台湾総統選について書いてたのにずっと総括してなかったので気になってた。

 

選挙の結果、中国からの干渉を拒み独立台湾を主張する与党、民進党の頼清徳が勝利し、中国共産党と深いつながりのある国民党の侯友宜や、民衆党の柯文哲を退けた。

これによって中国共産党が目論む台湾統一が、台湾内部から行われることは当面阻止されることになった。世界が胸を撫でおろす結果だったわけだが、逆に言うと中国による軍事的侵略の危機が高まったとも言えるので、喜んでばかりもいられない。

 

今回国民党と民衆党の野党2党が敗北した大きな要因は、この2党が統一候補を立てようと話し合いを重ねていたにも関わらず、どちらの党も自分が統一候補として出馬することを譲らなかったため話し合いが物別れしたことだ。結果、それぞれが候補者を立てることで野党の票が分断され与党が勝利することになった。2野党は投票結果が2位3位だったが、両党の票を合わせると1位の民進党を大きく上回っていた。

 

両野党はどちらも中国の浸透工作によって中国共産党と深く繋がっていて共通の目的があったにも関わらず、なぜこのような物別れになったのか。私はある意味、台湾人の商売人としての気質が強く働いた結果だったのではないかと思っている。

 

もう20年近く前のことになるが、台湾で市場開拓をしたことがあった。ある業界で使用する主要な材料を売るためのルート作りを主目的にしていたので、まずその業界の調査を行った。当時のインターネット上ではその業界の情報はほとんどなく、関連した会社の名前くらいしか分からなかったため、とりあえず検索できる業者を全てリストアップし、現地に行ってリストの業者を順番に訪問し営業し、業界の情報を調べていった。台湾の人はみんな無茶苦茶親切だし、陽気でフランクだし、親日的だし、最高に好きな国になった。しかし、繰り返したくさんの業者と話しをしていく内に痛感したことがあった。こと商売に関しては、とにかく腹黒いというか自分の利益を最大化するために義理や人との繋がりや信頼などはないがしろにするような印象があった。例えばある会社に行きそこの社長と商談をする。その時はとても和やかに楽しく、これからの商売の発展を期待させるような話をたくさんしてくれる。しかし私がそこを出て他の会社へ移動している間に、その社長は業界内の取引先に次々連絡を入れ、「今日本の〇〇が来てこういう商談をしていった、お前のところでこの材料はいくらで手配できるんだ。」というような話をする。狭い業界だから巡り巡って話が私の耳にも入ってくる。そのため行く先行く先の会社で、「昨日の午後はあそこの会社に行っただろう、あそこに売らないでうちだけに売ってくれ」とか、「うちはその材料をあの会社から仕入れているから、直接仕入れさせてくれ」とか、「うち一社だけ仕入れして業界にはうちから卸すようにしてくれ」とか、そんな話ばかりだった。ちょっと言い方を悪くすると、自分らの利益を優先して業界内の仲間は裏切るというか、既存の関係性をあまり考慮しないような話が非常に多く、自社が仕入れる金額を安くして利益を得たいというよりも、自社がその材料を取り仕切る窓口になって業界全体に卸すことで利益を独り占めしたいというような話がとても多かった。

 

専門性の高い商品を扱う商社の基本的な考え方は、その業界の成長と安定を基盤とし、業界に深く浸透して長い期間商売をすることだと思っている。短期的に爆発的な売り上げを目論むと、それまで長年続いてきた業界の均衡を急激に壊すことに繋がり、業界全体が崩壊することに繋がりかねない。もちろんそのような均衡を破壊することで成功する業界もたくさんあるわけでそれを否定してるのではない。あくまでも、限定的で専門性の高い業界の中で「業界内の業者」を相手に専門的材料を卸す商売をする場合の話だ。細々と生きながらえてきた狭くて小さい専門的業界で長年かけて形成された業界内の微妙なバランスを、そこに介入した新規商社が引っ掻き回して壊してはいけない。

だから私は商談を重ねることで業界全体の繋がりや関係性などを把握することにまずは注力した。その上で、業界内の既存の材料の流れを壊さないようにその商流で材料を卸すようにした。行く先行く先の会社で既存の商流ではなく直接材料を仕入れて商流の最上流にいきたいというような話が上がったが、別物の新しい商材を提案したりして既存の商流を壊さないように努めた。最終的には、日本から台湾へ輸出されるその材料のシェアは100%とることができた。

 

その後、私は中国への駐在が決まり、台湾での仕事は上司に引き継いだ(正確には部下に引き継いでその部下が上司に引き継いだ)。私は基本新規開拓は一人で行っていた、なぜなら新規開拓は失敗することが大前提であって、成功すればめっけもんと考えていたからだ。成功確率の高くない新規開拓に複数人で行けばその分の経費が無駄になる可能性が高いわけだ。ところが引き継がれたその人は、海外に一人で出張することに慣れてないこともあり、海外経験豊富な同業界のメーカーの人を連れて行った。これは海外の商売で商社が絶対やってはいけないことだ。台湾の業者達にとっては、メーカーと直接取引するのが一番望ましいことだ。彼らにとって、間に入る商社は利益を抜き取る邪魔者でしかない。当然それから後は、商売の話は全て台湾業者からメーカーへ直接行くことになった。

通常のメーカーならそういう場合、顧客に対し「うちからは直接出せないんで、〇〇商社さんを通してください」などと伝え商流を守ろうとするものだ。メーカーがお客を紹介してくれた商社に対する裏切り行為をしてはいけない。ところがこの時連れて行ったメーカーの担当者は社長の息子で次期二代目社長となる人だった。海外留学の後自社に入社しそのまま海外担当となったため国内の自社の商売にはあまり関わることなく実績の無いまま専務となり、社内的にも自分個人の実績が欲しい状態だった時であった。だからだろうか或いは思慮の浅さからだろうか、次々に台湾業者から持ち掛けられる商談を積極的に受け入れ、彼らが業界内でお互いを裏切り合うのを手伝うような形になった。メーカーが目の前の売上げを優先し商流を無視した結果、私の会社には台湾からの注文は来なくなり、台湾の業界から完全に蚊帳の外になってしまった。台湾のその業界のバランスは完全に壊れ、新進気鋭の若者が率いる会社が価格破壊を始め、終戦後から細々と続いていた多くの古参業者は消滅、競争相手が無くなっていくとともに元々縮小傾向だったその業界の需要自体が激減した。古参業者との繋がりがあったから生まれていた需要が、古参業者の消滅とともに消えたのだった。例えば、親の代から付き合いのある老舗の和菓子店があり、お盆と正月、親戚が集まる時にふるまう用の大福もちを大量に注文する決まり事が、ご近所さん付き合い的なこともあって何十年も続いているとする。しかしある年、この老舗和菓子店が商売をたたんだとする。その家はわざわざ別の新しい和菓子店を探すだろうか。近所のケーキ屋さんで美味しいと評判のアップルパイに変えるかもしれないし、ネットの取り寄せスイーツにするかもしれない。これに似たような現象が台湾のその業界で起こったのだった。その結果台湾のその業界の市場規模は会社の事業として成り立たないレベルまで衰退した。市場が限定的で縮小気味である「大福もち業界」内で、短期的な利益を求めた小豆生産者が乗り込んできて商流を破壊し直接卸しを始めた結果大福もち業界が消滅したようなものだ。このような所業は結果的にメーカーそのものの生業を苦境に追い込むようなことに繋がりはしないだろうか。

 

話が脱線し過ぎたから元に戻す。

私が先の話でしたかったのは、台湾の人の、こと商売に関しての妥協の無さ、特に仲間内に対して激しく対抗する感じ。これは台湾人の気質のように思っている。今回の総統選において野党が統一候補を出せなかったのは、この気質が大きな要因だったのではないかと思っている。

国民党と民衆党はそれぞれが中国共産党と繋がっているのは公然の事実であるが、これはつまり、それぞれが現状、中国絡みの利権を握っているということだ。もしも統一候補を立ててその候補が総統になったとしたら、台湾国内における中国利権の全てをその総統が掌握することになる。そんな巨大な利権をやすやすと相手に渡すようなことは、台湾人気質的にあり得ないように感じる。これが統一候補を出せなかった最大の理由だと思う。

日本でも河野太郎を筆頭に多くの自民議員や野党議員、国会議員だけではなく地方議員やこないだ再再選した東京都知事までもが中国利権を得ている。彼らは私利私欲のために国民や国家の利益を犠牲にするクズだ。しかしそれらの利権を総どりして全ての利権の窓口になろうという発想する日本はなかなかいない。この辺りが商売に関しての大きな気質の違いであるだろう。逆に言うとその気質のお陰げで台湾の中国化が阻止されたのであるから、世の中分からないものである。

 

日本のマスコミでは取り上げてないが、先日習近平が脳梗塞で倒れたという情報が世界を駆け巡っている。これが本当なら今後の台湾情勢に大きな影響があることも考えられるし、これが間違った情報だったとしても、年末にはアメリカ大統領選挙に伴う混乱などの、中国が行動するきっかけになりそうなイベントもある。引き続き注視していこう。

年明け早々、1月13日に台湾総統選が行われる。

これの結果次第で我々日本にとっての行く末も大きく変わる。


独立派である現政権与党の民主進歩党は現在支持率34%でトップに立っている。しかし先日、支持率2位3位の国民党、台湾民衆党が統一候補を立てると発表した。統一候補が立つと支持率合計が民主進歩党を抜き、総統選に勝つ可能性が非常に高くなる。この2党はゴリゴリの親中政党で、中国共産党の台湾への浸透工作を全力でサポートしてきた。この野党連合が勝てば台湾はほどなく香港と同様に中国の1自治区になるだろう。そうなると次に中国が狙うのは沖縄だ。


沖縄は昨年の県知事選で玉城デニーが勝ち、玉城は沖縄独立と米軍基地排除のために意欲的に活動を続けている。中国共産党は沖縄独立後の中国への併合を視野に入れ長年かけて工作活動を続けてきた。沖縄のローカル新聞は全て左翼浸透工作が完了しており中国共産党の機関紙のようになって玉城デニーを応援し続けてきた。沖縄の老人達はデニーと中国との繋がりや沖縄独立を目指していることはろくに認知してないまま、テレビや新聞で目にする知名度によってデニーに投票した。

また、公安監視対象認定されている極左テロ組織中核派が立ち上げた政党れいわ新撰組や、北朝鮮系政党である社民党、共産主義勢力浸透済み労働組合らが支持母体の立憲民主党が玉城デニーの選挙応援に駆けつけた。ちなみに、玉城デニー勝利の影のMVPは大阪維新の会だった。維新は期限ギリギリで玉城デニーの対抗馬をこっそり(維新の名は出さずに)と送り込み保守層の票の分断を行った。結果、自民公明推薦の対抗馬への票が割れ玉城デニーが勝利した。

維新の会は保守の皮を被っているが中国共産党と一緒になって利権作りに勤しんでいる政党であることを見逃してはいけない。橋下徹は中国に何度も渡航し始めて後、突然沖縄独立論の本を出版し、上海電力を日本に引き込むことで電力インフラを売り渡し、大阪港湾局の一帯一路への参入まで行った(大阪市は一帯一路参入ではないと否定しているが中国側で日本の一帯一路加入と大々的に報道している)。沖縄知事選で突然候補者を送り込んだのは、玉城デニーの当選が危ういと見た中国共産党の要請で維新が動いたからだと見られている。


沖縄県知事選でこのように露骨な工作活動が行われ成果を上げているのを見ても、習近平の肝入りである台湾総統選への中共の工作は非常に熾烈なものだと予想される。

現在支持率4位のホンハイ社長テリーゴウは中国共産党に逆らって立候補してると報道されている。(ホンハイは中国に工場を置く台湾企業でiPhone製品は全てここが組み立てしている超巨大企業)中国共産党の支持に従わないため中国の工場に嫌がらせの立ち入り検査が続いているなどと報道されているが、私はこれを疑っている。これは沖縄で維新が送り込んだデニー対立候補と同じ役割、つまり保守層票分断のために中国共産党の指示によって立候補したのではないかと思っている。実際テリーゴウが本当に中共に逆らっているならばとっくの昔にホンハイは閉鎖させられているはずだ。単なる立ち入り検査くらいで終わるはずがない。工作浸透済みの台湾マスコミがテリーゴウを中共に対抗する英雄として報道しているのは独立派の票を分断するための工作である可能性がある。中国共産党を甘く見てはいけない。


ちなみについ先日、習近平がバイデンや岸田と会談し、表面上は友好的に終わった。マスコミや評論家はそれほど中国経済がヤバく、さすがの習近平も経済制裁緩和のために融和的に動かざるをえないのだと報道している。だが私はそうは思っていない。以前ブログでも書いたが習近平は中国の経済のことなんて微塵も意に介してない。むしろ彼の理想とする毛沢東時代の中国、人民は貧しく従順で学力を得ることができるのは一部のエリートのみ、そして個人崇拝の絶対的独裁権力という社会。それに向けて経済は確信犯的に破壊し続けているし、経済が悪くなるのは寧ろ思惑通り。困窮した人民が暴発するのを防ぐため、ソフトランディングで貧困化していく事に苦心してるくらいのものだ。今回習近平が薄気味悪い作り笑いでわざわざ出向いて会談を行い、数々の批判や要求に反論もせずに黙って聞いていたその目的はズバリ、台湾総統選のためだ。アメリカとの友好関係をアピールし、独立派の警戒心を少しでも緩め、中国共産党との友好関係を訴える野党連合に少しでも票が流れるための間接的且つ効果的な選挙応援が最大の目的だ。


独立派が選挙に勝てば、台湾有事が近い将来起きる事が確定する。逆に親中派が勝てば目先の危機は無くなるかのように感じるが実際はそんなに甘くない。台湾はほどなく中国共産党の支配下になり、シーレーンや国防的にも日本は喉元にカミソリを突きつけられた状態になる。アメリカにとってもアメリカ本土へ直接攻撃可能な中国原子力潜水艦が自由自在に太平洋に入れる状態となる。軍事的脅威が直接アメリカ本土に及ぶことをアメリカが容認するはずはなく、軍事的対立やむなしとなる。どちらにしても日本は巻き込まれる。習近平が何らかの理由でいきなり亡くなるとか失脚しない限り。


既に2ヶ月先に迫った台湾総統選。注視していこう。

 

以下、アメリカの作家エドワード・グリフィンが1968年に行った講話を参考にして、アメリカへ共産主義勢力が浸透していった際の戦略と現状のアメリカと日本の様子を簡単に紹介する。

政府が人民の全てを100%掌握しコントロールすることを全体主義と呼ぶ。共産主義・ファシズム・グローバリズムはそれぞれの外見や主張する主義主張は違っているし、表面上は敵対関係にあるように見えるが本質的には同じ全体主義であると言える。そのどれもが人々の道徳や伝統的価値観を奪われて統一された新たな価値観に変え、完全支配政府によって思想統一された集団主義を実現することを最終的な目的としている。全体主義によって極一部の支配的ポジションにいる者達に権力や富が集中され、大多数の人々は思想的行動的な自由を失い、生存を脅かされ、イデオロギーの論議さえ許されない社会になる。この分類の中にグローバリズムを入れることに違和感の有る人がいるかもしれないが、例えば共産主義は「全ての人民が平等な社会」という理想を掲げており、実際にそれを実現する手段として全体主義による思想統一と人民支配、それに伴う指導者層への権力集中や反対者の粛清が必須であることは宣伝されていない。グローバリズムとは一般的には単純な多国籍企業化を表している言葉として捉えられるが、実際は全世界の経済市場としての統一化を理念として掲げた思想であり、それを成し遂げるためには各国各地域の伝統的な価値観・宗教・文化・生活様式などの差異の標準化、新しいものへの統一化を必須としており、最終的な到達点は世界政府による全体主義に帰結する思想を内包した言葉であることを認識しておかなければならない。

私達が民主主義・自由主義による人類の発展や進歩を望むとしたら、マルクスの思想的教義はとりあえず置いておき、レーニンによる共産主義勢力の組織戦略・戦術をまずは理解しておかなければならない。これが共産主義だけでなく全体主義的思想の勢力の共通した戦略となっているからだ。

ジョセフ・コーンフェダーは1919年にアメリカ共産党の創立メンバーとなり、モスクワで教育・訓練を受けた後にアメリカに戻り工作活動を行った。しかし彼は共産主義の矛盾や道徳に反した戦術に疑問を持つようになって離党し、後に熱心な反共産主義者になった。1955年にサンフランシスコの講演で彼は、「共産党の特徴はその理論よりも組織化されていることにある。国内で活動する組織である労働組合・農業団体・マスコミ・学術教員組織・政治クラブ・政府機関などの総和が国家権力を形作るものとし、そこに侵入浸透し、組織内部でグループを編成することで征服していき最終的には国家そのものを征服するという手段を主としている。」と語った。共産主義勢力の戦略を長年学んだ彼が話したこの戦略は、今もなお、世界各国、日本国内でも行われている共産主義勢力の基礎的な戦略である。

ベンジャミン・ギトローはアメリカ共産党の書記長でありモスクワの共産主義国際執行委員会のメンバーでもあり、世界の共産主義勢力の中でも非常に力を持つ人物だったが、彼もまた後に共産党を抜けて反共産主義運動の一員となった。彼は著書の中で共産党時代の様々な体験を綴っている。かつてニューヨークで共産党が行った夜間の街頭演説で、共産党員と反対派の間で喧嘩が起きた。これは過去にも度々起こっていたことで、事前に準備していた共産党の屈強なチンピラ部隊が反対派の市民を叩きのめしたのであるが、その後彼らは事前に立てていた恐ろしい計画を実行した。周囲の建物の屋上に隠れていた共産党員が地上に集められたチンピラ部隊の頭めがけて石畳用の重い花崗岩を投下したのである。これによりチンピラ部隊の内2名が頭蓋骨骨折により亡くなった。もちろんこれらは共産党員にも真相を知らされることはなく反共産主義者によってなされたと宣伝された。共産党は自らの計画的殺人によって「殉教者」を作って反共産主義者に対する憎悪を高め、世間一般に対しても共産主義に反対する勢力の非人間性を演出したのであった。このような共産主義者による計画的な殺人(身内に対しても外敵に対しても)は常に繰り返されており、最終的な政治的目的のためにはどのような非人道的行為も許されると考えられている。

1928年の時点で共産主義者達はアメリカ国民の間における人種的違いは社会構造における最も脆弱な急所だと明言し、ここを利用したアメリカ国民の分断化と敵対構造を作るための工作活動を開始した。人種差別反対のスローガンを掲げた運動を知って共産党に入党した黒人の青年マニング・ジョンソンはやがてアメリカ共産党の全国黒人委員会の委員に任命されるまでになった。しかしその後、共産主義者は実際は黒人の状況を改善することに全く興味が無く、むしろその状況を利用して社会的混乱を作り出そうとしていることに気づき脱党した。彼は自著の中で「アメリカを破壊するための血生臭い革命における捨て駒として黒人を利用しているだけだ。それはモスクワの指導によって作られた“共産主義者の指令書”によって計画されており、人種間の争いがアメリカを分裂させ、混乱の中でモラルの崩壊とパニックが起こし、その混乱の中で共産党の指導の元で革命委員会を組織して民衆の蜂起を指揮、武装した民衆は主要官庁を占拠し大統領や閣僚を拘束し旧体制の廃止と新政府の樹立を宣言する。」と語った。共産主義勢力は、治安を悪化させて社会基盤を不安定化させ混乱を作り革命に繋げるという常套的な戦略があり、それに基づいて戦術を作ることを認識しなければいけない。

これらの事例は現在のアメリカの混乱は最近突発的に始まっているのではなく、かなり以前からの共産主義勢力による工作活動の浸透によるものであることを示している。現在のアメリカでは共産主義勢力に属する大半の政治家は民主党に属している(一部共和党にもいるし、民主党にも反共産主義者も一部いるので誤解ないよう)。もちろんゴリゴリの共産主義者である極左に属することを隠さない者もいるが、共産主義者であることを直接的には表明せず人道主義者・リベラリストの仮面を被っている者もいるし、イデオロギー的に共産主義には属していないもののその戦略上の利益を享受する者やグローバリスト、イデオロギー的には賛同してないが人道主義者として戦略に同調している無自覚な善意者も含まれる。

 

民主党のバラク・オバマは大統領時代にそれまでの慣習を破りFBIやCIAの主要役職を自分の子分に入れ替え、民主党の利益のために動く集団に変えた。民主党とウォール街は中国などと結託した目先の富を求める層が大半を占めるようになり、手っ取り早く儲かるために中国系企業の上場だけは審査をしなくて済むように法律を変えることまで行い、主要メディアへの浸透も完了して共産主義勢力の戦略に乗っかった巨大な利権集団を作り上げることに成功した。

 

トランプは、オバマが構築したこれらの結びつきによる政治的支配力を「ディープステート」と呼び影響力の排除を試みたが、既に浸透工作が終わっている主要メディアや大手SNSはこれらの情報を「陰謀論」と呼び情報規制を行った。また、熱狂的トランプ支持者の一部が「光の戦士トランプがディープステートを倒す」といった類のファンタジックな妄想と混ぜこぜにして情報発信したものを殊更大きく取り扱い、「ディープステートなどという概念は陰謀論から生まれた幻想だ」と宣伝することに利用した。因みに日本の大手マスコミもほとんどが民主党系アメリカメディアの影響下にあること、日本国内の共産主義勢力が浸透していること、中国共産党の浸透と脅迫による工作によって、アメリカ国内の事情に関しては民主党系アメリカメディアの報道内容だけをそのまま垂れ流しており、アメリカの実情の報道はなされていない。

例えば、アメリカで頻繁に起こる銃乱射事件に関しての報道は「だから銃規制が必要である」という主張のみが報道されている。これは民主党系主要メディアによる論調そのままであるし、日本人が聞くとそれは非常に理に叶った意見としか思えない。しかし実際はそんな単純な問題ではない。アメリカはその国家設立の経緯によって、建国の精神として「政府は絶対的なものではなく、政府が国民に対して弾圧を行った際には、国民は武装蜂起して政府を倒す権利が有る」という、民主主義・自由主義の根本となる非常に重要な国民の権利(義務的なニュアンスもある)として銃火器の所持が認められているのである。しかしこれは共産主義者にとっては非常に邪魔で憎むべき「伝統的文化」であり「民主主義的思想の具現化」であり「一神教であるキリスト教的教義の下では政府も国民も同等の存在であるという思想」であり、何よりも、自分達に抵抗する力を国民が持つことに対する強い拒絶がある。だから民主党系主要メディアは銃乱射事件が起きる度にこれを銃規制実現のためのプロパガンダに利用するし、保守系の人々はそのような意図を知っているから強くこれに反発する。そして残念ながら日本でこのようなアメリカ社会の実情が両方の視点から報道されることはない。

共産主義勢力・グローバリズム勢力と強く結びついた民主党はアメリカを破壊する政策を進めている。黒人青年の死をきっかけに大きく広がり一般的に認知されることになったBLM(ブラック・ライブス・マター)運動は、日本のマスコミではまるで民主的な反人種差別運動かのように報道されている。しかし実態は、共産革命を標榜するテロ破壊活動の実行部隊でしかない。1977年、ウェザーアンダーグラウンドという共産テロ組織がFBIによって解散させられた。彼らの残党が立ち上げた組織がBLMで、BLMのリーダーは「私たちはイデオロギー的な枠組みを確立し、訓練されたマルクス主義者です。私達はイデオロギー的な理論に極めて精通しており本当の目的は、多くの黒人が利用できる社会運動を構築することです。」と公言し、更に環境活動・不法移民受け入れ促進もこれらの社会不安定化のための活動手段であることも名言している。彼らは民主党の影響の強い州の都市部を中心に暴動や破壊活動を行った。その理由はそれらの地域の警察組織はBLMメンバーを逮捕しないように民主党政治家から指示されていたからだ。また民主党系マスコミはBLMの破壊活動を「言論の自由である」と擁護した。因みに共産主義者でありグローバリストであることでも有名な大富豪であるジョージ・ソロスはBLMに活動資金を出しているメインスポンサーの一人である。

民主党バイデンは大統領になって真っ先にトランプ時代に建設中だった国境の壁を撤去し、続々と押し寄せてくる不法移民の入国を増加させるように努め、それから2022年までの約2年間で500万人以上の不法移民をそのままアメリカ社会に解き放った。なぜこのような事をするのか、共産主義者の戦略・戦術を知れば容易に理解できる。不法移民の増加は治安を悪化させる最も有効な手段の一つであるからだ。LGBTや環境問題に関する活動も同様に共産主義活動家が利用し社会問題として拡大させてきた。特にアメリカやヨーロッパ諸国でLGBTに関しての運動が実を結び、女子トイレや更衣室に男が自由に入れたり、女子スポーツに男が混ざったりなどして既存の社会秩序を破壊して混乱を拡大させていっている。

では日本の共産主義勢力の活動はどうか。日本の場合は人種的な分断が難しかったため長く時間をかけて在日朝鮮人差別の切り取りと拡大宣伝による分断、沖縄の独立運動、アイヌ差別の捏造と拡大宣伝による分断工作を行ってきた。最近は欧米でのLGBTによる社会混乱の成功例を見てこれを急速に取り入れようとしている。島国のため不法入国者の増加推進は遅々として進んでないが、不法滞在外国人の強制送還反対活動などをして日本の治安悪化のために地道な活動をしている。

日本だけの特徴的な分断工作としてとりあえず3点挙げるとしたら、まずは反戦平和運動という名の日本弱体化運動。共産主義勢力は「敗戦革命」という言葉を使い、外国勢力の侵略による日本の敗戦とその混乱に乗じた共産革命を視野に入れて反戦運動・軍備増強反対・憲法改正反対などの活動を続けており、その意図を認識しておらず思考停止で、無条件でそれに同調する国民も多い。これは他国には無い特徴的なものである。
2つめは選択的夫婦別姓・同性婚問題だ。実際に困っている人はかなり少数であるし少しの知識があれば簡単に対応可能な事象であるのだが、その少ない問題を切り出して拡大宣伝・報道することで強引に社会問題であるかのようすることに成功した。左翼マスコミがこれに全面協力していることも大きい。中国の明確な侵略行為が激化している中、自民党総裁選を扱った日本マスコミが候補者達になげかけた質問は「日本の防衛に関して」ではなく「夫婦別姓に賛成か反対か」であった。「選択的」なんだからやりたい人だけやればいい、個人で判断することなので他人が拒絶する必要はないという人は多い。しかしこの運動は日本の最小社会単位である家族制度とそれの元になっている戸籍制度の破壊を最終目標としたものだ。ダムに蟻の一穴を開け全体を崩壊させるための最初の一撃として、レーニン的戦略に忠実に基づいて始められた社会運動であるという背景を知らなければいけない。

そして3つめは女系天皇問題だ。日本人のアイデンティティは天皇にあると考える共産主義勢力はまずは天皇制の有名無実化からの廃止を目的にし、女系天皇制を主張している。従来の男系天皇による血統主義を破壊するための蟻の一穴である。

私達日本人は、共産主義勢力が行う活動は、平和を愛し人権を守りたい善意の人々のその善意を利用した戦略・戦術であることを認識しなければいけない。共産主義工作のお題目として利用される言葉は「平和」や「人権」であることに注意し、更に、日本のマスコミの報道が必ずしも真実を報道しているとは限らず、なんらかの意図を持って情報が選択的に、時には捻じ曲げられて報道されている可能性さえもあることを知り、能動的にテレビ以外の多角的な情報を得て、欧米諸国の実情を多面的に知った上で自国の実情を考えることが必要である。