時々すごく高い所に行きたくなる。
そんな時、いつも近所のデパートの屋上に上る。
錆びたベンチに座りながら広い空を眺める。
普段どれだけ高い建物に囲まれているか痛感する。
デパートの屋上というのは不思議な場所で、
いつ訪れても懐かしい気持ちにさせられる。
お金を投入すると動く乗り物、
レトロなゲーム機、風船の自動販売機。
そして、それらから流れる音。
あの機械音は独特だ。
実に愉快で戯けたくなる。
小さな子がはしゃぎながら遊んでいる。
ゲームをやりたい、
乗り物に乗りたいとママにせがんでいる。必死だ。
あの子たちには、遊園地のように映っているのだろう。
わたしもそうだった。ずっとずっと前は。
でも今はもう駄目だ。
精神は幼いけれど、身体は大人になってしまって、
あの場所はどう見ても寂れたデパートの屋上でしかない。
それがとても悲しい。
人は、
自分に潜む純粋な部分を食べながら
大きくなるのかもしれない。