”逢いたいと思う人に逢える”と思っていると、よく逢える。
ときめきを感じる女性がいる。逢う度に会釈をし、話しかけれる。
名前を知らないが、1年以上前から時々逢っている。

穏やかな表情が好感が持てる。親しみのある容貌で、短髪に細型フレームのメガネ
を掛けた素敵な女性である。いつも乗車するバス停に立っている姿が絵になる光景
を感じられる。急な通り雨の中を傘を持たずに、一目散に走る。
雨がメガネに懸からないように、服の襟を立てる。

秋になると、各大学で文化祭が開催されています。
茶道部に所属する沙織は、部長としての役割をこなしながら準備に怠りません。
掛け軸が掛かった和室で、畳に座って、茶器の手入れに余念がありません。
メガネ越しの近眼の目がきりっとし中で、温かいまなざしで迎えています。
「私、脚が太いんです。」と言われたので、脚を写しませんでした。

病院勤務の看護師は、日勤と夜勤の勤務シフトがある。
近眼の看護師は、日勤はコンタクトレンズを装着していても、24時間使用できないので、夜勤の場合はメガネにすることが多い。
コロナ禍以後は、マスクを装着するようになって、メガネが曇らないように注意する。患者の様子を的確に把握するため、視力矯正用のメガネをかけている。
夜勤では、眠れない患者のストレス解消を兼ねて話し相手になり、夜遅くまで
つきあうことがある。
男性の看護師もいるが、以前として女性看護師のみの職場も多くある。
担当の看護師真優は、夜勤になって、メガネに換えたら、日勤とのギャップがあり、
別人のようだった。昼間は優しそうな目が、夜はメガネ越しの目が鋭く凝視する。

節子は小学校6年の時の視力検査で、0.7だった。メガネをかけたいと思っていた
節子は、クラスのみんなに「私0.7よ」と級友に言いふらした。
中学校の2年になって、視力減退して常時メガネを掛けた。
スポーツ音痴の節子は、ソフトボールで、バットを振ると見事に空振りした。
男子生徒から「メガネかけているのに、ボールが見えないのか」と野次られた。
卒業後、20年経って開催された同窓会で、節子の近眼について話題になると、
「中学2年からメガネをかけている」と言って、メガネフレームに手を当てた。
節子はひとときもメガネを外さず、人前で素顔を見せることはなかった。
「17歳の時、盲腸手術を経験している」と言って、お腹のへその辺りからさら
タイトスカートを下ろして、盲腸の傷跡を露出した。「その下には私の大切なものがあるから、夫以外の男性には見せられないわ」と言って、それ以上は露出しなかった。盲腸手術前に、「メガネを外すように言われて、剃毛された」と語る。
手術後に、麻酔から醒めた時に「お腹を切られて、泣くほど痛かった」と言った。
病室では、メガネを外していたが、友達が見舞いに来ると、手を伸ばしてメガネを
取ってかけたと言っていた。

小学校時代の同級生の澄恵は、控え目な性格の目立たない存在だった。
6年の視力検査で0.2だったので、養護教諭から「メガネをかけなければなりません」
と言われると、泣き出した。当時、クラスでメガネを掛けている子は誰もいなかった。中学校に入学すると、そのクラスで唯一メガネを掛けた佳乃がいた。
澄恵も佳乃も部活はバレーボール部にいた。佳乃は勝気な性格で、クラスのボス的
存在だった。近眼の目が悪い者同士で、澄恵は佳乃に感化されたのか、メガネをかけることにした。メガネをかけるようになった澄恵は、これまでとは見え方がちがう世界に感動して、勝気な活動的な性格になり、学業成績が向上した。そして、メガネ女子として生きる決心をして、人前でメガネを外さなくなった。
運動面でも、チーム1のサーバーとなり、チーム1のアタッカーの佳乃とともに、
二人のメガネ女子の活躍がチームの貴重な得点源になった。

中学校、高校、大学のいずれかでクラスメイトだった人が、就職して同じ職場で
再会することがある。
高校のクラスメイトだった弘子は、私とともに小柄で、2人並んでいると、似合いのカップルに見える。当時、汽車通学で同じ方向の同じ駅から乗車していた。
出目の美しい瞳は、近眼のため、授業中はメガネを掛けていた。
女子大学を卒業した弘子とは、高校卒業後10年経っていた。
この頃の弘子は、常時メガネになっていて、再会した時に、メガネを外して、
「ナンシーさん、私よ。わかる。弘子よ」と言った。
結婚して姓が変わっていて、気づかなかったが、メガネを外した素顔は高校当時
と変わっていなかった。高校の家庭科教師として、調理実習でエプロンをつけて
いる姿から主婦の様子が窺える。

明子は目が悪いので、小学生の5年の時から近視用メガネをかけている。
社会人になって、黒のスーツにタイトスカートで、黒セルフレームのメガネを掛けたはキャリアウーマンである。
化粧をする時、メガネを外して、鏡に顔を近づけて見た自分の顔は、美人のようだ
と自画自賛する。
「私、本当は素顔でいたいが、近眼なので、メガネがひとときも外せません。
目が悪くなって困ったことがあるんです。」と明子は語る。
素顔とメガネ顔とのギャップが大きく、「もう駄目だと思いますが、私の視力が
せめて0.9にならないか。」とメガネで視力矯正しなければならない身の上を嘆く。
レーシックかICLで近視矯正手術できれば、メガネ生活からおさらばできる。
メガネ女子のキャリアウーマンからキュートな女性へのイメージチェンジか。

目が大きくて、出目の千佳に逢った。「大きい、美しい目がチャーミングですね」
と言うと、にっこりとして、「ありがとうございます。でも、私、目が悪いんです。
近眼なんです。普段はコンタクトレンズを目に入れています。偶にメガネの時も
あるんです。」と答えた。そして、「私のチャームポイントがこの目なんです。
美人に見えるかしら」と続けた。この目でじっと凝視されたら、胸キュンとする。

今年の元日に地震に遭った石川県の能登地方で、今度は水害に襲われ、9カ月で
2回の災害を経験した。それでも逞しく生きる能登の女性。
「能登は優しや土までも」の土地柄で、相互の助け合い精神を貫いている。
民宿を営む暢子は、今日もスーパーで、買い物客との会話で、人々を和ませ、
元気づけている。メガネ越しの近眼の目が優しく語り掛けている。

大学の公開講座でグループワークがあった。数人のグループで、同じグループに
いた女性は、黒セルフレームのメガネをかけていた。自己紹介で、市役所勤務の
地方公務員と言っていた。生涯学習を担当していて、レクレーション指導をしているとのことだった。休憩時間に、メガネを外して机に顔を伏せて居眠りする。
胴長の体型で、タイトスカートに身を包んだデカ尻が魅力的。
暫くして、起きると近眼の目を細めて、メガネを手に取ってかける。
素顔よりもメガネ姿がよく似合う。
公開講座終了後に入った学食で、同じテーブルで語り合う。