概要および組織
機動捜査隊(通称:機捜隊、機捜)とは、各都道府県警察本部の刑事部に置かれている、殺人、強盗、暴行傷害、性犯罪、放火など主に身体加害犯の初動捜査を担当する部署・組織である。また救助を要する災害・事故等であって、レスキュー隊が到着していないなど救助体制が十分でない現場においては、警察官職務執行法第3条、第4条の規定に基づいて初動救助にあたる場合もある。
おおよそ6人ほどの隊員が2人1組となって24時間ごとの交代制で活動する姿が、ドラマ作品等ではよく描かれる。警視庁では刑事部捜査一課の係のひとつとなっており、隊長は警部(係長級)である。
また一部の警察本部では、捜査一課特殊犯捜査係(いわゆるSIT)を機捜隊員が兼務している場合もある。
服装・装備
隊員の多くが警察本部の刑事部(おもに捜査一課)に所属しているため、制服は着用せず刑事のように私服(ここでいう私服とはビジネススーツを含む)姿で任務にあたる。
ただ、その見た目から決して刑事と判別できないという訳ではなく、ほとんどの隊員が "機捜" あるいは "機動捜査隊" という腕章を着用しているため、所轄署や警察本部の刑事たちと比べてやや判別は容易である。また隊員の多くは手錠、警察手帳などの装備品の収納を容易にするために、おもに魚釣りで着るようなフィッシングベストを着用している。
各隊員は、事件発生直後の現場をおもな職務管轄としている。発生直後の現場では、現行犯罪の犯行継続、逃走手段の確保や逮捕を逃れるなどの理由から犯人が警察官やその他の市民に危害を加える可能性が高いため、拳銃携帯命令が発令されていなくても、隊員ひとりひとりが拳銃を24時間携帯している。
○機捜隊員のおもな装備
・ 警察手帳
・ 伸縮式特殊警棒
・ 腕章("機捜" または "機動捜査隊" と書かれたもの)
・ 拳銃(リボルバー式または撃鉄式)
・ 警笛
・ 手錠
・ フィッシングベスト
(フィッシングベストについては正式な規定は無いが、装備品整理・収納のために着用している隊員は多い)
任務・活動
通常時は24時間ごとに交代しながら、2人1組で覆面パトカーに乗車し、管轄する県域全体をパトロールする。警察本部より、事件等に伴う臨場要請があった場合には、赤色灯(いわゆるパトランプ)を点灯させ、サイレンを鳴らす緊急走行の状態で現場に急行する。
また高層の建物から現在まさに落下しそうになっているなど要救助者の現場に、通報から間もなく消防のレスキュー隊が到着できないなど場合においては、レスキュー隊到着までの間、警察官として警察官職務執行法第3条および第4条の規定に基づき初動救助にあたる場合もある。
○担当刑事などとの関係
機捜隊員はあくまで初動捜査を担当しているため、所轄署刑事課や本部捜査一課など本来の捜査担当者が到着した際には、事件の端緒や証拠などの捜査内容を引き継いで通常のパトロールに戻(もど)る。
また現行犯人の確保のため、機捜隊員とその他担当部署の刑事(所轄署や捜査一課の刑事等)が同時に現場に居合わせた場合は、機捜隊員でない担当部署の刑事が現行犯逮捕等を執行することが基本となっている。