こんばんは、ななせです♪
去年の年末に発売したKATO製東武8000系(更新車)各種セットについて
簡単にセットアップを行いましたので、今回はそのことについての紹介をしたいと思います。
やはり思いの外人気があったようで、私の周囲でも入線したとの報告があることから
運転会などで被らないようにあれこれと仕様変更してみました。
本稿での主な整備内容は…
・アンテナの変更
・屋根色の変更
・客室冷却用通風器の撤去(4編成)
・車番の変更
といった、基本的なセットアップについてお送りいたします。
では、早速整備に移ります。
基本的に屋根色とアンテナを交換するだけですので分解作業がメインですが、
一部の編成は客室冷却用の通風器(小)を撤去したものに仕立てます。
パーツ取り付け用のガイドモールドと通風器の台座モールドを削り落とし、
取り付け穴を1.0ミリに拡げて丸スチロール棒を挿して瞬間接着剤で固定します。
よくパテを使って穴埋めしている作例を見かけるものの、スチロール棒を挿す方が
乾燥時間も短いですし、パテのように乾燥して体積が減ることも無いため作業は圧倒的に楽かと思います。
次に大きな隙間をごく少量の瞬間接着剤で埋め、乾燥したら#400番くらいでペーパー掛けして大まかに均します。
この時に気を付けたいのは、屋根肩付近に緩いRがあるため
削り過ぎて屋根肩が歪まないようにしましょう。
大まかに均したら、瓶タイプのサフを凹凸に応じて希釈して筆塗り→#1000番でペーパー掛け
→時たまサフをスプレー掛け→#1200番でペーパー掛けを繰り返して完全に目立たなくします。
また当区では、アンテナパーツも別のモノを使用するつもりですので
アンテナ穴と周辺のくぼみも同様に、上記の方法で埋めました。
ちなみにアンテナ穴を埋めて新規に穴を開ける際は、サフを吹く前に開けたほうが
位置決めに苦戦することはないかと思います。
また、穴開けの際はいきなり大きなドリル刃を使用すると刃が滑ってズレてしまいますから、
必ずケガキ針→0.4ミリ→0.8ミリといった感じで段階的に拡げていきましょう。
使用した逆L字アンテナのパーツはトレジャータウン製の#TTP127-03。
今回はアンテナ本体が少し角ばっている新型タイプを使用しているものの、
編成によっては丸みのある旧型タイプもありますので、実車に応じて使い分けましょう。
*旧型タイプ:#TTP127-02
キレイに均すことが出来たら、一度全体的に薄くサフを吹き
屋根の塗装作業を行います。
当区では、N化された鉄コレの東武車両でよく見られる暗い屋根色にしたかったので
ガイアノーツのダークグレー(No.1007)をベースにミッドナイトブルー(No.061)を混ぜました。
塗料の希釈率につきましては、当区ではエアブラシではなくイージーペインターで塗装しているため
俗にいう「牛乳希釈」に対して薄め液をさらに0.5くらい上乗せして吹いています。
*薄め液:ガイアのブラシマスター(#T-06)
薄め液多めだとかなり光沢の強い質感になってしまいますから、
塗装が終わったらクレオスのつや消しクリアーを吹いて質感を整えました。
こちらが塗装後のものです。
光の当たり具合や写真の撮り方によって微妙に明るさや色味が違って見えるものの、
製品未加工の状態よりは暗く、色相も青寄りになったと思います。
ちなみに写真上は屋根の色を変えただけの8138F、
写真下は客室冷却用通風器を撤去した8538Fです。
ちなみに棒状アンテナについては、KATOのAssyパーツである#Z04-3224を使用しています。
*写真のJR285系は友人所有のもの
元々は上写真のような使い方をするため実際のアンテナとは形状が異なるものの、
オーバーサイズなペアハン製や、アンテナ本体の造形が微妙なT社・G社製よりはマシなのではと思います。
取り付け穴は0.8ミリですが、そのままだと屋根を戻す際に取り付け脚が干渉してしまうため
少しだけ切り落としておきましょう。
また、当区ではアンテナを塗装しています。
ABS樹脂の素材なのでミッチャクロンでプライマー処理を行った上で、
タミヤのミディアムグレイ(#AS-26)を吹き、屋根板と同様にクレオスのつや消しクリアーで質感を整えました。
屋根以外では、モハ8200形の下り方にある妻面の貫通扉を塗装しました。
8000系の場合、貫通扉は写真のようなステンレス無塗装タイプと
ミルキーホワイトに塗装されたタイプがあります。
*後者は修繕前だとサーバスアイボリー(下の実車写真は復元)
とはいえ、塗装扉があるのは6両固定のサハ8700形(一部編成)のみであり、
それ以外は全て無塗装の扉であるため今製品に関しては銀色に塗りましょう。
*塗装扉:サハ8701~8714/8756~8766
また、8000系と言えば時代によって青帯が妻面まで回り込んでおり、それについては
KATO製の帯の太さ・色にマッチするインレタが発売されたら転写するつもりです。
続いては、車番を変更していきます。
まずは水性シンナーに車番を3分前後浸し、先を少し潰した爪楊枝を使って
やさしく擦って剥がしていきます。
今回の車番剥がしは青色が滲んでしまい、そこそこ苦戦しました。
剥がしやすさには個体差があり、車両によってはドアコックの赤矢印に近いことから
薄め液がかかって一緒に剥がれたり滲んだりすることもあるので気を付けましょう。
目安として、車番標記1か所に対して爪楊枝2~3本くらいを新しく交換して剝がすといいかもです。
イーグルスモデルの各種インレタを使って転写します。
前面車番については、凹凸が多く転写しづらいため毎度お馴染み「セロハンテープ戦法」で行いました。
特に前面幌のあるクハ8400・8600形は、一度分解して裏から幌パーツを取り外した上で
転写すると作業が楽になるかと思います。
イーグルスのインレタは、所属や編成に応じていくつかのバリエーションが用意されているので
仕立てたい編成に応じてインレタを選びましょう。
ちなみに8000系は所属が頻繁に変わるため、製品名の所属について
再現する時代によってはあまり当てにならないことが多いです。
当区で使用したインレタは下記の通りです。
・#TO-NO. 45 原型顔8000系シリーズ3 春日部所属
・#TO-NO. 46 原型顔8000系シリーズ4 春日部所属
・#TO-NO. 48 原型顔8000系シリーズ6 森林公園所属
転写後の印象です。
当区では車番のみを変更したため、社紋については剥がしていません。
製品未加工であるクハ8639と比べると、文字が詰まっていますね。
このことについて、KATO製デフォルトでは逆に文字間隔が広く、
実車の車番は両者の中間くらいが丁度いいのではといった感じです。
下写真は車番剥がしの跡に光を当ててみたものです。
やり方にもよるのでしょうが、これでもダメージが少ない個体になります。
やはり擦ってしまう事による光沢感がありますので、気になる人はおススメ出来ません。
当区では、塗装技術を上げてクリアーを薄吹きしてどうにかならないか模索中です。
前面車番の比較です。
左から順に…
・8144F:製品未加工(基本4両セット)
・8542F:イーグルスモデルのインレタ
・8143F:GUシール収録のマスクインレタ
前面で比較するとあまり大きな差異は感じられないかなといった印象です。
ちなみにクハ8143号車については、車番剥がしに失敗して車体色まで溶けてしまったため
やむを得ずマスクインレタを使用した次第です。
車番転写の次は、行先ステッカーを貼り付けます。
使用したステッカーは、GUシール(#28-242-1)です。
製品のプロトは2008年頃としているものの、ステッカーのラインナップは2006年改正前の
種別や行先が多く含まれており、個人的には非常にありがたいです。
行先は浅草・伊勢崎・新栃木といったオーソドックスなものに加え、
東武日光/東武宇都宮行きといったちょっぴり変わり種なモノも設定してみました。
本線系統の8000系は基本的に準急での運用が中心ですから、その分の普通列車は
日比谷線からの運用で補完します。
本線の運用で少し気にしなければいけないのは、区間準急の存在です。
2003年に半蔵門線が乗り入れると、新設の通勤準急(朝夕ラッシュ時のみ)と同様に
曳舟~北千住をノンストップで走るタイプの区間準急も受け持つことになりました。
浅草~北千住間を各駅に停まる区間準急自体は1997年から運行開始しており、
半蔵門線乗り入れ後も共存していた…のですが、行先選びを間違えると2006年改正以降になってしまいます。
区間準急は、基本的に北千住~南栗橋での運用がメインであり、
この他には浅草発の北春日部行きが深夜に一本あるのみです。
…つまり、ステッカーに含まれる浅草行きや久喜行きを選択してしまうと、折角用意してある
準急や営団時代の地下鉄車両との相性が悪くなってしまいます。
もちろん、北千住発着の運用は2006年改正後も存在しているため、もっとこだわるのであれば
アンテナを棒状にしたり、そもそも2006年時点で春日部所属ではない編成にしてみるのもアリかもしれませんね。
*8153F…2002年3月に春日部検修区から七光台検修区(野田線)へ転属
今製品のプロトは本線仕様ということであまり東上線について触れてませんでしたが、
東上線の車両にする際も細かいですが気にしておかなければいけない落とし穴があります。
それは―行先方向幕の標記方法です。
東上線では、前面サボ時代から行先表示は両矢印を用いており、
方向幕を装備する8000系以降の車両でも2000年頃まで続いていました。
*ex. 【池袋←→川越市】
そのため当区のように棒状アンテナへ変更した場合、GUシールのものでは
編成/仕様/年代によって相性が悪い可能性もあります。
*ゼロではないものの、かなり少数派ではないかと思われます
ちなみに逆L字アンテナへの変更は、(あくまでも主観的ですが…)東上線の方が早い印象でして
たとえば2003年2月に本線へ転属した8144F(=基本セット)は、東上線時代に逆L字アンテナになっていました。
ということで、以上がKATO製東武8000系のセットアップについてでした。
この他にも、妻面に帯インレタを転写したり写真には写っていない残りの3編成については
乗務員室扉の下部手掛けを撤去したりと、まだまだやるべきことは山積みだったりします。
ちなみに本稿で紹介した客室冷却用通風器の無い編成を仕立てる際、
次回発売予定の後期更新車の屋根を流用すれば実のところ簡単に再現可能です。
ただ、私は貧乏性かつドナー戦法があまり好きではないため、
既存の屋根を加工して仕立てただけ…という話です。
KATOの東武8000系が入線するまでは原形顔しか持っていなかったのが
これで一気に形勢逆転してしまいました。
夏に発売する後期更新車セットもそうですが、原形顔の仕様など
今後も様々なバリエーション展開を積極的に行ってほしいと強く願います。
それでは今回はこの辺で。
ご観覧ありがとうございました♪
〇おまけ~どんな編成が組めるのか?~
ここから先は文字ばっかりのおまけ編。
レビューの時から色々話していますが、8000系はとにかく編成とそのバリエーションが多いため、
割と簡単に地雷を踏み抜いてしまいます。
そこで今回はこれといった加工をあまりしなくても組める編成を挙げていきます。
まずは基本的な製品仕様をおさらいします。
・4連/2連ともに2次車→8128F~8151F/8528F~8558F
・床下機器
→4両セット(共通):C-2000N(CP)/CLG-350D(MG)
→先頭2両セット:HB-2000CA横(CP)/CLG-704(MG)
・乗務員室扉の下部手掛けあり
・客室冷却用通風器:あり(92年度修繕以降)
以上のことから早速結論ですが、今製品を無加工で組成可能なのは下記の通りです。
凡例につきましては…
☆:基本4両セット
★:増結4両セット
◎:先頭車2両セット
下線:GUシール収録番号
ちなみに妻面手すり形状について、メーカー側もこれといった作り分けをしていないため
ここでは無視します。
・8128F:93.04修繕【館林】→02.03【春日部】
・8134F:93.11修繕【七光台】→94.06【春日部】→02.10【七光台(04.11運転台撤去)】
・8138F:92.06修繕【春日部→館林】→02.03【春日部】→04.12【森林公園】
・8141F:93.07修繕【森林公園】
・8142F:94.03修繕【森林公園】
・8143F:94.08修繕【森林公園】→03.11【春日部】→07.10【七光台】
☆8144F:95.08修繕【森林公園】→03.02【春日部】
★8147F:94.11修繕【春日部→森林公園】→98.03【七光台】
→04.10【春日部】→07.05【新栃木→森林公園】→08.08【春日部】
◎8539F:95.02修繕【館林】→02.01【春日部】
・8542F:94.06修繕【春日部】→02.03【七光台(04.01運転台撤去)】
・8544F:94.10修繕【森林公園】→08.08【七光台】
次に、本稿で紹介した客室冷却用通風器を撤去した編成については下記の通りです。
・8152F(3次車):96.04修繕【春日部】→02.11【七光台】
・8153F(3次車):96.12修繕【春日部】→02.03【七光台(04.01運転台撤去)】
・8538F:95.02修繕【館林】→02.03【春日部】
この他には、乗務員室扉の下部手掛けのない編成(*89~91年度修繕)についても紹介します。
・8133F:89.07修繕【春日部】→02.03【七光台(04.02運転台撤去)】
・8135F:90.03修繕【森林公園】
・8136F:89.03修繕【森林公園】
・8137F:90.10修繕【春日部】→92.07【館林】→03.02【七光台】
・8139F:91.03修繕【館林】→02.03【春日部】
これ以外に選択肢を増やそうとすると、床下機器類を大幅に弄らなければいけないため
その手の作業に精通していれば仕立てるのは容易ですが、私には知識や技能が無いので割愛します。
ひとまず今後の目標として、乗務員室扉の下部手掛けを撤去した編成を3つほど仕立てるつもりですので
撤去のメソッドや車体塗装についてあれこれ調べていきたいなと思います。
【おわり】
*主な参考文献
・モデルワム 『東武8000系列ディテールUPガイド』
・丸目会 『詳説 東武8000系 総集編』