グループB: イングランド 1 vs 0 パラグアイ
なるほど、前半のイングランドの攻撃陣は確かに魅力的だった。
クラウチがポストとなり、ボールを前に落としたところをセントラル・ミッドフィールドの2人、ランパードとジェラードのミドル・シュートが放たれる。また、クラウチの頭で敵のディフェンス・ラインの後ろにボールが出れば、そこにはオーウェンが走りこむ。
ベッカムのクロスとプレイス・キックは相変わらず精度が高いし、J・コールは昔のウイング的なドリブルで敵陣奥深く入り込みマイナスのボールをヴァイタル・エリアに供給する。そしてそこにはランパードとジェラードが待ち構える。
ん~、前評判どおりだ。
かつてのイングランドの中盤には、伝統的にパスワークで相手を崩すという攻撃概念がなかった。イングランドのセントラル・ミッドフィールド・プレーヤーは、ダイナモのように走り回り、敵からボールを奪取し、奪ったボールをフォーワードに放り込む。いわゆる“ドッカン・サッカー”だった。
しかし、最近は世界の趨勢に従い、中盤をつなぐサッカーをしていたように思う。
それが、クラウチという選手の存在により、かつての伝統的なイングランド・“ドッカン”・サッカーが復活したような感じがした。
ただ、かつてと違うのは、放り込むだけではない、中盤での繋ぐサッカーもできるという点だ(今日のゲームではあまり観られなかったけど・・・)。
それもこれも、ランパード、ジェラードという世界最先端のセントラル・ミッドフィルダーが存在するためだ。この2人は攻守ともに安定しているナ。
後半の逃げ切りを図るための守りのサッカーも、さすがにサッカー・ネイションの落ち着いた危なげのないものだった。
イグランド版“黄金の中盤”。
フォワードがクラウチではなく、ルーニーだったら、攻撃の方法も変わってくるはずだ。そのときは、どういう中盤の展開を魅せてくれるのだろう。観てみたい。
さて、一方のパラグアイ。
試合開始早々のオウン・ゴールによる失点(といっても、ベッカムのキックが良かったんだけどネ)や、ゴール・キーパーの怪我による交代にもかかわらず、その後、動揺してバタつくこともなく、見事に試合をコントロールして追加点を許さなかった。あれが日本だったら、どうなっていたんだろうと考えてしまった。
スタディアムはさながらイングランドのホーム・グラウンドであったにも拘らず、ほとんど、動じたところは見えなかった。
恐らく後半はパラグアイのポゼッションのほうが勝っていただろう!?
ホント、南米のチームはどのような状況に置かれてもしぶとい。図太い。
個々の選手にはビッグ・ネームはいないけれど(単純に露出度が少ないだけだろうけど・・・)、誰もが経験豊富で、いい意味での鷹揚さを感じさせる。
パラグアイのサッカーにも私は好印象を持った。初戦の敗戦は痛いけど、スウェーデンとトリニダード・トバゴを破って決勝トーナメントに進出してくれ!!