1952年/アメリカ/102分

監督:ジーン・ケリー

ジャンル:ミュージカル


トーキーの出現でハリウッドは大騒動。

それまでスターだったリーナもその悪声から将来が危ぶまれる。

パートナーのドンはリーナの吹き替えに採用されたキャシーに目をつけ、

親友のコスモと一緒に、彼女を次代のスターに担ぎ出そうとする……。


雨に唄えば


とっても有名な名作ミュージカル映画です。


無声映画からトーキーに変わったとき、業界はさぞかし大変だったんだろうなぁ、

というのがこの映画からよく分かります。

この映画で起こったようなことが、実際にもあったんでしょうね。


ミュージカルものは、音楽とダンスがどれだけ魅力的か、

といのが非常に重要だと思いますが、

この作品は音楽もダンスも本当に素晴らしいです。

それだけでも見る価値は十分にあり、

いいものを見せてもらった、という気持ちになれます。

ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズの3人の息がぴったりで、

見ているこっちまで、楽しくて幸せな気持ちになれます。


ストーリー自体はいたって普通なのですが、

とにかく歌とダンスが素晴らしいです。

上映時間も短く、さくさくとストーリーが展開していくので、

何度見ても飽きることはなく、最初から最後まで思いっきり楽しめます。

もう60年以上も前の作品なのに、まったく色褪せていません。

映画史に残る名作と言われるのも納得です。


本作とは直接的な関係は全くありませんが、

この映画を観るとどうしても、

『時計仕掛けのオレンジ』の例のシーンが頭をよぎります。

こんなにハッピーな作品なのに…と少し残念な気持ちになります。


★★★★★★★★☆☆

1988年/アメリカ/103分

監督:リチャード・ベンジャミン

ジャンル:コメディ


物理学者が電波の実験中、誤って遠くはなれた惑星に強力な電磁波を照射してしまう。

危機を迎えたその惑星は、エージェントを地球に派遣、

科学者に修復の電磁波を再度発射してもらおうとするが……。



ドタバタSFコメディ映画です。

以下、ネタバレありです。


SFといっても、それらしい大したシーンは少ないです。

エイリアンも見た目は人間と変わらないですしね。

ちょっと気持ち悪い目玉が出てくるくらいです。


こんなエイリアンなら大歓迎!という方が多いのではないでしょうか。

やっぱりキム・ベイシンガーがきれいで魅力的です。


でもやっぱりエイリアンということで、

人間と違うところがたくさんあって、それがおもしろかったです。

例えば、エイリアンは人間と同じ物は食べません。

人間が何をどのくらいの量食べるのかも分かってないんですよね。

ある日の朝食で、キムが作った料理の量と質が凄まじく、

思わず笑っちゃいました。

いくらアメリカ人でもさすがに無理な量ですよね。

他にも、素手で熱々の鉄板を掴んでも平気だったり、

流行の服を一瞬で取り寄せて着替えたり…

エイリアンならではの行動がおもしろく、

何も考えずに素直に楽しめました。


印象的だったのは強烈なキスシーン。

あのキスシーンは、ある意味一生忘れられないと思います。


人間と関わっていく中で、人間って素敵!

とエイリアンが思うようになっていく展開も、なかなかよかったと思います。

ドクターとの恋もドタバタでしたが、見ていて幸せな気持ちになれました。


知名度は低いですが、何も考えずに楽しめる作品です。


★★★★★★☆☆☆☆


1964年/イギリス・アメリカ/93分

監督:スタンリー・キューブリック

ジャンル:戦争もの、コメディ


アメリカ軍基地の司令官が、ソ連の核基地の爆撃指令を発した。

司令官の狂気を知った副官は、司令官を止めようとするが逆に監禁されてしまう。

大統領は、ソ連と連絡を取って事態の収拾を図る。

しかし、迎撃機によって無線を破壊された1機が、ついに目標に到達してしまう……。




ブラックユーモア満載の戦争映画です。

以下、ネタバレありです。


この時代によくこんな映画が撮れたなぁ、と驚くばかりです。

1964年なんてまだまだ冷戦の最中ですよね。

そんなときに、アメリカとソ連を題材にしたこのブラックな映画。

さすがキューブリック、というべきなのでしょうか。


主に、爆撃機、作戦室、基地の3つの舞台を交互に見せ、

ストーリーが展開していきます。

いたるところにブラックユーモアが散りばめられており、

見ていてまったく飽きません。

よくよく考えると“核”がテーマのシリアスな作品ですが、

思わず笑ってしまうようなシーンが満載です。


人間のもつ不完全さと、機械の持つ完全さ。

この二つが組み合わされたことで、

この映画は悲劇を迎えてしまいます。

このメッセージは現代にも十分通じるもので、

非常に大切な教訓だと感じました。

このような悲劇が現代で起きない、という保証はありません。

だからこそ、ただ単におもしろいと感じるだけではなく、

同時に恐怖も感じる作品です。


1人の狂った軍人の命令によって世界は破滅してしまう。

現代でも本当にありえそうで怖いです。

水道水に含まれるフッ素がソ連の陰謀だと本気で考えていることから、

リッパー将軍が狂っていたことがよく分かります。


作戦室では必死に爆撃機を止めようとしているのにもかかわらず、

当の爆撃機のシーンになると、英雄気取りの男たちが、

自分達の使命として、何としても爆弾を落とそうと必死です。

そこで必ず流れる音楽。

この音楽と爆撃機が妙にマッチしていて、素晴らしい演出だと思います。


ラストも秀逸です。

Dr.Strangeloveの「総統、歩けます!」のセリフとともに流れ出す優美な音楽。

そして核の爆発。

キューブリックにしかできない演出だと思います。


1人で三役をこなしたピーター・セラーズの演技も素晴らしかったです。


ここまで核戦争をブラックに描いた作品は観たことがありません。

いつか、この作品を過去のものとして、

思いっきり笑い飛ばせる時代がくることを願います。


★★★★★★★★☆☆