左前、着物など和服を着る際によく耳にしますが、左とは誰から見て左なのか。


それは着ている本人から見て左側です。

向かい合った他人から見た場合は右側が表(前)に見えます。

女性用の洋服は右前になってる事が多いですが、何故和服は左前なのでしょうか。


それは多分、日本は古くから左が上位という考え方があるからでしょう。

北を上として南を向いたとき、左は東になります。

東は陽が昇ってくる方角。

日本で太陽は全ての神を統べる太陽神、天照大御神であり太陽が登ってくる方角を上位と昔の人は考えたのでしょう。

とは言いつつも、対象の正面、神社で言えば神殿の正面、人物で言えばその人の真正面を正中(せいちゅう)として最上位、正中でも近い方が上位で遠い方が下位、そして左側、右側という順です。


左前があるのは和服以外にも、扉があります。

2枚扉の引き戸は内から見て左が外(表)、右が内にあります。

2枚扉の開戸も召合わせ(真ん中の隙間を隠す部分)が内からみて左、外からみて右の扉が下位の扉に被さって左前になっています。


最近気づいたのは、玄関などの片開き戸です。

以前、神職とは全く関係のない知人に、家を選ぶ時は右吊り元の玄関を選びなさいと言われた事があります。どうやら縁起にも関係があるとか。

集合住宅などの合理性や、間取りや動線の関係から今では縁起は関係なく左右使い勝手の良い方で選ぶようですが、割合としては右吊り元の方が多いとの事。


右吊り元の右は外から見て右、ようは内からみて左に蝶番があって開く扉です。


偶然とは思えませんね。

昔の家屋は内と外、上位下位を意識した作りだったのではないでしょうか。


私的には右吊り元は右手で鍵とノブを触るので荷物を抱えた時に開け閉めしやすいように思います。

左前の和服の懐中に物をしまうのも右手、右利きが多いのはそういった考えがあるのかもしれないと思うとなんだか不思議な感覚になります。


いろいろと物事の理由を考察し、合っているかどうかはさておき、色々な繋がりが見えて妙に納得できてくるとなんだか面白いですね。