それをずっと見ていた恋の神様は

見るに見兼ねて女の子にこんな事を聞いた 

「なぜ閉じこもっているのだ?」 

この問いに女の子は 

「閉じこもっていれば誰にも出会う事はありません」 

と答えた 

恋の神様は 

「そうか… お前はそれで幸せか?」 

と尋ねた 


女の子は 

「幸せです 別れる悲しみがありませんから あの苦しみがありませんから」 

と答えた 



「そうか 

 私には幸せに見えなかった 

 お前の心が 

 泣いてるように見えたが 

 お前が幸せならそれでいい」 



そう言って消えようとした時 





「どうして別れがあるのですか? 

 どうしてこんなに辛い思いを 

 しなくてはならないのですか? 

 この出会いに 

 何の意味があったのですか? 

 こんな思いをするくらいなら 

 出会わなければよかった」 





女の子は今までの思いを全て 

恋の神様にぶつけた




すると恋の神様は

「本当にそう思うのか?ならお前にいいものを見せてやろう」 



そう言って女の子の手をとり 

2人が出会わなかった世界へと連れていった

そこには男の子と女の子の姿があった 


男の子は最後まで頑張る事をせず全ての事を中途半端にし、そしていつしか誰からも相手にされなくなり1人で心閉ざしていた 

女の子は頑張りすぎてしまい 

誰にも寄り掛かれず 疲れ果て 心が折れてしまい 

心を閉ざしていた 

その姿を見た女の子は言葉を失った 

その様子を見ていた恋の神様は 

「今のお前が在るのはなぜだと思う?」 

呆然と立ちすくむ女の子に尋ねた 



「男の子と出会ったからです」  

女の子が小さな声で答えた 





「これでも出会わなければよかったと思うかね?」


恋の神様は静かに尋ねた 

「出会えてよかったです」 

と女の子は声を震わせながらポツリと呟いた 

「あの時のお前達には互いが必要だった

しかし互いの役割が終わった今 

今在るお前達を必要としている

人達の元へ行かねばならない 

ずっと閉じこもっていたら

その人がお前を探せないだろう」 


それを聞いた女の子の目に涙が溢れだした 


「互いの人生に必要な時 必要な時間だけ 

その人生は交わる 

そしてそれぞれの役割が終わった時

またそれぞれの道を歩む

互いの持つメッセージを相手に伝える為に」 

「だからたくさんの出会いと別れをしてきなさい 

そしてたくさんの自分に出会いなさい 

お前を必要としている人の為に 

大きく大きく成長しなさい 

お前を成長させてくれるのは 

人でしかないんだよ」 


そう言い残して消えていった 

女の子は今の自分が在るのは男の子と出会えたからだ 

という事に気がついた 

女の子は男の子との過ごした時間の中に隠されたメッセージが何であったのかがわかった 


そしてなぜ男の子が隣にいないのかという事も 

それからの女の子は閉じこもる事なく

ひとつひとつの出会いと別れを大切にしていった 

例え 悲しい別れであっても 

例え 苦しい別れであっても 

その人が教えてくれたメッセージを胸に 

新しい自分との出会いに感謝し 

自分を必要としてくれる人の為に 

自分を成長させていった 

 


そんなある日 あの男の子が 

再び女の子の前に現れた 




互いに成長した2人 

互いの人生に 

互いが必要だと知ったのだろう 


男の子は女の子の全てを包み込み 

守れる程に 強く大きく成長し 

女の子は男の子の全てを支え 

何事にも負けない程に 

強く大きく成長していた 


そうして2人は 

永遠の愛を誓いながら 

幸せに暮らしていった 


最後別れを意味付けるもの③に続きます。