ミスフルレビューその60
60発目・1年軍追撃の刻
前回のお話・・子津のセンター前ヒットの際、兎丸は本塁へ突っ込み、セーフ。10-7となり、次の打者は辰羅川。1球投げられたあと、弱点を見つけたと言い出す..
しかし、1コマ目。
何故か見逃してツーナッシングと追い込まれます。弱点を見つけたんじゃなかったんですか?
挑発する鹿目。さっきから連打されているのに調子づいてるのは何故でしょうか。
すると、辰羅川はバッターボックスを離れ、投手に近づき、足下に線を引き始めます。
ええと、グラウンドにわざと細工して良いと思ってるんでしょうか。
線を引きながら辰羅川は語り出します。
「…さすがは剃刀…その名に恥じぬ切れ味ですね。その球は剃刀の如く冷たく鋭い、そしてベースの隅をつく寸分違わぬコントロール。まるで精密機械のようです…」
「これは一捕手としての見解ですが、その正確過ぎて生命を感じさせない投球にこそあなたの弱点は潜んでいます」
大きな事を言ってますが、いつから鹿目が精密機械のようなコントロールをしていることになったのでしょうか。楽勝に抑えられると思ってる相手に四球2つ与えておいてその評価はいかがなものでしょうか。
根拠のない推測ですが、鹿目の実際の設定としては「精密機械のようなコントロール」としたものの、打順の巡り合わせを間違えたため、そのうめあわせで四球ということにしてしまった。そのせいで精密機械という設定と現場の状態(=四球を出したこと)が矛盾したと考えられます。
ギャグが1ページ続き、3球目に入るところへ。
鹿目「相変わらずその間抜けな構えか…結局奇をてらっただけなのだ」
ええと、まだ一回もスイングをしてないのに奇をてらったと結論づけてしまうのはどうかと思われますが。相手キャラを悪く描こうとしすぎて鹿目の思考回路がおかしくなってしまっています。
鹿目が3球目を投げます。投げた後で辰羅川は2回方にバットを当てます。すると、走者が走り始めました。
遅すぎです
1年生「ダブルスチール!! 足で掻き回すつもりか!?」
ツーストライクで、相手は積極的にストライクを取ってくる投手なのですが.....
ここで回想シーン。辰羅川が犬飼に剃刀カーブの攻略法について語っています。
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辰羅川「今まで我々は剃刀の変化前を打席の前方で捕らえるように考えてきました。結果、敵のレフト寄りの守備陣形に完璧に防がれています。」
辰羅川「ならば私が狙うはただ一点、二段目のカーブの変化前です」
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そして時は現在に。
2ストライク後、地面に付けた線の上をボールが通過しました。どうやら目印だったようです。
「あなたの変化球は精密機械のように同じ場所から変化する」
分かってるんなら目印を付ける意味がないんじゃ..
しかも、今回辰羅川はオープンスタンスを取っていますが、別に最初から開いていなくても打つときに開けば問題がないのではないでしょうか。まさか、作者は、最初に構えた方向から足の方向をずらして打てないと思ってるんじゃ..
あと、打球を線でとらえるには、カーブの軌道と垂直に体を向ける必要があるらしいです。
そんなセオリー、野球をやってて一度も聞いたことがありませんが。
あまりに無茶苦茶な論理に加え、結果は回想シーンで「レフト寄りに~」と言っていた、まさにレフト方向の打球が飛んでいきました。
すいません、言ってることとやってることの食い違いが多すぎて上手く言葉でまとめることが出来ません。
打球はサード頭上を越え、あらかじめレフト寄りに守っていた左翼手の正面へ。セカンドランナーの司馬は三塁を蹴って本塁へ。すでにスタートを切っているのですから余裕で間に合うはずなのですが、何故かクロスプレーに。判定はもちろんセーフ。
ちなみに、この場面で司馬が三塁を蹴ったコマ、牛尾がレフトに向かって手を挙げてますが、ここでは本塁へバックしながらカット受けを待つのが普通のプレーです。正直、こういう定石を知らないまま野球の試合を描いているのが不思議でなりません。絶対におかしくなるに決まってるじゃないですか!!
すいません、取り乱しました。
躍進する1年生に感心する牛尾主将。そこに、鹿目が怒りを見せながらやってきます。3連打されても相手を舐め続けてきた人間の態度ではありません。
鹿目「僕たちはずっと表舞台にも出れず耐えてきて…今年やっと…自由になれたはずなのだ…」
鹿目「それを今さら後から出てきた1年共なんかにかすめ取られていいのか?」
突然、どこからともなく過去の背景話が出てきました。さっきまで相手を舐め続けていた彼はどこに行ってしまったのでしょうか。
うなだれる鹿目に対して、牛尾主将が語りかけます。
牛尾「今やっているこの試合…羊谷監督の唱える実力主義こそ、僕らのかつて望んでいた事じゃなかったのか?」
衝撃の事実。
かつての名門校で毎年何十人もの部員が入ってくるこの十二支高校は、レギュラーが実力主義で決められていませんでした。
ここで皆さんに質問です。
自分は野球の才能があり、甲子園へのキップを自分の力でとりに行きたいと思っているとします。
さて、そんなとき、実力をもとにレギュラーが選ばれないような野球部のある学校に入ろうと思いますか?
私ならこうです。あくまで私の答えですが。
Yes
ニアNO
( かなりレビューから離れてますが今回は許してください )
牛尾「だから今こそ僕たちは実力で1年軍に勝とうじゃないか!」
ここで羊谷監督が久しぶりに語り出します。
羊谷「そう、この勝負…負けられないという気持ちは上級生も下級生も同じだな」
何当たり前のこと言ってんだか...
そして、猿野の打順に回ります。1ページぶち抜きの大ゴマで登場したところで、60話は終了です。
正直今回は感情を表に出してしまい、評価という行為をないがしろにしてしまっている部分が結構ありましたので、まとめがしにくい状態となってしまってます。野球部分のおかしさ、言ってることとやってることが違うこと。
公称何百万部を発行している雑誌に掲載されている漫画として認められないほど稚拙な内容でした。
ミスフルレビューその59
59発目・ぼくの足
前回までのお話・・兎丸、司馬の連打でツーアウトながら1、2塁。打者子津のところでランナーがダブルスチール。子津はストレートをねらい打ちし、打球はセンター前へ。兎丸は3塁を蹴る..
実質エンドランであるこの作戦。外野に打球が抜ければ通常なら3塁を蹴って余裕で生還出来ます。というか、そうでなければここでダブルスチールをする意味がありません。
場面は兎丸が3塁を蹴ったところから。
1年生達「本塁に突っこむ気か!?」
前回からこの辺の非常識が修正されるわけが有りませんが、やはり不自然極まりないです。
更に不自然な状態は続きます。
遊撃手の蛇神が、レフトに向かってボールを要求するような構えを見せています。
ボールはセンターに向かって転がっているのに、そんな一昔前の野球ゲームのような動きをさせていいのでしょうか。
辰羅川「暴走です!」
あの、ダブルスチールは何のために...
センターが捕球、本塁へ送球します。しかし、本塁へ送球が向かってくるシーンは、どうみてもライト方向からの返球にしか見えません。いくら真正面に向かっての構図が難しいからと言ってこれでは嘘を書いているのと同じです。三象も一歩間違えれば走塁妨害です。そして、最初から片膝を付いて送球を待っていますが、逸れたらどうするつもりだったのでしょうか。
送球が迫る中、兎丸のペースが急に落ちます。(描写を見ても減速してるようには見えませんが)
1年生チームは3塁へ戻れと叫びますが、減速した時点で戻るのも困難だというのがわからないのでしょうか。
ここで回想シーン。辰羅川が兎丸に、「足が通用しなかったらどうするんですか」と聞きます。それに対し兎丸は「この足と一緒に死んだっていい」と答えます。
さて、この状況でこの回想シーンをやる意味が分かりません。現在兎丸は「自分の足をフルに生かせない状況」にあります。重りを付けているためです。もしこの状態でアウトになっても、実際の試合では重りを付けるようなことはありませんから、この場合は通用しなかったという結論には達しません。
そういう意味でも、この重りを付けるというルールが何の役にも立ってないことが良くわかります。
むしろ、この回想シーンを使うなら、重りを付けない状態で蛇神にアウトを取られたことのリベンジを行うときにするべきです。今回の場面では、誰がどう見ても「おもりというハンデを乗り越える」状況であり、兎丸のポテンシャルがどうのこうのという場面ではありません。作者の構成力の弱さがここでも伺えます。
そして、猿野の野次にいらいらする兎丸。走るのに集中しろよ、と突っこみたくなるシーンです。
次のコマに出てくる三象の位置はどう見ても走塁妨害確定です。ボールを持ってるならともかくこのままでは確実に反則です。
兎丸はヘッドスライディングを行います。すると、タイミング良く送球がストライクで帰ってきました。
鹿目「たたきつぶせ、三象!」
いや、そんな命令聞く時間もありませんが。
タッチをしに行く三象。しかし、兎丸はそこから手を付き、あん馬の体操選手のように回転しながら飛び上がり、三象を空中で越え、本塁へ。
ええと、この場面でこれが出来るのなら減速することもないでしょう。地面すれすれに体をまっすぐにした状態から手を付き、体を上方に持ってくるには、かなりのパワーが必要です。体力を削り取られた状態でこれをするには無茶があります。
とりあえずホームインで1年生チームは1点をもぎ取りました。ただ、現在いるランナーがすべて帰塁しても追いつかないので、3塁コーチャーが死ぬ気で止めるか、普通なら余裕で間に合うので1点を難なく取る展開にするべきです。
兎丸「これでもうガキなんて呼ばせないもん」
全員の制止を聞かずに暴走する行為も、
結果オーライならガキじゃなくなるんですか、鈴木先生!!!!!!!!!
続いては4番辰羅川。猿野に4番らしい活躍をしてないと野次られます。
打席に立ちます。鹿目が第一投を...カーブでした。ランナーが複数いるときはストレートじゃなかったんですか?それなら兎丸が出塁した直後の司馬もそうでしたが..
辰羅川「この回ストレート2度ヒットされてるこの場面、もう私にはストレートはないと見ていいでしょう」
ええと、どの条件が最優先事項ですか?
カーブを見送ったところで、辰羅川が剃刀カーブの弱点を見つけたようです。今回はここで終了です。
今回のまとめですが、前半は最悪です。一言一言、あらゆる描写、展開、すべて劣悪です。特に、回想シーンと場面の状況がマッチしていない点はお粗末です。今まで漫画を読んできた中で、ここまで合わせられていないのは見たことがありません。
ミスフルレビューその58
58発目・紡がれる糸
前回までのお話・・兎丸は前に突っ込みながらバットを叩き付ける方法で何とか内野安打をもぎ取る。次の打者司馬はそれまで一度もスイングをしていないが、初球、初めてスイングを始める..
そして、司馬は剃刀カーブを打ち返しました。が、どう見ても甘いコースです。
打球はセンター前へ。センターが物凄い前進守備をしているのは気のせいでしょうか?
2塁へスライディングする兎丸。1塁を駆け抜ける司馬。野球経験者から見ると、このシーンは違和感だらけになることでしょう。二塁手と遊撃手のどちらかがカットにはいるわけでもなく、二塁手はセカンドベースに付いているだけで遊撃手の蛇神様は守備を放棄したのか、いません。
そして、羊谷の解説が始まりますが、書き写す価値もございませんので省略します。手抜きで申し訳ありません。
そして、次の打者は子津。猿野が全身突っ込み打法はやめろと忠告しますが、子津は「弱点を見つけた」と言い放ち、打席に向かいます。
さて、その弱点とは..「ランナーがいるとき、三象は右手にミットをはめている、且つカーブは球速が遅いのでランナーを刺せないため、ストレートを投げざるを得ない」
ええと、司馬の時もランナーいましたよね。
こんな感じで付け焼き刃の矛盾だらけの弱点を突いた子津はセンター前にはじき返しますが、何故かピッチャーのすぐ横あたりに守っていた二塁手の猪里がまたも素手で打球を捕ろうとします。そして、その手にはいつの間にか包帯が。タイムかけて巻いた場面はありませんでしたが..
何故か前進守備になっている猪里。ランナーが走ったので、ベースの近くにいれば正解でしたが、こんな位置にいるのは謎です。
しかし、今度ははじきます。犬飼の時は捕れて、子津の時はダメ。ダメージが蓄積していたと解釈出来ますが、猪里本人は全く痛がっていません。
グローブで捕りにいっても間に合います
打球はセンターへ。すると、兎丸が何を思ったのか、3塁を蹴ってしまいます。普通に考えれば、ヒットエンドラン状態で、打った瞬間には3塁の直前まで達していて、かつセンター前に抜けたので本塁に向かっても十分間に合うタイミングではありますが、重りをつけながらの走塁なので、ここは慎重に行きたいところなのに暴走を始めます。
あの、兎丸が帰塁出来ても点差は3点。ここで走るメリットはどこにもありません。
兎丸は例の如く、「VR~」と叫びながら突進。届かないような場面で届くように走るのは見せ所としてはいいかも知れませんが、そうする「必要がない場面」でそれを実行する意義はどこにもありません。
今回はここで終了です。解説を一部省いたので短めになりました。
話としては、大逆転への布石という回でしたが、打てた理由が稚拙すぎて評価に値しません。打たせるために鹿目が都合の良い球を投げてるような状態になっていて、ご都合主義の感が否めないのが評価に値しない理由です。
今回のシュール
2つ上の猪里の位置を考慮すると、セカンドベースには誰もカバーがいないということになります。ランナーはとっくに3塁を蹴っているのに、一塁手のように構えて待つ牛尾主将に哀愁が漂っています。というか、蛇神様が動かないのは仕様ですか?
ミスフルレビューその57
57発目・振り返らずに
前回までのお話・・10対6のまま9回の裏へ。片貝、犬飼が打ち取られツーアウトとなった..
1年生「鉄壁だ…犬飼のあの痛烈な打球を素手でキャッチしちまうなんて」
確かに、硬球のライナー打球を素手でキャッチして怪我1つしないその姿は「鉄壁」と呼ぶに相応しいと思いますが、何か違うような..?
その後、猿野がギャグを1ページかまします。素手でキャッチしたのを無理矢理「ダイレクト」と称して繋げただけで、相変わらず本編に一切結びつきません。
そういえば、鉄壁だと嘆く前の台詞に、同じく1年生が
「ツーアウト…」
「クッ、もうおしまいか…」
野球はツーアウトから、ってよく言われることからも、選手に9回ツーアウトを嘆かせる手法はどうかと思います。
話は変わって打席には兎丸。両腕を下げた格好で構えます。
鹿目「フッ、何を企んでるのか知らんがオマエのギロチンは完璧に破ったのだ。今更通常のバットに戻したところでその封鎖された体で何が出来る」
ギロチンの構えしてないのに完璧に破ったと誇る意味はありませんが..
さらに1年生がダメだと嘆くところ、猿野が「だから望みを捨てんな!たとえおまえらが全員勝負を投げてもなあ」と檄を飛ばします。その後猿野がギャグで覆しました。
鹿目が第一球を投げます。
兎丸はその時、打席の前の方に向かってダッシュします。そして、そのまま投手の方向に向かってバットを上から振り下ろします。下に構えてた意味がありません。
2巻の時にも説明しましたが、これを成立させるには、投げられたボールがバッターボックス上に来なくてはなりません。つまり、大暴投が投げられなければバットが届かないのです。しかし、兎丸は何故かバットにボールを当てることが出来ました。
そう、これも、特殊な打法がすべてであり、結果に至る過程がまるで考慮されていない結果です。ストーリーを構築する上で中身を作るのを放棄しているようで、非常に稚拙です。
ただ、整合性を付けようという意志はあって、打った後はやや斜めになってます。が、振り下ろす前の格好はどう見ても体の正面を投手に向かっていないと出来ない状態のものです。さらに、右足を軸にした瞬間、足が揃っているため、この時点で斜めではなく、正面を向いていることが分かります。
打球は高く跳ね上がりますが、蛇神様が「虚空」と称しながらジャンプします。が、はじきます。牛尾がフォローし、送球。兎丸はヘッドスライディングでベースにつきます。が、ベースに届いたところで止まるようなヘッドスライディングなら、例え重りを付けていたとしても駆け抜けた方が速いです。
それにしても、きわどいプレーなのに、体が柔らかいはずなのに、虎鉄が足を伸ばしません。
そして、次の打者は前打席まで一度もバットを振っていない司馬。1年生達は不安がります。
「さすがにな…ここは代えた方が」
滅茶苦茶他人事です。作者、チームメイトをただの観客のようにしか扱えていません。せめて代打志願させたらどうでしょうか。
辰羅川は、兎丸に進言し、打席に立つ前の現在、素振りをしていることを考慮し、代打を送る決断をしませんでした。代えろよ。
鹿目が第一球を投げます。舐めて投げた割には決め球の剃刀カーブ。
1年生「ギャ~剃刀!」「終わっちまう!」
あの、フェアゾーンに打ち返さない限り、ワンストライクになるだけでまだ終わらないんですが..本当に作者はチームメイト、いや、違った、ギャラリーを、現場の整合性すら合わせることを忘れてまで嘆かせるのが好きなようですね。
そこに、司馬は一度もしなかったスイングを始めます。
辰羅川「あなたは今までの打席を放棄していたわけではなかったのですね。すべてを最終打席に!」
ええと、せめてどこかで目論見のヒントとなる伏線くらいは立てるべきでは..第一打席は違う投手だったわけですし、いつ出てくるかどうか分からない1軍の投手相手に最終打席に、って、ちょっとおかしいですね。
今回はここで終わりです。打たなければ負けなので、確実に打つだろうという予想が嫌でも立ってしまいます。そういう意味では、面白くない「引き」です。せめて、打つ以外に出塁するような素振りでもあればまたいろんな結果を予想させることになるのでいいのですが..
今回で特に印象に残ったのは、「やたらネガティブなチームメイト達」です。彼らは負ければ1軍入りが確実になくなるわけで、絶望にうちひしがれる暇はないはずです。それが、他人事のように絶望的見解ばかりを言わせている作者はどうかしてると思いました。
ミスフル6巻名画館
どう見てもプレートの上を踏んで投げてます
本当にありがとうございました
イレギュラーした瞬間に野手が追えないほど加速しています。
(※バントの打球です)
どう見てもこの後はバッターボックスから足が完全に出ることになりますので反則。
打球をダイレクトでキャッチしようがしまいがアウトです。
変ですね。右投手が投げるとき、軸足は右足になるはずですが、
これはどう見ても左足が軸になってます。
私はこの絵を見た瞬間、自分の頭がおかしくなったのかと錯覚してしまいました。
痛そう
それ以前にこんな体制でキャッチ出来る=余裕がある
なので、素手で取る意味は全くありませんでした。
普通ならまさに言葉通りの骨折り損ですが、怪我すらしてませんでした。
飛びついて捕れないのまでエラーになってます。
そして、猿野の打球処理。この打球はどこから飛んできたのでしょうか。
猿野の向く方向に対して真横から真横に飛んでます。
いったいどういうシチュエーションになればこんな構図が出来るのでしょうか。
初球から堂々ボールゾーンに構える三象。左打者に剃刀カーブを使わないのならミットは
左手に戻した方が良いんじゃないですか。
ミスフルレビューその56
56発目・鹿目攻略への道
前回までのお話。2点ビハインドの場面、猿野はカーブが曲がる前に打つという全身突っ込み打法で望むものの、あらかじめレフト線にシフトしていたレフトにキャッチされ、アウト。次の回には追加点を入れられる..
9回裏、1年生チームの攻撃。先頭は8番、片貝。先回の失点のせいで、腕に重りを付けられています。
辰羅川「内野陣のエラーがらみで敵クリンナップに2点献上してしまった」
向こうの3~5番「に」2点をあげるとはどういう意味なのでしょうか。「敵に」なら分かりますが、なぜクリンナップに、と付け足してるのか意味不明です。おそらく3~5番が打席に立ってるときに点が入った事を強調したかったのでしょうが..
そして、前々回、打順が飛んだ理由がここで判明します。辰羅川曰く、出塁は四球で、と。
しかし、おかしいですね。確か前回、子津曰く「剃刀カーブは必ずストライクゾーンをかすめる」とあったのに
四球が出るのはまず考えられません。あるとしても、ストライクが必ず入るなら別に投げてもいい気がするけど投げない対左打者、ということになりますが、兎丸の件では前打席に出塁したかどうかすら記述されていませんし、検討する余地がありません。犬飼の件については今回打席が回るのでこの時点では保留します。
辰羅川「なんとしてもこの回で鹿目先輩を打ち崩さなければ我々の勝利は砂上の城の如く脆く崩れ去る」
~しなければ、と例えるまでもなく打ち崩せなければ負けです。小学生でも分かります。
2ページ弱にわたってギャグが入り、猿野が「あのスパスパカーブは俺がブチのめす」と宣言します。格好良いことを言ってるようですが、さっき打ったじゃん、というツッコミは無しなのでしょうか。
いや、ツッコミ..全身突っ込み..いや、何でもありません。すいません。
片貝は見よう見まねで全身突っ込み打法を..たしか、全身突っ込み打法は子津が始祖で、猿野も見よう見まねだったはずでは。今更見よう見まねで、という表現を使うのもどうかと思いました。
しかし、結果はピッチャーゴロ。パワーが足りないとかおもりのせいとか書かれていますが、それよりも打球はレフト方向に飛ぶんじゃなかったんですか?(前回レビュー参照)
次は9番犬飼。
羊谷監督「奴のピッチャーとしての資質は認めよう。が…バッターとしては…」
資質を認めたから入部試験でAチームに入れたんじゃなかったんですか監督。どうやら、この監督、見る目が無いどころか、これまで自分がしてきた評価すら忘れています。
そして、打者としてはダメだという評価=犬飼の前打席は凡退
と推測出来ます。しかし、この推測はハズレでしょう。なぜなら、前回の時点で省略された打席は
詳細が設定されていないという確証が出てしまっていますので..この辺もおかしいところが重なりすぎて
どこがどうおかしいのかを上手く説明出来ない状態になっています。申し訳ありません。
羊谷監督のつぶやきとは裏腹に犬飼はボールを見事に打ち返します。が、ボールが当たったと思しき箇所がホームベースよりはるか後方。どうやってもセンター返しなど期待出来るようなところで打ててません。
センターへ抜けようという打球。2塁手の猪里が飛びつこうとします。しかし、届かない。
そこで、猪里は「こりゃグローブじゃ追っつきそうになかね」と言いながら、なんと素手でキャッチします。しかも何か平気そうです。作者は一度強烈なライナーを素手で受け取ってみることを薦めたいと思います。
しかも猪里、ダイビングキャッチすらしてません。届かないんじゃなかったのかよ!
そして、キャッチする瞬間の動きが狂ってます。これは文章では上手く表現出来ませんので割愛させて頂きます。
2アウト。次打者の兎丸は緊張し始めます。「おもりがなければあんな奴ら楽勝に」と言ってますが、おもり無しでも打ち取られたことをすでに忘れているようです。そして、兎丸が出て帰塁しても3点差です。彼ら、いや、作者はどうも野球の試合に勝つということがどういう事かまるでわかってないようです。
緊張する兎丸に司馬がやってきて、バットを渡します。
そして、妙な構えをする兎丸。明らかにボールゾーンにミットを構える三象。シュールな光景なので一度拝見するといいかも知れません。
ここで56話は終了です。ちょっとだけでしたが、久しぶりに監督節が炸裂しました。
話としては山もオチもないというところでしょうか。ピンチが更にピンチになったくらいの話です。
こういう回では、ダメだけど光明が見いだせる何かがちょろっと出てくるような部分があればいいのですが、全くありませんでした。素手でキャッチした猪里が以後の守備のミスのきっかけになるような怪我をしているとか、あるいは手を強調して何か変調を来したというサインを見せるとか、いろいろあります。こういう小さなフラグを何本も立てることで、前後の話の繋がりを生み出す事が出来るのですが、ミスフルの場合は全く出来ていません。
現に、この54~56話で、省略した打席の部分がどうなっているのかが真っ白になっているせいで前後の整合性が失われていますし。
ただし、兎丸の場合はアウトになれば終わりですから当然何か無いとどうしようもないので数に入れていません。
6巻終了です。お疲れ様でした。次は...先生、表紙がおかしいです。特に鳥の人は何か変な病気に掛かっているのでしょうか...
ミスフルレビューその55
55発目・蜘蛛の糸
前回のお話・・1年生チームのリリーフを任された犬飼は好投する。それに対し2、3年生チームのリリーフ、鹿目はヒットを打たれることのないまま8回へ。ワンナウトランナー無しで打者に猿野を迎える..1年生達「いけ~猿野!」「でけえの頼むぞ」
ええと、猿野がホームランを打てば何とかなるような雰囲気ですが、点差は2点で、ホームランが出てもまだ負けてます。選手達、いや、作者は自分で設定したこの状況が分かっていないようです。
猿野はこれが最終打席と思っているようですが、つい先日まで野球のやの字も知らず、それ以降もルールを覚えようという気配がない人間が打席に立てる計算を出来るとは思えませんが..
その後猿野のエロ妄想が2ページ半続きます。マネージャーとの風呂場でのハーレム(マネージャーは全員全裸、湯気で乳首隠し)という明らかなてこ入れが見られます。
「プレイ!」
ええと、前の打席は三振でタイムもかけられていないんでこの宣言する必要ないんですが..
猿野と鹿目が挑発し合います。こういう事ばかりしてるから話が進まないような気がします。対立構造を必ず作ろうとしているのが見え見えですし、あまりいい手ではありませんね。
ここで回想シーンが入ります。おそらく打席前。
子津「ただ1つだけ確実なのは決め球である剃刀カーブは必ずストライクゾーンをかすめるということです」
ええと、たしか前回、左打者に剃刀カーブを投げないのはストライクじゃない場合はデッドボールになり、それを考慮して投げないという話では?必ずストライクゾーンを通るように投げられるという分析と滅茶苦茶矛盾してます。
ただ、左打者には~という分析は辰羅川が行っていたので解釈の違いとも言えますが、その子津の横にいる辰羅川は子津の言葉に反応しません。
辰羅川「一度曲がり出したら捕らえるのは非常にハード…」
辰羅川は野球未経験者ですか?ストライクゾーンをかすめるということは、すなわち普通に打席に立ってスイングすれば届く所にボールの軌道が通るということを意味します。そして、ストライクゾーンをギリギリで通る、曲がりの大きいボールは軌道が予測出来るということも示します。
なんというか、剃刀カーブを万能のウイニングショット(空振りがとれ、且つ、見逃せばストライク)にしようとしてその対策が支離滅裂になっているような気がします。
第一、辰羅川が三振したとき、辰羅川はアウトコース一杯に向かってスイングしてるのにそれよりも外へ流れていったのだからそれはストライクゾーンを通っていないのでは?何か1つとっても説明と実体が噛み合っていません。
そして辰羅川はそのカーブを攻略する方法を見つけたそうです。「しかし、その難攻不落の城を落城させるただ1つのほころびをみつけました」
1ページ半ギャグが続き、鹿目から第一球が投じられました。
あれ?
投げている鹿目の足の位置がおかしいです。右投手なのに、何故か右足が前に出ています。しかも、左足は前方ではなく、マウンドよりも左前方向に位置しています。いくら何でもこれはおかしすぎます。
鹿目は剃刀カーブを投げました。それを、インコースに向かってフルスイングする猿野。必ずストライクゾーンを通るというアドバイスを聞いてないかのようです。
そして、猿野はギャグを交えて挑発し、剃刀カーブを続けて投げさせます。
猿野「おっしゃ、挑発成功」
おそらくこれがギャグと本編が直接関連した初めてのケースです。これまではギャグと本編は互いに展開の影響がほとんど見受けられませんでしたが、今回初めて絡みました。といっても、大体の漫画では影響するケースが大半なので驚くようなことでもないんですが..
ここで、辰羅川の剃刀カーブの弱点が披露されます。
それは
変化の曲がりっぱな
だそうです。
どの強力な変化球も変化する前に打てばいい
そんな理論で打てるものなら
誰もがそうしてます
昔の野球漫画ではよくそういうケースがありましたが、限界があります。
しかしこの漫画は、最初の試合、入部試験のときに1つやらかしています。
全身突っ込み打法という、打った後はどうするの?みたいな打法が。
しかも猿野は実行してしまいました。しかも、バッターボックスの一番前に出て、そこから飛びました。バッターボックスから足が全部出たので打ってもアウトです。
一応打球はレフト方向に飛びましたが、あらかじめレフト線寄りに守っていたレフトにキャッチされ、アウト。
鹿目は、自分のカーブの弱点がその曲がりはじめで前の方であるということを認識していて、あらかじめレフト寄りに守らせていたようです。アウトコースに逃げるカーブなら普通はギャグにシフトをさせるはずなのですが、ああ、なんか訳が分からなくなってきました。あまりに無茶苦茶過ぎて書いても書き足りません。
そして次の回、エラー連発で追加点を取られました。猿野、兎丸、司馬のエラーとテロップにはありますが、この絵を見る限り兎丸と司馬はエラーではありません。しかも、猿野に至っては、ボールが左から右へ飛んでいます。一体どういうプレーがあったのか想像出来ません。
今回はここで終了ですが、前回と合わせて、もう滅茶苦茶です。
ミスフルレビューその54
54発目・完全封鎖
前回のお話・・子津降板。犬飼登板。打者猪里に対し、剛速球でストライクを取る..
表紙はマネージャーの水着。読者サービスですね。
冒頭からギャグ。そして、2ページ目の最後に衝撃的な文字が拝見出来ました。
「ミスターフルスイング 野球漫画です(念のため…)」
この漫画、あまりに野球描写が稚拙で酷いため、あらゆるところで「野球じゃない」という評価を下されてますが、作者はあくまで野球漫画だということで連載を続けているようです。よって、私もこの漫画を引き続き野球漫画としての観点も含めて評価したいと思います。
2球3球と犬飼は投球を続け、猪里を3球3振に仕留めます。その間に猪里はバントを試みようとして空振りしています。その時の投球は、バットよりも上のコースでしたが、もし仮にそのコースに合わせられたとしたら、この場合指を直撃します。
○←ボール
二○二コ
↑バットの前に出てる指の位置
上下を重ねると、指に当たる。そんな描写でした。
ギャグを挟み、試合は4回の表まで進み、って、3回の裏しか省略されていません。
しかも主人公である猿野の打席からだったはずなので、ここを省略するのは謎です。
2,3年生チームはクリーンナップ。なんと、三者三振に仕留めます。蛇神様、ボールが止まって見えるんじゃなかったんですか?勝手に弱体化しすぎです。
そして、再びギャグのオンパレード。1年生マネージャーが犬飼を褒めますが、マネージャーなのに選手を把握出来てないとはこれ如何に。
牛尾主将「とにかくストレートが驚異的だね」
蛇神様「わかっていながら体がついていかないとは」
上から降ってくる何百のボールをよける事の出来る蛇神様がこんな台詞を言うわけがありません。
試合はさらに省略され、投手戦になったまま7回裏が始まります。バッターは兎丸。
3回裏は猿野からということから計算しますと、毎回3人ずつで終わっていればこの回は8番からです。が、兎丸が打席に立っています。つまり、3回から6回まで2人ランナーを出したことになります。全く手が出なかったはずなのにこれはどういう事でしょうか。
しかも、その後のコマで辰羅川が「誰一人ヒットを打ててない」と言い出してます。四死球の可能性というのもありますが、こういう状態でランナーが出たらまずそこがピックアップされるはずなのですが、されなかったので、単純に都合よく兎丸の打順にしたかったのでしょう。
しかし、この斜め上から見た内野の全体像、正面に網のフェンスが置かれていない監督、アナウンス席が非常に危険です。これは先のバッティングマシーン以上にシュールな光景なので、古本屋などで確認するといいかもしれません。
チームメイトは鹿目の剃刀カーブを何とかしろと言います。しかし、辰羅川は心配無用といいます。なぜなら、兎丸は左打者、鹿目の剃刀カーブはストライクゾーンに来なければ死球になるから投げられないそうです。が、それは省略した初対決の時、すでに確認出来る事ではないでしょうか。
どうもこの54話、試合とそれに使った話数の関係で無理矢理省略しているように感じます。冒頭のギャグにも、「信也(作者)のダレきった展開の為~」という台詞がありますし、編集側から話を早く進めろというお達しが出たのかも知れません。あくまで推測に過ぎませんが..
鹿目の投げた球は案の定ストレート。兎丸はギロチンを使いますが、腕に付けたおもりのためか、威力が半減し、バウンドが高くありません。
腕におもりを付けて、上から下に振り下ろすのですから、大してパワーは落ちない筈ですが..
牛尾主将がジャンプして捕球、そのままファーストへ投げてアウト。足にもおもりを付けられているので余裕でアウトになりました。
続く司馬、子津もアウト。その翌回も辰羅川が三振。そして、猿野の打席になりました。
猿野「カミソリかなんだか知らんがよくキレるみてーだな」
どうもこれは3回の裏のようです。
「なかったことにされる」という言葉がよく使われますが、今回の場合、
省 略 し た と こ ろ = 何 も な い
状態になっています。一度対決しているはずなのに、初対決であるかのような解説、台詞が飛ぶという不整合が最後まで目に付きました。
今回はここで終了です。最初から最後までお話の整合性が無視された最悪の回でした。
話の構成という部分で言えば、五本の指に入る出来の悪さと思います。
ミスフル今週の感想(202話)
多忙でレビューを書く余裕がありませんので、
今週の感想を簡易レビューに近い形で載せていきたいと思います。
202話・雨降って
北海道選抜との試合は降雨で中止。球場を出た猿野は素振りをしないと気が済まないと叫びながら素振りをし続けます。
あれ、確か猿野は試合に出てないんじゃ..素振りよりも優先すべき事があるんじゃないんですか?
ほら、連帯責任で試合に出させてもらえない件。
同じく試合に出られなかった御柳(華武高校の4番)も何故か雨の中で素振りをしています。
おそらく、漫画に良く使われる「ライバルは似たもの同士」という対比を描こうとしているのでしょうけど、猿野と御柳は基本的に三角ベースボールの練習中に喧嘩しただけでそれ以外に接点はありません。互いを意識するような伏線は全く張られていません。
特に御柳は、猿野に意識を向ける動機が何一つありません。それが、突然ライバル同士のような関係になっているのですから、唐突も良いところです。実際にここでクローズアップされるべきは喧嘩してないのに連帯責任で試合に出られなくなった他の2人でしょう。この2人が罰を回避してもらうために模索してからがスタートなのに、突然猿野と御柳が絡んで勝負して何故か勝手に謝っているという謎行動。喧嘩した要因追求すらスルーです。
ところで、この猿野と御柳よりも酷い人物がいました。監督です。
前日、降雨でノーゲームにならなければ大敗していたわけですが..
とある他の漫画では、懲罰として試合に出させなかったりしましたが、それでも勝つ方法を模索する展開でした。しかし、前回の話ですが、監督はテコも動きません。無策のまま雨が降ってノーゲーム。とてもじゃありませんが、負けたら終わりという性質のトーナメントを勝ち抜こうとするために動いているとは思えません。
猿野の土下座で連帯責任の罪は解かれ、試合に出た4人は大活躍。昨日はボロカスにやられたのに、
圧勝ムードです。ダイジェストの試合は圧勝しか描かれないミスフルらしい締めでした。
今週の感想を簡易レビューに近い形で載せていきたいと思います。
202話・雨降って
北海道選抜との試合は降雨で中止。球場を出た猿野は素振りをしないと気が済まないと叫びながら素振りをし続けます。
あれ、確か猿野は試合に出てないんじゃ..素振りよりも優先すべき事があるんじゃないんですか?
ほら、連帯責任で試合に出させてもらえない件。
同じく試合に出られなかった御柳(華武高校の4番)も何故か雨の中で素振りをしています。
おそらく、漫画に良く使われる「ライバルは似たもの同士」という対比を描こうとしているのでしょうけど、猿野と御柳は基本的に三角ベースボールの練習中に喧嘩しただけでそれ以外に接点はありません。互いを意識するような伏線は全く張られていません。
特に御柳は、猿野に意識を向ける動機が何一つありません。それが、突然ライバル同士のような関係になっているのですから、唐突も良いところです。実際にここでクローズアップされるべきは喧嘩してないのに連帯責任で試合に出られなくなった他の2人でしょう。この2人が罰を回避してもらうために模索してからがスタートなのに、突然猿野と御柳が絡んで勝負して何故か勝手に謝っているという謎行動。喧嘩した要因追求すらスルーです。
ところで、この猿野と御柳よりも酷い人物がいました。監督です。
前日、降雨でノーゲームにならなければ大敗していたわけですが..
とある他の漫画では、懲罰として試合に出させなかったりしましたが、それでも勝つ方法を模索する展開でした。しかし、前回の話ですが、監督はテコも動きません。無策のまま雨が降ってノーゲーム。とてもじゃありませんが、負けたら終わりという性質のトーナメントを勝ち抜こうとするために動いているとは思えません。
猿野の土下座で連帯責任の罪は解かれ、試合に出た4人は大活躍。昨日はボロカスにやられたのに、
圧勝ムードです。ダイジェストの試合は圧勝しか描かれないミスフルらしい締めでした。
ミスフルレビューその53
53発目・目覚める左腕
グラウンドで一番高いところに一人、滅多打ちを喰らい、疲れ果てた右腕投手がいました。
彼はこの3回表、2アウトランナー無しからセーフティバント、長打をもらい、その後、1つもアウトを取れずに打者一巡の猛攻を浴びせられました。
その投手の名は、子津。
今年の4月、普通なら入学前にやるべき筈の入部試験をパスし、十二支高校野球部のチームメイトになりました。
登場時の彼は、入部試験の結果が今ひとつのチームに入れられていましたが、その試験時の試合では獅子奮迅の活躍を見せました。その姿は試験で良い結果を残した選手以上の動きを見せていました。
約2週間後、彼は今年就任した野球部の監督から、投手を止めるように言われました。しかし、彼はその要求を拒みました。
そして更に月日が流れ、彼は上級生相手に、マウンドから白球を放ることになりました。
レギュラーではない上級生は全く相手になりませんでしたが、レギュラーには通じませんでした。今までろくに結果が出せないチームのレギュラーなのにこの強さは何だろう?
..もはやレビューになっていませんが、これを今回の子津の回想シーンに変えてお送りしたいと思います。
状況は、失点を重ねた結果、重りが司馬と猿野に付けられ、マウンドに集まるときにはいつものように外野手まで集まっています。
子津は、マウンドを降りようとします。
ところで、投手をやるものは、「お山の大将」という言われ方をします。冒頭に書きましたが、野球場のピッチャーマウンドにあるプレートは、グラウンドの中で一番高い位置にあります。その高いところから他を見下ろすような、大きな心で敵や味方と対峙する。例え打たれても死んでもマウンドは他の選手に譲らないぞ、という気持ちが溢れる気概が投手には必要だと言われています。
おそらくここでは、子津の控え目な性格を利用してこうしたのでしょうが、このままではバトル漫画の
・「もうだめだ」「後は任せろ」→飛ぶ鳥を撃ち落とす勢いの活躍
というパターンと同じなのが目に見えます。野球じゃなくても通用するパターンですね。
要するに「野球」という素材を生かせてないわけです。野球ならば、ここでもう一度マウンドを退くことを拒む必要があるわけです。投手を辞めろと監督に言われたことは皆知らないわけですし、アウトが取れないのに続投を要求する猿野立ちにも違和感があります。勝負の世界と言うよりは、傷をなめ合う友情ごっこみたいで、とても勝利を目指しているチームには見えません。
監督にピッチャー辞めろと言われてそれを拒んだのに、滅多打ちにあってその気持ちが簡単に崩れる。
更にその回想シーンでは一度もあきらめていない。それなのにここであきらめる。矛盾しています。
とりあえず子津の要求に対して、辰羅川は承諾します。しかし、その理由に子津がもう思った通りのボールを投げられないという理由を付けています。おそらく1ページ前にあった、子津の腕が震えているのを見て判断したと思われますが、思うように投げられていないことくらいは投球受けてたら気づきます。
交代が決まったと言うことで、子津はトイレに行くと行って球場を去り、一人で泣きます。
子津に抑えられていた2、3年生達が「何て事はねえ、化けの皮がはがれたな」
と、自分で打ち崩した分けでもないのに語っちゃってます。敵としての悪いイメージを作るためなのかも知れませんが、あまりに頭の悪いキャラに仕上がってます。牛尾主将がつっこまないあたりも大きな違和感があります。交代時には叱っていたのに、もう忘れているのでしょうか。
その戯れ言を言う先輩に対し、犬飼がガンを飛ばします。そして、1年生チームに、子津が監督に投手を辞めるよう言われていることを話しました。ショックを受ける一同。そこで辰羅川が一言「良い考えがあります」
トイレで一人涙を流す子津。
回想シーンが始まり、小学生の時にレギュラーから外されるシーンが流れ、以降は入部試験、三振を取ったこの部内戦が流れます。
子津が戻ってくると、みんなが温かく迎えます。猿野が外野につけといいます。辰羅川は、3番打者が抜けたら穴が空くと言ってナインから退くべきではない理由を唱えます、が、この理由だと、別に良い考えがあろうがなかろうが投手以外のポジションに置いておくべきなのは自明だと思われます。
犬飼がマウンドに上がり、試合再開。猪里に対し、剛速球を投げたところで今回は終了です。
今回は、野球そのものに対しての間違いはありませんでしたが、野球を「どう利用するか」という点に関しては最悪です。別に野球じゃなくてもいいじゃん的な部分ばかりで(マウンドを降りても戦える点以外は)、ストーリーに深みがありません。
なんと言いますか、「団体スポーツ」を描き切れていないというのが今回の評価です。