私たちは、ティファニー前で待ち合わせしていた。
私は早目に家を出て、とりあえず百貨店のトイレの中で着替えをした。
夫には、「少し買い物を・・・。」と言ってあるので、あまり洒落た格好で外出するのも不自然だと思い、
着替えをあらかじめ用意していたのだ。
今日は何だかとても清楚な格好。
好きな服を着て、香水をふる。
どんな人が来るかも分からないのに、精一杯お洒落をしている私がいた。
ティファニー前と言っても、どこの入り口・・・などという、詳しい待ち合わせ場所は決めていなかった。
しかも、私たちは最初お互いに警戒していて、携帯番号も交換していなかった。
もしうまくいかなければ、出会うこともなかったのだ。
とりあえず、ティファニーの辺りで、背筋を伸ばして待ってみる。
どこから誰が見ているか分からない。
私は緊張していた。
入り口から、少し離れたところに、背の高い男の人が一人・・・。
それらしい人はいないなぁ・・・。まさかあの人じゃないだろうし・・・。
画像では一度見ているが、一度きりなのでイマイチ分からない。
私はその男の人を、見て見ないふりした。
浅黒く日焼けし、とても男前な彼だったので、まさかと思ったのだ。
あんな人が待ち合わせ場所に来るはずがない。きっと彼女か何かと待ち合わせしているんだよね。
私ってば、普通のマトモな人と会いたい!って言っておきながら、図々しいぞ!
と思いながら、私は来るはずであろう人を探した。
そのうちに、浅黒い彼がチラチラコチラを見ながら近づいてきた。
よっぽど近くまで来た時に、初めて目を合わせた。
「あの・・・待ち合わせの・・・。」
「はい・・・。」
これが私たちの出会いだった。