『哲学』と言うとどうしても、頭でっかちなイメージが先行する。
しかし、著者は実践、行動こそがその神髄と言い放つ。
タイプ分けすれば、実存主義者ということになるようだが、知識としてではなく、自分自身が良く生きていくためにはどう行動したら良いのかの一点を問い続けている。
それは、何かをするために生まれてきたわけではなく、生まれてきた幸運を噛みしめ、自分自身どう生きれば、死ぬまで人生を楽しめるかと言う考えで、寺山修司の言葉「書を捨てよ、町に出よ」の源泉に通じるように思う。
構成は、対話式になっていて平易でスッと読み進められるが、「ソフィーの世界」のように哲学の歴史をそのまま順を追っているわけではなくとも、哲学の深化を想像できるようになっていて、哲学初心者はもちろん、少しかじったものにも改めて考えが整理できて有難い。
「アイドルが哲学なんて」と考えているものにこそ、読んでもらいたい一冊だ。
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