自分の中の好きな映画ベストは、大学生までは、魔女の宅急便とティファニーで朝食をだった。
ティファニーの方は、もちろんオードリーヘプバーンの美しさにも惹かれたことは確かだが、最も重要なのは、この映画に使われている曲、ムーンリバーである。
元気のない時に魔女の宅急便のキキのがんばりを見ると、こんな13歳の女の子に負けてられないなぁと思う。
落ち込むこともあるけれど、この街が好きだという、両親への手紙。20回位見たが、何回でも泣ける。
大学2年の時に見たダンサーインザダークには衝撃を受けた。ビョークも知らなかった私が、映画ってすごいと思ったきっかけになった作品だ。
京都から遊びに来た親友と、一つ上の恋人と私の部屋で見たその映画は二人からだいひんしゅくをかった。
ちょっとまずかったな、と二人の前で苦笑いを浮かべたが、後々いや、こういうものが見たいんだ私は、と気がついたのである。
戦場のピアニストTHE PIANISTを初めて見たのはいつだろう。大学を卒業する前か、したすぐ後。社会人になって泣きたくなると、実際泣いていたが、この映画を借りて、何回も見た。
この時に、はじめて、邦題というものの存在にきづいたはずだ。フランス語を習い始めたこともあって、語学に少し興味が湧いたのである。邦画の題名ってセンスないな、と思った。THE PIANISTってかっこいい、と。
けれど今ならわかる。THE PIANISTでは日本人は見ない。平和ボケしていてユダヤ教にうとい日本人にはなんのインパクトもないんだろうな。センスなんかよりも映画を見てほしいのだ。
25歳を過ぎると気に入った作品の原題を調べるようになった。私はどうやら音楽の映画が割と好きなようだ。題名つながりで言うと、僕のピアノコンチェルトという大好きな作品に至っては、原題は、VITOS。主人公の名前だけだったのである。日本でもおしん、というドラマもあるくらいだから邦画なら受け入れられないことはなさそうだ。
そして三十路前。ハリウッド映画もたまに見て、爆発やカーチェイスを楽しむものの、二度は見たくない。ストロベリーナイツのような、王道?でそこまで面白くもないのだが、ノラジョーンズの歌声とあの、全体の映像の色あいは忘れられない。私の好きな色達が全部使われたかんじ。もちろんジュードロウも素敵だけれど。
大学を卒業してしばらくして、大人になってからフランス映画にもはまった。はまっていなかった大学2年の頃に見たのは、アメリ。これは三つ上のオシャレな女の先輩が見ていた影響だ。いけ好かなくて嫌いな先輩だったが、ボーイッシュで細くて美しかった。憧れていたのだろう。このころはアメリのよさはわからなかったものの、トイレの壁を復元可能なまま赤くしたり、インテリアに興味をもったきっかけでもあった。その後インテリア関係の会社でも働くことになった。
社会人になって会社をやめて、無職中に見たガレル監督の恋人たちの失われた革命。これを写真美術館の上映で見たときには本当にウットリした。もう一つ好きな映画、勝手にしやがれと似たうっとりさ。今書いていてまた見たくなってきた。このフランス映画で、私はルイガレルという俳優を好きになり、今まさにベスト映画、call me by your name に出てくる主人公の女友達が彼の妹だと知り、映画のつながりを感じた。外国人の異性の俳優で好きなのは彼くらいだ。ブラッドピットなど好きになったことはない…。
ちなみに恋人たちの失われた革命は、原題は、Les Amants réguliers
失われたってなんだ?という私はやはり国語能力が低いのだろうな。センター試験で大失敗している。しかし山田詠美先生が、センターの答えは間違っていると言っていたから、日本の国語能力はあてにしないでおこう。うん、そうしよう。
三十路をこえて、今一番好きな監督はカナダ出身のグザヴィエドラン監督!どの作品も私の気持ちを代弁してくれるようなものばかり…キャストも全員好き。映像もすごく好き!ビビットで繊細で…書いてたらまた見たくなってきた…!
そして近年、リリーのすべて、ブルックリンの二つもベスト上位映画に食い込んできた。フェイスブックをしていないのに、ソーシャルネットワークもわりと面白かった。ララランドも陳腐なストーリーだが、好きだ。冒頭のダンスシーンが一番好きだ。そこばかりDVDを借りたらば繰り返し見ていた…。と、結構ハリウッドにも寛容になってきたみたいだ。
やっと本題にたどり着くことができた。2019年までの、人生ナンバーワン映画は、call me by your nameである。まさか戦場のピアニストを抜く映画が存在するとは昔の自分は予想していなかった。見れば見るほど味が出て、小説版も英語版と日本語版を購入して楽しんでいる。まず題名である。邦題もそのままで嬉しい。君の名前で僕をよんで。なんだそれは。最初からもうすごい。どういう事?である。映画を見て納得。愛の言葉だったのである。
読書をしていてこの文章が本当に好きという文章ナンバーワンは、川端康成の、雪国の冒頭である。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
ここを読むだけで泣けてくる。こんな文章を書いてみたいものだなぁ、と思う。
これに次ぐ美しい文言が、call me by your nameになった。誰にも理解されなくてもいい。これが私の好きなタイプの文なのだ!
この映画でいかに感動したか、いかに何回も見たくなるか、音楽の素晴らしさ!を書きたかったのだが、前説が長くなりすぎてもう満足してしまった。この映画の題名もしかり、音楽も最高にいい。坂本龍一の音楽に始まり、ステファンスティーヴンスの歌!!こんなに音楽にマッチしていて切ない曲はないと思う。ムーンリバーごめんなさい。あなたはお手本ですが、お手本にしかなりえませんでした。そういう気持ち。
今手持ちのDVDはTHEPIANISTと、魔女の宅急便だけだが、おそらくcallmebyyournameを買う日は近い。
こんな映画に出会えたことに感謝。生きててよかった。本当に。
