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ななほん

読書が好きなわたしの、日々の読書記録です。
お仕事では身体を、読書では頭もしっかり動かしたい。
文学が好きですが、ジャンルとらわれずまんべんなく読むようにしてます。
たまに映画。

 

 
 
まず一読して全体的に、著者のフェチの度が過ぎていて描写が細かすぎて、具体的な状況が把握しにくかったです。

たとえば腕の形とか一体どの部位のことを言っているのか、どこから腕がえぐられているのかわからなかったし、腕の持ち主ではない他の女性が登場する部分ではどちらの女性の話をしているのか混乱したし、男が腕を装着する場面でもよくわからなくて自然にくっついて離れた、みたいに解釈していたし、30代くらいに設定されているんじゃないかという男の年齢も60代くらいに思っていたし、状況や状態を理解するために何度か読まなきゃいけない箇所がいくつかありました。
説明が多くて細かいと逆に理解しづらい。
 
だからたぶんいろいろ錯誤しているんだけど、この物語を読んだ限りでいえば著者の男の孤独感みたいなものは感じられなかったです。
このブログでも以前書いたと思うし、わたし自身何度も痛い思いをしているテーマなんですけど、たとえば「自分が幸せと思えば幸せ」みたいなある意味イメージや妄想の中で生きていると、現実的な結果は出にくいけど満たされてさすがにまずいよねって、たぶん著者は現実の生活では生い立ちを含めて孤独かもしれないけど、物語を描く上ではイメージや妄想が先行するし、わたしは全部を読んだわけではないけど川端康成の物語は一貫したテーマがあるらしく、それだけ繰り返し描かれたならどんどん確信持っちゃって、文章だけを見ると孤独感を感じられないばかりか自慢話?っぼく感じられさえします。
 
そしてすべてが男のひとりよがりっぽくて気味悪かったけど、そういう著者も男も嫌いなわけではないです。
娘(の片腕)と繋がったと感じて安心しているのは男だけだと思ったし、「女は身をまかせる」みたいな描写があったけど、これだけ執拗なら諦めみたいな気持ちで委ねざるを得ないのではないかとも思う。
 

「このなかで今晩おとまりするのね。おとなしくしていますわ。」
「そう?」
「おそばに寄りそって、おそばになんにもいないようにしてますわ。」