これはもうミニバイクであればなんでもありのマシンを使ったバトルロイヤル。
すごいインチキくさいマシンから、殆どノーマルまでさまざまです。
nao は”ペンタグラムチーム寺重”から NSR ベースの改造マシン、型落ちのペンタグラムワークスマシン"PP01.5”での参戦です。
今回、土曜日の前日練習で初めてこのマシンに乗り、初めて白糸を走り、初めてペンタグラムよりの参戦となりました、、、そして”相方”になるライダーとは初顔合わせです。
ペンタグラムチーム寺重は今回3人編成で(本当は2人だったのだけど、nao が肋骨を折った際に2人で4時間じゃ死ぬだろう!って事でペンタグラムで探してくれました)一人は元々 nao と組む事に決まっていた Y選手。
Y選手は現在はこのペンタ杯専門だそうで、今回もペンタグラムチーム寺重では唯一のマシン、サーキット、ペンタグラム杯経験者です、頼もしい!
もう一人は、以前750だった頃のスーパーバイクに乗っていたという N選手。
N選手は PP01.5 は初めてながらも、白糸はKSRで走った経験があるそうで、マシンにさえなれれば攻略については不安はありません、土曜日目一杯練習してもらいましょう。
そして、、、初めて尽くしの nao おまけに”肋骨骨折”は相変わらず痛いし。
土曜日の練習走行は、前回筑波の経験からあまり走ると翌日走れなくなる、よってコースを覚える程度にしておいて、あとは決勝一発勝負!と決めました。
およそ15分が限界だろうと、、、
実は前回の筑波でのレース結果がタイム的にはチーム内でもいい位置に付けれたので、ちょっと油断していたかもしれません。
マシンも同じ(実は全然同じじゃないけど) NSR だしなんとかなるだろうと、、、
その目論見はコースインして1週回らずに崩れ去りました。
”なんだこのマシン!?やたらパワフルだしやたらブレーキ利くしやたら軽いし、アクセル開けないと全然旋回しないじゃん!!”
そうなのです、つまりこのマシンはやたら”レーサーチック”なのです。
nao の経験上、最も近いマシンは 95TZ250 でした。
とにかくものすごいリアで曲がる感じがするマシン、タイミングよくスロットルを開けられると強烈な加速とともにグイグイ曲がっていきます。
裏を返せば、ダラダラ乗ると恐ろしいほどに遅い、、、
当然、肋骨をかばいながら乗っていても”別の意味で”すごいタイムです。
走行開始10分で事態の深刻さに気づきました、、、”ヤバイ!!”
方針を変更して、あと50分、トータル1時間乗ってみる事にします。
これで翌日走れなくなったらそれまでだし、このタイムじゃ問題外だし、せめてチームメイトの1,2秒落ちまでは持っていかないと。
この時点で Y選手はまだサーキットに到着しておらず、午後からの練習予定。
N選手は順調にタイムを伸ばして行き、42~41秒台で走行しています。
では nao は、、、ベストで46秒です。マズイ、ヤバイ、もう逃げ出したい、、、泣きそうです。
体を捻る度に肋骨はゴリゴリなるし、タイムは出ないしで一旦マシンを降りて乗り方を観察しつつ、先輩ライダー方に乗り方を教えてもらい勉強します。
そうこうしているうちに N選手は40秒台にマシンを入れてきます。
そして Y選手も合流。
ちょっと乗ったあとのコメントは”これなら40秒は切れると思うな、3?秒台入るでしょ”との事。
シゲさんは Y選手や N選手のコメントを聞きながらセッティングを探ります。
で nao には、、、”おまえはとりあえず頑張れ”とだけ、、、まあ当然ですが、今にして思うとちょっとこの辺で肋骨セーブリミッターが切れたかもしれません。
次の走行では肋骨の痛みが気にならなくなり、前回の筑波のような身体状況です。
それまでは毎回確認していたラップタイムも自然と見なくなり、数十分走行時に、”あ、、、今ってどのくらいのタイムで走ってるんだろう??”とラップボードに目をやるようにすると41秒台でした。
と、同時に肋骨のあたりがやばい気配、、、本日の走行を切り上げます。
結局トータルで1時間くらい乗る事になりました。
Y選手はちょっとタイム確認し忘れたのですが、39秒入ったかな?N選手は40秒切れなかったそうです。
nao は41秒だったので、一応は絶望の淵からカムバックと言ったところでしょうか、、、しかし、肋骨は確実に絶望の淵へ歩き出しています。
土曜日の走行はここまででしたが、シゲさんから”●○◎選手に乗ってもらう、あっさり37くらいには入るからおまえら良く見ておけ!”との事。
当然 nao も走りを観察すべく注目します。
が、、、その発言が出た直後のコーナーでスリップダウン!!派手に滑ってコース外へ!
”ば~~~か!!”シゲさんの叫びが響きます。
マシンは幸い修復可能なレベルでしたので問題ありませんでしたが”ええ!?”ってな展開でした。
土曜日はここまでで荷物を纏め、翌日の打ち合わせを済ませたら17時前にはシゲさんたち宿組は予定している宿へ旅立っていきました。
nao は嫁さんが東京から新幹線使って来てくれるので宿には行かず車中泊です。
23時頃着予定の嫁さんを待つ間、湿布を貼り替え薬を飲み、コースを眺めてイメージトレーニングを繰り返します。
明けて日曜日、いよいよ決勝です。
この日は前日の快晴が嘘のように朝からどんよりとした空。
降水確率は50%。
ライダー3人で時間配分と給油のタイミングを打ち合わせします。
わがチーム寺重は30分交代でY選手、N選手、nao とこなして行き、Y選手、N選手が1時間半の走行時間、nao は負傷中につき1時間となりました。
そしてスタート進行へ。
スタートはルマン式です。
マシンを並べて待っているとうちの嫁さんが”ポツって来たよ”との事、、、それから程なくして雨が!
グリッドに着いていた、マシンの何台かはピットスタートを決め込んでレインに交換しています。
ペンタグラムワークスのほうは一度ピットに入れましたが”やむだろう”との判断からかドライタイヤのまま再びグリッドに並びます。
そしてついに2005年のペンタグラム杯スタート!
スタート直前に降り出した雨はその後も強くなり続け、路面はあっというまにヘビーレインに。
Y選手もすぐにピットインしてレインタイヤへ交換します。
レインへの換装が終わった PP01.5 を見守っていると、転倒!幸いダメージは低いようでそのまま走り出します。
サーキット全体を見ていてもそれこそあちこちで転倒していて、もう本当にバトルロイヤル、生き残り合戦になっています。
最初のルーチンを終えた Y選手のコメントは”接地感が薄い、タイヤが滑る”との事。
前日のドライからすると Y選手の走りもおっかなびっくりになっているように見えます。
シゲさんからはタイヤが暖められない走りだから接地感が無いんだと激を受けます。
このマシンは雨でも容赦なく攻めないとタイムが出ないマシンのようです。
続いて N選手がコースインしましたが、約30分、nao がスタンバイしていると転倒です!!
今回はマシンにダメージがあるらしく押してピットまで戻ってきました。
”ブレーキレバーが折れた”との事。
ブレーキレバーを交換しようと準備をしようとした所で、折れているのがレバー側で無くマスターシリンダー側であるのが判明!
さすがにそれのスペアはありません。
となりのピットのチームがブレーキ丸ごとスペアを持っていたので、マスターシリンダー/ホース/キャリパーをセットで替えようとしたのですが、我が PP01.5 はブレンボキャリパーが着いていた関係上、フォーク側を改造しているのでノーマルキャリパーが使えません。
”仕方ない、バラしてマスターだけ交換しましょう”とう言う事に。
nao と Y選手で組み替えを実施している間に N選手にはブレーキオイルを調達してきて貰います。
組み替えてブレーキのエア抜きが終わったのはどのくらいの時間が経過した後でしょうか、、、それこそ必死でやってたので時間の経過が解りません。
他の破損箇所としてはカウル、フェンダーの大破とアンダーカウルのステー折れ。
フェンダーとアンダーカウルは取り外してアッパーはタイラップで縛り付けていよいよ nao の出番です!
遅れを取り戻すべく、必死で修復した結果を無駄にしない為に肋骨は気にせず全力で走ります。
タイムは52秒くらい、およそ全車両の真ん中くらいでしょうか?トップクラスは47?とか出ていたみたいだし、後ろは1分オーバーだったりとものすごい開きがあり抜くのも抜かれるのも危険なうえ、目の前で転倒なんてのも一度や2度ではありません。
攻めつつ、危険を回避すべく集中します。
PP01.5 はそれに答えてくれるかのように気難しさが消え、リニアに反応してくれます。
乗ってて楽しい!実に良く出来たマシンです、攻めればそれに答えてくれます。
乗り始めて数十分を経過したあたりでしょうか?それまで雨だった物が白く、それもゆっくり落ちてくるように見えます、、、はて?これは??
それは紛れも無く”雪”です。
しかし雪だからとアクセルを緩めればきっと PP01.5 は nao を容赦なく放り出すでしょう。
このマシンはそういうマシンなのです。
実は nao は雪の中走るのは初めてではありません、かつてSP250で一度予選だけ経験しています。
”他の連中より雪の経験がある分だけ有利なはずだ、行くぞ!!”攻める姿勢は変えません。
タイムもさして落ちる事無く30分のルーチンを無転倒で終えてピットインします。
4Lのガスを給油してライダーチェンジ、ここで雪のためにチェッカーが午後2時15分と短縮される結果が発表されます。
厳密には雪はもう雨に変わっていて、雪走行は nao だけだったのですが、いつ雪になっても不思議でない程寒いので妥当な判断でしょう。
Y選手も無事30分のルーチンをこなして N選手へ。
そして無事チェッカー!!
いったい何位なのか見当も付きませんが、やり遂げた達成感は最高です。
そして表彰式へ。
”ペンタグラムチーム寺重”は28位でした。
転倒が2度あり、大修理をした割にはリタイアする事無く良かったかな?
ちなみに本家ペンタグラムワークスは3位で表彰台でした、おめでとう。
絶対来年リベンジしてやると深く誓ってペンタグラム杯を終えます、来年も乗れるといいな、、、PP01.5
ちなみにこの PP01.5、乗りたいライダーは実に多くて、ペンタグラムチームの中でも”これに乗りたかった”という声は多々聞きます。
今回 nao は乗るマシンが無かった関係上、PP01.5 に乗る事が出来ましたが、来年は”これに乗りたかった”と言う側になってしまうのかなあ、、、