、あたしの頭をポンポンって、、、

まるで子どものような気持ちになった


あたし達の家は坂道を登ったところにある

坂を足早に 手を振りながら行く弟は


「いつの間にか大人っぽくなってきたなぁ」


街灯に照らされながら歩く弟の姿が見えなくなるまで


ずっと見ていた