帰ってきた天下一舞踏会と13年前の夜のお話 | Grayhounds・ナオキvsボランドールの28回目の神経衰弱



お久しぶりね。ボランドールよ。
今回は超長文。
長くバンドをやってると「印象に残る夜」ってゆうのがあるのよ。
これはその中の一つのお話。
お付き合いくださればと。



むかーしむかし、そう、あれはまだ我々が100均の化粧品でお化粧を覚える前のこと…

2007年の7月に処女公演を果たし、旗揚げしたボランドール劇団は当時、横浜の「B.Bストリート」と「7thアベニュー」という小劇場を根城に活動していた。

この話はその翌年の2008年の春、公演の回数もそろそろ第10回公演を迎えようかとしていた頃、まだまだ自分達の公演のひとつひとつが手探りの中、試行錯誤を重ねていた頃だったと思う。
いまも手探りなのは変わらないが…。

我々が化粧を解禁した…いや覚えた…のはこの話の一月後くらいだから、本当にもう化粧をする直前のお話。

その日は「B.Bストリート」での公演であった。
わたくしはいつものように馬車でフランスの自宅の城からシャンゼリゼ通りを抜けて、もうすぐ収穫を迎える葡萄畑から吹いてくるほのかな葡萄の香りを浴びながら横浜方面へ向かって行った………………くらいまで書けば多少リアリティが出てくるかしらね…。

とにかく、その日は「B.Bストリート」での公演だった。我々の布陣はギターはおそらく初代ギタリストのサルバトーレ、太鼓はこれまた初代のジャック…だった…と思う…わ。

現場に到着し、その日もリハーサルを終え、我々は出番まで各々、横浜の街をふらふらしたり…したのかしら…?何をしてたんだか定かで無い。
なにぶん、今から13年も前のお話なのでほとんどの記憶が曖昧なのはお許し願いたい…………ただ一つの記憶を除いては…。

そんなこんなでその日のセットリストはもちろん、出来なんぞも全く覚えて無いが、我々の出番も終わり、その日の最後のバンドの出演時間になった。

我々はそのバンドを見た途端、一気に魅了されることになる…いや、正確にはバンドにではなく、そのバンドのギタリストに…。

そのバンドはまとまったサウンド、コンセプチュアルな衣装、ボーカルの方のカリスマ性やステージ演出など、さすがと思わされる要素が多様に詰まったとても良いバンドだったのだが、ギタリストの女の子がもうなんというか別格に凄すぎるのだ。

その子はわたくしの赤いギターと色違いのシルバースパークルのグレッチで小柄で可愛らしいルックスからは想像しづらい攻撃的、かつ的確なギタープレイと、振り付けなども入った愛らしいステージングで物凄い存在感を放ちながら次々と曲を演奏していった。


それは本当にもう会場にいる全員が彼女しか見てないんじゃないか?というくらいの空間掌握っぷりで、「衝撃」と言うほかなかった。


実際、そのバンドのボーカルさんも冗談混じりに「みんなギターばっかり見てるんじゃねぇよ!」とMC中に言っていたくらいだ。
そのライブハウスの空間全て「彼女のモノ」なのだ。
もう一度言うがそのバンドは良いバンドなのだ…ただ…彼女の魅力が凄すぎるのだ。
とにかく信じがたい「華」があった…。

ご多分に漏れず我々もその彼女の手のひらの中にいた…。
気づけば、オスカーと二人してカリオストロの城の時の五右衛門のごとく、


「か、可憐だ……………」


自然とそう…つぶやいていた…。


わたくしは銭形警部に指摘されるまでもなく心を盗まれ、ステージを観覧しながらボンヤリと、「ああ、おそらくここまで圧倒的な華と実力がある方が我々が行けるかもわからない、ひとつ、ふたつ上のステージへ駆け上がって行くのだろうなー」とやけに冷静に思ったのをよく覚えている…。

ステージ後にほんの少しだけ「ギター同じですね」くらいの会話をしてもらったような記憶とその後、彼女のブログで対バンに私と色違いのギターの人がいた、と書いてもらった記憶がうっすらとある。
今ならそのバンドに「また対バンしてください」などと交流してもらうこともできるが、当時の我々にはそんな自信も術も無かった…。

それから、やはり彼女はいろいろなバンドを渡り歩き、その世界では名の知れた方のサポートやCD制作などで活動し、大会場の舞台を踏んだり、幾多の雑誌に載ったりと多方面で活躍をされて、2017年からはソロでも2枚のCDを発売してまさに充実した音楽活躍をされている。

その方のお名前は


菊池ともかさん



今回、ボランドール劇団は町田プレイハウスより無観客配信ワンマン公演をさせていただけることになった。

このご時世で配信ライブなどで再び少しだけ菊池さんと接点を持たせていただき、おそらく無理だろうけど聞いてみるだけ聞いてみようと思い、今回の配信公演にゲストでギターを弾いていただけないでしょうかと願いしてみたところ、まさかのやっていただけるというお答えを頂いてしまったのです……………。


人には人生で「本当…言ってみるもんだなぁ…」という瞬間が三度だけくると言う…。
わたくしはその人生に訪れる3回のうちの一回を今回使わせてもらえたようです…。


13年の時を経て、わたくしがあの頃と変わらず彼女の手のひらの中なのか、手のひらから抜け出し、対等に渡り合えるのか…目撃していただきたいと存じます。







2021年7月9日金曜日
町田ThePlayHouse

“帰ってきた!第九回天下一舞踏会”
ボランドール劇団 無観客配信公演

出演:ボランドール劇団
サポートドラマー:ピーター
ゲストギタリスト:菊池ともか

配信開始 20時〜
二部構成
一部 アコースティック公演
二部 バンド公演

配信チケット ¥2,000
【配信チケット購入URL】
https://theplayhouse.jp/events/4591

生配信終了後も配信チケットはご購入いただけ
アーカイブをご覧いただくことができます。
生で観れない方も是非ご購入ください。

配信チケット販売期間:2021年7月16日22:00まで販売
アーカイブ期間:2021年7月16日23:59までご覧いただけます。

皆様のお気持ちを投銭いただけますと幸いです。
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