-素直な気持ち- 1/2
あの時、空には大きな花火が、
色とりどりの輝きを放っていた。
「ルハン、行かないでよ」
『もう決まったことだから』
「ルハン、寂しくないの」
『寂しい時は、お前をのこと思って我慢する』
そう言い残して、彼は行ってしまった。
彼がいなくなってから5年が経った。
まさか再会するなんて思ってもいなかった。
「うそ、、、ルハン?」
『えっ?あ!』
仕事の飲み会で訪れた店に、彼はいた。
向こうも接待やらの仕事の用事みたいだった。
『久しぶり、なんか、懐かしい』
「うん、まさかまた会えるなんて」
『仕事?』
「うん、飲み会で」
『そっか、じゃまた』
私たちの再会はすごくあっさりしていた。
でも、確かにあの頃の記憶は私の中で蘇ろうとしていた。
「ていうか、なんか温度差あったなぁ」
私はこの再会にとても驚いているというのに、
肝心の彼は至って普通で、なぜか腹がたった。
「やっぱ、片思いだったのかなぁ」
それを認めたくなくて、いつもは飲まないアルコールを休む間もなく流し込んでいた。
「んー、おかわりぃ」
「ヌナ、飲みすぎだって」
「全然大丈夫。てか、ジョンデぇぇ」
「もう、ほんとに年上なの?」
いつの間にか私の隣には同僚のキム・ジョンデがいた。
多分、先輩から介護役を任されたんだろう。
「もー、なんで、年下のくせにそんな偉そうなの」
「うるさいな。仕事始めたのはいっしょでしょ」
「ジョンデー、眠たいっっ」
そう言って彼の膝を枕代わりに目を閉じると、
頭上から「うわ、面倒なことに」という、
ジョンデの声が聞こえた。
ふと、目が覚めると先ほどの店の中で。
「あれ?みんなは?」
体を起き上がらせようとすると、隣で気持ちよさげに眠っている
ジョンデがいて、申し訳なくなった。
「んー、あれ?ヌナ起きたんだ」
「ごめん、ほんとにごめんなさい。膝枕のせいだよね」
「いいよ、それより送っていくから」
素直に送ってもらおうとしていると、
カトクが来ているのに気が付いた。
「明日予定ある?-ルハン」
「うっそ。なんで」
「ないけど、二日酔いでやばいかも(-_-;)」
さすがに午前3時過ぎでは返信は来なかった。
というより、24時間営業の店での飲み会で助かった。
「ほい、助手席のって」
「ごめんね、何から何まで」
結局は優しいジョンデに、改めて持つべきものは同僚だな、なんて思っていると
すぐに私のマンションまでついた。
「一応、上まで送ていく」
「大丈夫だよ、もう酔いはさめたと思うし」
「だめ、ヌナ心配。ほっとけない」
渋々、一緒に部屋の前まで行くことに。
エレベーターの中もしかしたら、と思っていたことが的中した。
「ねぇ、このまま一緒にいたいって言ったら、だめ?」
「え?」
「ね?俺のものにしちゃだめ?」
上目遣いでそう聞かれると、断れなくて。
実際心のどこかで期待はしていた。
部屋に入るなり、貪るように唇を奪った彼は、
熱を帯びた目をしていて、それだけで
ルハンとの再会も、疼きだしていた記憶も忘れていた。
「ジョン、デ、」
「ヌナ、愛してるよ」
「うん、私も」
これが素直な気持ちだと思ってた。
ジョンデはほんとに良くしてくれる同僚だと思っていた。
つづく。
性描写については、苦手&載せられないので、
皆さんお得意のご妄想にお任せします![]()



