今日家に帰ると
ポストに訃報のお知らせが入ってた。
この地区では
ご近所付き合いが深いので
誰かが亡くなるとみんなで見送る為に訃報のお知らせがくる。
世代が違うので
いつもは
どこの誰が亡くなったのかもよくわからないけど
今日は違った。
名前を見て
びっくりしすぎて
叫んだ。
そして
泣いた。
あたしが生まれてからずっと見てくれていた
近所のかかりつけの病院のおじいちゃん先生だった。
あたしは昔扁桃腺が本当に弱くて
熱を出すと必ず40度。
死にそうになりながら
いつも先生に見てもらってた。
薬がどうしても飲めなくて
病院に行って薬をもらっても
飲まないで自力で治したけど
具合が悪くて死にそうな時
先生の所へ行けば
安心だった。
先生はいつも同じ話をする。
しかも、とてつもなく長い話。
だから前の人から自分までの順番が
とにかく長い。
昔結核が死の病だった頃、結核の名医だったらしく
必ず肺の音を聞きながら
ヒューヒューゼイゼイ言ってないから大丈夫だって。これがヒューヒューゼイゼイ音がし始めると危ない。
子供の頃からずっと見てもらってるから
先生の話を聞きながら
もう次に何を言うのかも
わかってた。笑
リュウセイが生まれてから
具合が悪くなると
リュウセイも先生にお世話になるようになった。
病院嫌いのリュウセイは
この先生の病院じゃなくちゃ嫌だ!!と
やっぱりあたしと同じで
いつも先生に見てもらってた。
子供の頃から知ってるあたしが
今度は自分の子供を連れて
会うのはいつも具合悪くて最悪な気分の時だったけど
大きくなったな~なんて
リュウセイの成長をいつも喜んでくれて
2年くらい前から
娘さんが少しずつ先生の代わりに診察するようになって
先生は
病院から姿を消した。
もう年も取ってきたから
娘さんに病院譲ったんだね
なんて
みんなそう思ってた。
先生は亡くならないと思ってたよ。
あれ程名医と言われてた先生だもん。
絶対こんな年で亡くならないと思ってた。
あたしにいつも言ってたじゃん。
季節の変わり目だから
気をつけないと体調崩すって
いつも言ってたじゃん。
子供の頃から
先生いつも言ってたじゃん。
沢山の人の命を救ってくれた先生は
誰も知らない所で
静かに旅立った。
信じられない。
まだ信じられない。
大好きだったよ先生。