告白その1:私は楽しい映画が好きだ。だからこの映画は好きじゃない。ブルース・スプリングスティーンが好きなだけで見た。
映画は泣きたいから、怖い体験したいからと言って鑑賞する気はしない。楽しくてナンボだと思っている。だからもし、この映画がブルースの話ではなかったら私は映画館には来ていないだろう。
告白その2:私はうつ病とパニック症になって、何もできず動けない日が続いた過去がある。だからブルースの自伝を読んだ時、まさか自分の体験を、ミュージシャンの彼が、詩的にリズミカルに、リアルな感情を呼び覚ますような文章で表現しているのにかなり驚いた。
この人、俺と同じ体験をしている!しかもリアルすぎて、自分が上手く言えなかった:人に上手く伝えることができなかった感覚を見事に表現している!そして、この映画もまさかその再現を的確に映像化していることに驚き、映画館で息苦しくなった。
だからもし、この映画がブルースの話ではなかったら映画館には来ていないだろう。
告白その3:この映画は日本では一般向けではないだろうと思っている。
理由は2つ。まずブルース・スプリングスティーンの名は50代以上のロックファンしか知らない。知名度は残酷だ。有名無名は時代をなかなか超えられない。そして、二つ目の理由は、ブルースの苦しみ、悩みは一般人には共感し辛いから。というか、本当の痛みはなってみなければわからないのは当然だが、伝わり共感しにくい。それっぽい気持ちは伝わると思うが、本当のリアルを知ったらいたたまれなくなり映画館を出てしまうだろう。
さて、以上の私の告白を読んでいただいたら、この映画を見る気は全くしないと思う。宣伝ではないのだから仕方ない。しかし、それをも覆す「何か」を感じる事ができるのがこの映画の素晴らしいところだと思う。
ロックを期待しないでほしい。ヒューマンドラマであり、父と息子のストーリーであり、心の旅路を続ける人の道しるべになるであろうエピソードの一つ。あなたが自分の人生に目を背けないで歩むための後押しになるかもしれない。