nao電気商会で請け負って製作した3個のサイクルメーターへのコネクター追加のうち1個に不具合が出ました。


これまで nao TZ と nao RS 含めて5個のサイクルメーターにセンサーと本体を分離出来るコネクターの追加作業を実施しましたが、そのうちの1個についに不具合報告を受けてしまいました。
よりによって、昨日のエリア戦に出場するさかい号に当日の朝と、予選終了後の2度…
その経緯は…


数日前から苦しんでいた胃腸炎と風邪を克服して富士にレース当日の朝到着して見ると、さかいさんから”スピードメーターが動かない”と衝撃の報告が…
そんな!?TZ に付けた時には動くのを確認したのに??とさかい号をエリア予選前のセッティング変更中で忙しい中、フロントホイールを回して確認すると…まったく反応しない。

さすがに道具も持ってきていないし、レース当日に原因追求もしていられないのでそのまま行くか…と判断しかけていましたが、今日はあるではないですか。
そう!例によってなぜか最近レースに来るとどこかしらの部品を必要とされる nao RS が筑波の転倒そのままの姿で積んであります。

さかいさんに nao RS のサイクルメーターを移植するかどうか判断を委ねます…結果は移植決定。
可動制限も解除されたので自分で RS を下ろします。
約2ヶ月ぶりに nao RS 大地に立つ!(笑)
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大急ぎでサイクルメーターを外している最中、ふと見たさかい号のサイクルメーター…
あれ?センサー側の2番ピン(シールド側)切れている… 半田めっき部分がポッキリと折れていました。
原因はコレだ!というわけで nao RS からセンサー部分だけ移植。
馬鹿な自分はコレで完璧!と思ってしまった…
センサー移植後はホイール回転テストでもばっちり作動!完璧と言うわけで一旦作業終了。
よくよく冷静に考えれば、何で折れたのか、受け側のコネクターは大丈夫なのか? チェックするのが当たり前でした…

予選終了後。
また動かないと報告が… ここで受け側のコネクターの状態をチェックしていなかった事に気付く。
やはり受け側も2番ピンが折れている…同じくシールドラインの半田めっき部分から。

決勝には nao RS のベースユニット全移植でお許しを頂く事に…
さかいさん、レース当日に施行不良で大変御迷惑をおかけしました…すみません。
このベースユニット一式は施行して約半年、とりあえず220キロオーバーのトップスピードでも千切れた事は無いし、2度に渡る転倒テストでも人間の鎖骨より丈夫であるのが実証されていますので問題無し。
そのまま決勝でも良い仕事してれました。

ちなみに、同時期に仕事した MUSASHI RACING のお二人のサイクルメーターは無事だったようです。
強烈なトップスピードと常識を覆す独創性を持つ黒いバイク号で無事だったので、こっちは問題無いでしょう(笑)
ちなみに黒いバイク号、今回はちゃんとフォークにセンサー付いていました(笑)


昨夜、帰宅してからどうにも気になり分析と対策作業開始。

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シールド線をより分けて、纏めた物を半田付けして一本のラインにした線がポッキリと折れています。
染みさせて作った半田めっき線が折れています。
これまで施行した5個全部同じ作りだったのですが、なぜコイツだけ折れたのでしょう?
考えて見ます。
思い当たる原因は…

1. 他のマシンよりコネクターに受ける振動が大きい。
2. 取り付け位置の関係で風圧による影響でかなり暴れる。
3. 半田めっき不良。
4. 配線保護養生不良。

と言ったあたりでしょうか・
3. の半田めっき不良については他と同じ良質の鉛入り半田を使用しているので材料は問題無い筈ですが、よく見るとめっきが均一に乗っていません… タマタマに乗っています。
また、4. の配線養生もちょっと張り気味過ぎたようです。

これらが原因のひとつかと思われます、これで括れた弱い所が振動や応力で折れたと推測されます。
元々配線が細くて、強度確保の糸が入っているのを糸抜きしてコネクターを付けているので強度的に不安があったのは事実なのですが、実用上問題無い程度には完成していたつもりですが、悪い事が重なって切れてしまったようです。

さて、さかいさんとも相談した結果、同じ修理をするよりも配線を張り替えた方が今後も安心なので、今回は配線張替えで修理しました。

選んだ配線はテフロン被服銀メッキ線の耐熱高強度電線。
これはかなりの強度を持つ、抵抗値も少ない高級な配線です。
コイツを2本編んでツイストペアを作ります。
ただの平行線よりもツイストペアにする事によって、電気的なノイズをカットする事が出来ます。
無論シールド電線には敵いませんが、シールド線だと同様に半田めっきが折れる危険があったし、何よりシールド線を必要とするほどノイズ拾わない筈です。

センサーをバラして配線を張替え、コネクターを装着。
みっともない手編みのツイストペアを隠す為にスパイラルチューブを巻いてセンサー側は完成です。
配線編み機が欲しい…どうにも手編みじゃムラだらけで人目にさらせません(涙)
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もちろん普通に配線持って引っ張った程度では千切れません。
多分1キロ前後は耐えられると思うのでこれなら問題無いでしょう!


さて次はベース側の配線張替え。
これは結構厄介で、何が難しいかと言うとベース側の大本は配線を端子に直接半田付けした後に、プラスチックでモールドされてアクセス不能にされているのです。
これは仕方ないので地道にモールドを剥ぎ取ります。
精密ドライバーとカッターナイフを駆使してちょっとずつ、ちょっとずつ、本体を壊さないように、端子ごと捥ぎ取らないように剥がし取ります。
実は今回もっとも集中力を必要とし、かつ失敗を取り戻せない重要な部分です。
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無事端子の露出成功!!山場は越えました。
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あとは先程センサー側にも使った自作テフロン線ツイストペアをルーティングして半田付け。
コネクターも装着。
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最後に、ベース部分から剥ぎ取ったプラスチックモールドの代わりにシリコンでモールドし、スパイラルチューブを巻いて完成です。
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とりあえず、これを納品して確認してもらって OK が出たら頼まれているセンサーをもう1個作ろうかな?