彼の名前は『キル』


14年間、家族に無償の愛と温かさをくれた私の永遠の家族である




出会いは小学3年生の時


どこからでも生き物を連れて帰る私が
『イヌを飼いたい』


そんな一言から増えた家族です。


名前の由来は兄の一言


番犬として
悪い者が来た時に『噛みコロス(kill you)』からのなんとも言えない卑猥なところから取った名前だ


だが、そんな名前とは裏腹に身体はとても小さく
とても人懐っこい

 

中学に上がり、遊びを覚えた私は度々家に帰らない事も多かった


ただ、彼のスペックは
家の近くに家族が来るとテレパシーを感じたかのように吠える


そして、何十秒後にドアノブの音がする


良く、これで夜遊び帰りが親にバレたもんです汗


私達家族はバラバラで共に過ごす時間が少なかった


関係性は少し冷め切った状態でした


会話も少なく、顔合わせも少ない


そんな家族をもう一度繋いでくれたのである。


大学に進学し、家を離れて会う回数も更に減った


時々実家に帰り
カギ穴にカギを入れると
またいつも通りのあの声が聞こえる


あぁ、元気やな
なんて思ってました



散歩に行く回数も少なく
遊んであげる時間も少なかった



思い返せば、寂しい思いをさせていたであろうと
時々胸が苦しくなる



だがしかし、どんな時も尻尾を振って
必ず寄ってくる



彼がくれたこの無償の愛はとても大きい



人は見返りを求めたり
報復をすることもあるのに


彼はいつどんな時も
家族を温かく迎えてくれるのである


たかが動物と言ってしまえば
そうなのかもしれない


よく、ペットの前で赤ちゃん言葉になってしまうアホヅラかました大人も多い(愛犬家の方失礼しました)


私はどちらかと言うと
そのような愛犬家とは
決して言えない方ですが


彼がこの世を去った時に自然と溢れるモノがあったのです。


それは愛だけでは無く
家族の絆や
言葉では表せない数々の物語があったからなのです


そして、彼が息を引き取った日の事も鮮明に覚えている


たまたま実家に泊まり同じ寝床で寝た
次の日の朝
ドッグフードを入れようとすると
いつものように興奮して走り、飛び跳ねる


そして、いつものように凄い速さで食べきる


そして、すぐに寝ていた


人間みたいやなあ
なんて思っていた


そして、帰ろうとした時に


その時が来てしまったのである、、、


いつも、足音を立てると必ず起き出し
こちらに向かってくる


何故かその日は起きてこない


「????」


咄嗟に何かがおかしいと感じた


触ると、身体が少し冷たなっていてカタイ


私はすぐに抱きかかえ、反応をさせた


だが、最後に口を大きくあくびのように
一度だけ開け
息を引き取った。


思い返せば
私に何かを伝えるくれているかのように感じた


そうして、久しく会った私に本当のお別れを告げた


そのタイミングもまた
彼のまた得意なテレパシーを感じたのか
この会う日を待っていてくれたかのようであったから
感慨深かったのです。


彼は生涯病気一つかからず
元気なまま、そして苦しまず
ピンピンコロリと
14年間の生涯に幕を閉じたのである


この家での生活は天国のような場所とは程遠かったでしょう
だが、彼の行く場所は間違いなく天国であろう


だって、彼がくれた贈り物は
我々家族の心に
永遠の愛を刻み込んでくれたからである


私は彼の命日2月4日には
必ず
仏壇にある遺骨と写真の前に
もう使う事の無いあのお皿に
ドックフードを入れ
線香を焚く



決して彼を忘れてしまわぬようにと