◆ 現代催眠療法(エリクソン催眠)
・アメリカ臨床催眠学会の創始者で、初代会長も勤めたミルトン・エリクソンが、
医学生だった時にクラーク・L・ハルのゼミで「催眠」に巡り会い、数多くの催眠実験
(大学時代に延べ2000人以上に催眠実験を行ったと言われる)を行ない、
従来の催眠(古典催眠)とは一線を画した斬新な手法を用いた現代催眠(エリクソン催眠)を開発しました。
・エリクソンの影響を受けた弟子や共同研究者たちは、それぞれ独自の治療技法を構築し、
総称して短期療法と呼ばれる一派を形成していて、特にに家族療法への影響は大きいとされています。
・「治療に抵抗するクライエントなどいない。柔軟性にかけるセラピストがいるだけだ。」と、
この言葉に端的に表されるように、ミルトン・エリクソンの技法は、非常に広汎かつ臨機応変、変化自在なものだが、
根本にある考え方は催眠はコミュニケーションの1つだというものです。
・言葉の命令的側面(暗示)によって催眠誘導に持ち込み(普通の会話と催眠誘導の境界が曖昧)、次に治療暗示を与えて、
不安や恐怖の除去、痛みや免疫力の強化、ストレスの解消、自己制御など、心身の状態の治療、矯正に
臨床的側面に広く利用されている心理療法です。
・催眠技法によって生じる催眠現象には2つの大きな特徴があります。
(1)催眠によって生じる変容した意識状態で、催眠トランス(変性意識状態)とも呼ばれている。
(2)催眠状態によって、被暗示性が高くなる(暗示現象が生じやすくなる)が、高い被暗示性の中で生じる暗示現象も
催眠現象として取り扱われる。
このことを要約すると、表に現れる現象は、催眠暗示現象で、そのときの意識状態が催眠状態ということになります。
[臨床催眠の3タイプ]
①暗示催眠
・元々、催眠は臨床実践の中から生まれて、初期のころは、暗示現象を中心にして臨床実践で用いられています(クーエの自己暗示)。
・クーエの自己暗示(直接暗示)は、直接求める状態を暗示として与えるもので、例えば、痛みの問題だと、
「その痛みが取れていきます」というような暗示です。
・直接暗示に対して、エリクソンの催眠療法は間接暗示が中心で、間接暗示とは、求める状態が生じるようにするために、
話しかける言葉に暗示的な要素を埋め込んだり、さまざまな工夫が施されます。
・直接暗示では、一般にその効果の持続時間の短いことが指摘されているが、エリクソンの間接暗示は、
埋め込みタイプであるために被催眠者はそれに気付くことが殆ど不可能なので、暗示効果の持続が長く維持されるとされています。
②リラックス催眠
・催眠状態では、催眠トランスと呼ばれる意識状態が生じるが、臨床実践の中でこの意識状態を中心にして
臨床実践が進められていく方法です。
・ブロイエルがフロイトと一緒に用いていた催眠性カタルシスは、催眠トランスの中で覚醒状態では忘れている事柄が
思い出されてくる現象を用いているが、リラックス催眠は、クライエントを入院させ、何日間か催眠状態を持続させることにより、
その催眠状態そのものが心理治療効果(催眠状態そのものにリラックス効果がある)を示すものです。
③イメージ催眠
最近の臨床催眠で、利用されることが多くなってきている技法です。
・イメージの中での体験性を重視する方法
例えば、記憶健忘症のクライエントに対する記憶回復や、穏やかな場面イメージへの没入によるリラックスや、
新しい体験の追求などのときに用いられます。
・イメージと暗示を絡めて暗示体験を重視する方法
行動変容の追求のときなどに用いられます。
・イメージ体験とそれの観察による統合を目指す方法などがあります。
イメージ体験の観察を通して自己理解し、それによって情動や行動変容へと導く方法で、
イメージ体験の体験の仕方の変容を求める場合などに用いられています。