ずっと捨てられないもの…それは、3年前に別れた彼から貰った、クローバーが入ったハート型のネックレス…。
ペアでつけてた…私のお気に入り…。
あれは、14になる年の7月…中学2年の夏休み。
『付き合ってほしい・・・。』
それは、突然の告白だった。
今も忘れない…私の耳元で、恥ずかしそうにボソッという彼。
彼の名前は、葛城 翔 (カツラギ ショウ)
「…いいよ。付き合おう。」
私は、彼にそう言った。
私の名前は、須藤 遥 (スドウ ハルカ)
私と翔は、学校も違うし学年も、翔のほうが1つ上だった。
たまたま募集してた海外旅行で、私たちは出逢った。
最初は、先輩だし色々と戸惑ったけど、話していくうちにだんだんと仲良くなっていった。
「うそ!?翔って柔道部だったの?凄いじゃんww」
『凄くないよ。俺、そんな強くなかったし(汗』
こんな、他愛もない話だっていっぱいした。
私が、翔に告白されたのは、海外旅行の2日目のバス移動の途中だった…。
翔は、意図的なのか、バス移動のときはいつも私の隣だった。
告白されたときは、正直嬉しかった。
初めての告白…それも、自分からじゃなくて、相手から・・・
私たちは、付き合ってすぐに手を繋いだ・・・その日の夜に、宿泊先のホテルでキスもした・・・。
1つのベッドで手を繋いで、一緒に寝たこともあった。
手を繋いで寝たときは、それが嬉しくてドキドキが止まらなかった。
ホームステイ中は、逢えなくて寂しいと思ってた・・・それは、翔も同じだったらしい。
翔は、“3日間、ホームシックならぬ、遥シックで死ぬかと思った・・・”って言ってったっけ・・・
それから旅行中、私たちは二人で一緒に居ることが多くなった。
二人で写真をとって、食事して・・・バス移動のときは、いつも隣に居てくれた。
日本に帰ってからは、遠距離恋愛になってしまったから、電話で話すことが多くなった。
逢うのも月に1、2回・・・私の中には“不安”が芽生え始めていた・・・。
そして、次第に、私の気持ちは離れていった・・・。
それから4週間が経ったある日・・・。
「・・・ねぇ?翔・・・。」
『ん?どした、遥?』
「・・・別れよ・・・?」
私は、正直この言葉を口にするのが怖かった・・・。
だって、彼のことが大好きだから・・・。
『・・・えっ?ちょ、ちょっと待てよ!遥!冗談だよな?』
戸惑う彼・・・当たり前だった・・・。
「・・・やっぱり、無理だよ・・・遠距離なんか・・・。それに、翔は・・・翔は受験生だし!・・・迷惑かけたくない・・・から・・。」
『迷惑・・・?迷惑って何だよ!!遥はそういうの考えなくていいよ。それに、迷惑なんかじゃねぇし・・・寧ろ、安心する。』
なんで・・・?何で、優しくするの・・・?
その優しさがイヤだ・・・。
「・・・ゴメン・・・。」
『・・・本気・・・なのか?遥・・・。』
「・・・うん・・・。だから・・・今日でバイバイ・・・。(ニコッ」
今の私は、多分・・・多分、笑ってない・・・。
だけど、ちょっとでも気を緩めれば、涙が溢れそうで・・・。
『・・・遥・・・?お前・・・』
「・・・なに・・・?」
『・・・遠距離で、お前に寂しい思いさせてたなら、ゴメン・・・でも、ホント迷惑とか考えなくていいから・・・だから、別れるとか・・・言わないでくれよ・・・。』
「・・・ゴメン・・・もぅ、無理・・・。今更だよ・・・そんなの・・・」
ヤバイ・・・堪えきれない・・・視界が涙で見えなくなる・・・。
「・・・そんなの・・・ 今更そんなこと言われたって・・・。」
涙が零れそうなのを、堪えるのに必死だった・・・。
『・・・遥・・・一つだけ、言わせて?・・・俺は、遥のことが好きだよ。』
一番聞きたくない言葉だった・・・だって、正直言えば翔と別れる理由なんてない・・・。
「・・・ゴメン・・・翔の気持ちには応えられない・・・。」
『・・・遥・・・。』
胸のネックレスを握りながら、私は俯いた・・・。
「ゴメン・・・翔・・・。バイバイ・・・。」
泣きそうになるのを、我慢して・・・精一杯の笑顔で翔の前から去っていった・・・。
私の誕生日の日に・・・さよならをした・・・。
【好き】って言葉は、時に人を傷つける・・・
【愛してる】って言葉は、時に心を深く抉る・・・
今も、大切にしているクローバーのネックレス・・・そのネックレスを握り締めながら、たった一言・・・それでも、残酷に等しいくらいの悲しい言葉・・・その言葉を、私は翔に向けた・・・。
さよなら・・・って・・・。
シュウメイギクは、綺麗な花・・・そういう反面、悲しい花言葉を持つ花・・・。
花言葉は、薄れる愛情。そして・・・褪せていく愛・・・。
私は、その両方に当てはまったのかもしれない・・・ゴメンね・・・翔は何も悪くないの。
~The End~