小学校2年生の時、亡父とみた映画「モンパルナスの灯」。
当時(1960年代後半)の娯楽は、テレビで洋画の吹き替え版をみることだった。
毎日のように名作からB級、C級までたくさんの洋画をみた。1日2本は必ずみた。
その中でも、鮮明に記憶に残った映画が、「モンパルナスの灯」だ。まだ8歳だったけれど、主人公のモジリアニを演じていたジェラール・フィリップに魅せられた。透き通るような瞳が忘れられなかった。私の初恋だ。ジェラール・フィリップはというと、私がこの映画を見たときにはすでにこの世の人ではなかった。けれど、確実に理想の男性像を私の潜在意識の中に埋め込んだ。成長して調べる力ができて来た時情報源に、まだインターネットはなく、月刊「ロードショー」「スクリーン」「キネマ旬報」といった雑誌や百科事典、近代映画社が発行していた「フランス映画史」などの書籍が情報源で、それらを片っ端から読み漁り、ジェラール・フィリップが出演する映画を探しに探して、彼のフィルモグラフィーに載っている作品をすべてみた(いまでいうヲタ活だろうか?)。8歳からはじまった「ヲタ活」であるが、すべての作品をみることができたのは17歳の時であった。フランス映画祭や小さな映画館でのたまの上映ぐらいしか機会がなかったからだ。その後は、レンタルビデオショップが展開され、今ではデジタルでのストリーミング配信があるので、作品へのアクセスは何百倍も容易だ。彼の出演作は、「赤と黒」「パルムの僧院」などの名作もあるが、「花咲ける騎士道」のような軽快な娯楽映画も結構ある。
それでも、ジェラール・フィリップに人気俳優ではない、芸術の匂いを感じるのは、美大出の亡父と一緒にみた「モンパルナスの灯」の影響だろうか?否、私が今の仕事に就いてから20年以上の時を経て、フランスの俳優の芸術の匂いの理由が分かったような気がする。その話はまたの機会に。
