○○家の長男の嫁として私が仕事を持つことはとてもハードルが高かった。
結婚前に自分は仕事を持っている女が好きだから結婚しても仕事は続けたらいいよと言っていた。
そのつもりで結婚したのだけど、実際は仕事をするのはいいけど家事は私がするものになっていたし、
夫の親の圧がものすごかった。
何も知らずに嫁に来た初めてのお盆。
明日からお盆だから朝からあちらの家に来るようにと言われた。
申し訳ないのですが仕事なんですと言うと
は?仕事?お盆よ?と真剣に驚かれたのにはこっちが驚いた。
お盆だからといって仕事を休む社会人はいなんだけど。
夫の実家のお盆は7月。
そのために仕事を休めと?
休める訳にもいかずに通常に私は仕事をした。
そりゃ嫁が来て初めてのお盆で自分が張り切ってこの家のしきたりを教え込もうとしていたんだろう。
お盆に人が来て○○家の嫁としてしっかり指導してますよということも知らしめたかったんだろう。
その嫁がいないとなれば、あの人達のプライドが許さなかったんだろう。
月命日には毎月一緒に墓の掃除に連れていかれ
「職業婦人は大変ね、でもこういうことが一番大切な仕事なのよ」と嫌味を言われる。
そんな毎日が嫌になった。
私が仕事をしていても夫は家事を手伝うなんてことはしない。
私が夫にまた嫌味を言われた、やっぱり仕事を辞めた方がいいのかなと言うと
うちの親はなおが心配で心配で仕方ないからそういうんだよと言った。
まったく心配なんてしてないって私にでもわかるのに。
結局その圧に耐えられなくなって私はクソ義母の望む専業主婦になったわけだけど
まぁスッキリしたよね。これで文句ないだろうって。
それでも月命日の墓参りの後は一緒に昼ごはんを食べて、お盆の事全部教わったよね。
やるなら全部やってやろうと思ったし。
義母は緑茶が好きで静岡から取り寄せているらしく、毎回をそれを飲んだ。
何度も何度も「おいしいでしょ?おいしいでしょ?」と言われながら。
お茶の一番最後の一滴。それが一番美味しいらしいのだけど
人数分のお茶を入れた最後の一滴、これを飲めることが「専業主婦の醍醐味だ」とクソ義母は言った。
最後の最後に絞り出したようなその一滴一滴を、唇を突き出してすするその姿を見て
絶対にこうにはなりたくないと私は誓った。
私はこのクソ義母のように緑茶を入れた最後の一滴をすするために仕事を辞めたわけではない。
恩着せがましく今日はなおさんが飲んでいいよとその一番おいしいらしいそのお茶を飲むと
「美味しいでしょ?これが専業主婦の醍醐味!」と誇らしく言うクソ義母。
今もきっとそんなお茶と大根汁をすすりながら生息しているんだろう。
価値観が違うといえばそれまでの話なんだけど、あまりにも私の価値観とはずれていて
まぁ結局のところあの人達とは誰も分かり合えることはないのだと思う。
だからこそご近所さんから「変わり者だ」と言われる原因なのだろう。
ここらへんじゃちょっとした資産家と言われているけど、実際は社会で働いたこともなく
一般常識の世界からかけ離れて生きている人達だからしかたないのかもしれない。
見ている人は見ているんだ。
この先どんな終わり方をするのか本当に楽しみで仕方ない。
早くその日がくることを切に願って私は今日も仕事に励む。
夫と別居後にあの人達に罵られてから、私は日本茶を飲むことは全くなくなった。
あの日本茶の匂いがクソ義母の臭いに思うから。