こないだナナコは保育園の運動会だった。僕は仕事で行けなかったが、とても見たかった。

僕に似れば運動神経が割といい方なので、数少ない僕に似て欲しい所だったんだけど、残念ながらナナコは臆病だった。2、3ヶ月前に、保育園の参観日の時、公園で遊ぶ姿を親達が隠れて見学する事があったのだが、ナナコは砂を使って料理ばかりしていた。最初はお友達も一緒に遊んでいたけど、すぐに飽きて、大きなすべり台やターザンロープで遊んでる中、ナナコだけひたすら料理を作ってる。非常にスローでマイペースな子だった。

要は恐いだけだった。転ぶのが恐い、落っこちるのが恐い、痛いのが恐い。だから、砂場で料理しかしない。砂場は痛くない。

参観日の次の日同じ公園にナナコを連れて、すべり台やターザンロープを練習した。別に他の子と同じ事をしなくてもいい。だけど、自分が楽しいと子どもの頃に思う事は知って欲しかった。僕は、たまに転んでもすべり台やターザンロープは楽しかった。自分の力じゃどうにもならないくらいの、スピードや、滑り降りる感じ、ぶら下がって空を飛ぶ鳥のような感じを。遊具によって3秒くらいアクションスターになれるのだ。知ってつまらないならそれでいいから、やってみて欲しかった。

理不尽に出来なかったら公園に置いてくという冷たい言葉も言ってみた。ナナコは泣きながらすべり台を何とか1人で滑った。優越感なのか、帰って嫁に「1人で大きいすべり台やったよ」という自慢話をしていた。僕も嬉しかった。

話は運動会に戻り、仕事中に動画が送られてきた。ナナコが一生懸命走ったり、踊ったりしていた。運動神経があまりないので、どれもゆっくりとした動きだったが、僕の知らない保育園のナナコの姿が、とても美しかった。

ナナコ、キミの心がとても好きだよ。と思った。こんな気持ちを2,30年後に出会うだろう男に、ちゃんと口説かれて言われますように。