いつきはハヤトの家に一緒に住んでいた。

会える時間が少ないのもあったし、
「同じ家に住んでいれば心配ないから」と
ハヤトは言った。

ハヤトはいつきに優しく
服やアクセサリーを買ってくれたり
たびたび、お小遣いもくれた。

いつきは同棲してから毎日ハヤトにご飯を作った。
一緒に買い物に行ったり、
休みの日には高級な飲食店にも
たくさん連れて行ってもらった。

そんな幸せな日々が続くといいなぁと思ったが
幸せな日々は長くは続かなかった。

一緒に住んでハヤトの様子が
おかしい時が何度かあった。

会話が成り立たなかったり、
気が大きくなったりするのだ。

いつきは「お酒飲みすぎだよ」と
笑って言っていたが、
ある日、机の上に小さなケースを見つけた。

いつき「これなに?」
ハヤト「え、これ?気になる?いつきも吸ってみる?」
いつき「え、なに?たばこ?」
ハヤト「ちゃうよ〜」

ニヤニヤこっちを見るハヤトを見て
いつきは急に冷静になった。

いつき「え、なに。薬とか?」
ハヤト「薬なんてやるわけないじゃん!
俺は葉っぱしかやらないし」
いつき「はい?葉っぱってなに?吸ってんの?」
ハヤト「薬と違って葉っぱは体にいいしね」

そう言ってケースを棚にしまうハヤトを見て
いつきは「まじでそういうのやめて」と言った。

しかしハヤトはいつきの知らないところで
何度もマリファナを吸っているようだった。

いつきには、お酒で酔っているのか
マリファナのせいでそうなっているのか
区別がつかなかった。

ある日ハヤトが昼になっても
帰ってこない日があった。
ハヤトはいつも朝には帰ってくる。

いつきは何かあったのかと心配して
何度も電話をかけた。

14時ごろになるとハヤトは、
フラフラの状態で帰ってきた。

いつき「連絡もしないで、どこいってたの?
心配したんだよ!」

ハヤト「うるせえな!!!」

ハヤトは部屋にある鏡に鍵を投げつけて
鏡が粉々に割れた。

いつき「きゃー!!」

ハヤトはそのまま
だるそうにベッドに入って行った。

いつきは泣きながら鏡の掃除をした。
ハヤトへの不信感でいっぱいだった。