東京の雪を甘く見ていると、思わぬしっぺ返し。

前回の続き。翌週の土曜日もまた雪予報。

都心でも積もるという話だった。明け方からチラチラ降り出して、午前9時過ぎにはまだほんの少し。誰も通っていない歩道の隅っこが白く見える程度。

積もるはずはないと、自転車でまず1件目のお家へ。

ケアに2時間ほどかかり、11時過ぎに外に出るとマンションの駐車場には10㎝ほど。自転車をひいて5分ほど歩いて国道に出たが、歩道に雪が積もり、自転車に乗ると、タイヤが滑る滑る。全く走れない。

電動自転車は重たいので、ハンドルがとられると車体が傾いて走れない。前と後ろのかごに大きな荷物。

歩いたほうが早いかもしれないと、顔なじみのコンビニエンスストアの店長に断って駐車場に自転車を置かしてもらう。重たい仕事用かばんを斜め掛けにして歩き始めるものの、進まない。

帽子、レインウェアの上下、長靴(滑り止めつき)、手袋。すべて冬山用の装備でガッチリと決めても、まるで雪山のラッセルのように、頑張って歩いても歩いても進まない。

2件目の家は首都高の下の道を辿っていくので、風向きのせいなのか雪が積もっている。しかも誰も歩いていず、まっさらの雪。踏み跡があると、それを頼りに歩けるが、誰も歩いていない雪道は、東京23区なのに、まるで雪山のよう。

急な降雪のために、各バス会社が運休。地下鉄に乗ればよかったと考えても、すでに遅し。駅までの道のりを考えると、もう歩くしかない。

普段なら自転車で10分もかからない、地下鉄で2駅の近さ。30分ほど歩けば着くという予想が大きく外れ、12時過ぎになっても道半ば。

2件目の方は、気管支にチューブが入っていたり、ひどい便秘のために浣腸や摘便をしなければいけないこともあり、たとえ土曜日でも大雪でも台風でも行かなければならない。

気が気ではないが着かない。

大汗をかいて、やっと午後1時前に到着。訪問介護士さんが気を使って、ご家族と一緒に着替えや清拭を済ませてくださっていた。

「とりあえず一息ついて、熱いコーヒーでも飲んで」とご家族。
ご本人も、ニコニコ迎えてくれる。



必要な処置を済ませて事務所に帰るころには、空は晴れ、バスも走り始めていた。

お昼過ぎまでの、あの雪は何だったの??

2週間続けての土曜日の大雪は、後にも先にもあの年だけ。