しばらくは平穏な日々が続いた。


私が知らないうちに、部長はいろいろ策を練ってくれた。



まずは、サキちゃんの父親にコンタクトを取った。



あの事件の後、田舎で3人で暮らしていた。


気をつけて娘の様子を見ているうちに、どちらかと言えば妻の方がおかしいことに気づいた。


田中さんと結婚出来ないのは、あの女のせいだと毎日毎日繰り返していた。


いつか仕返ししてやろう‥‥と。


それはおかしいと伝えても聞く耳持たなかった。


これは、いつか事件が起こるんじゃ無いかと思い、病院に連れて行くことにした。


ついでに娘も一緒に見てもらおうと思い、予約を取りその日を迎えた。


しかし、朝起きたら2人はいなかった。


その夜、娘が放火事件を起こした。


妻は行方不明の後、近所をウロウロしているところを確保。


娘が逮捕されたのはあの女のせいだと呟いていた。




そこで会社が出した結論。


私と健一は依願退職するよう言われた。


しかしこれらは表面上のことで、


健一は他県へ移動。


私は会社借り上げの社宅で在宅ワークになった。



すなわち


会社が用意してくれた家に住まわせてもらい


そこから健一は新しい職場に通勤し


私は家でリモートで仕事をする。


健太を保育園に入れる必要は無くなった。


こんな有難いことはない。



しかしこれらは異例中の異例。


部長が考えたこの提案は


満場一致で可決されたらしい。


きっととても上手にプレゼンしてくれたのだろう。


あの子達はこの会社に必要な人材だからと太鼓判を押してくれたらしい。



その提案を飲んでくれた会社にも感謝。


一生ついていくと心に誓った。