琵琶湖の思い出22
どんどの餅

 明日は小正月、“どんど”だ。
小正月に鏡開きした餅を“どんど”の火で焼き、汁粉で食べる
習慣がある。

 琵琶湖西岸の町々では、早朝子供が真竹の両側を削いで作った
空間に切ったお供え餅を挟んだ一間弱の竹竿を担いで近所の神社
に詣でる。

 まずは参拝を済ませ、御供物と書いた紙に包まれた押菓子を
もらう。

 その後、境内で燃え盛る“どんど”で持参の餅を焼く。
上手く焼けそうな場所を見つけ顔を真っ赤にして餅を焼いた。
上手く焼いたつもりでもコゲだらけの焼き具合である。

 焼くのに使った竹竿は、“どんど”にくべた。
7人家族で5、6切れ焼いたように記憶している。

 御供物と焼いた餅を持ち帰り、家族そろって食べる。
コゲだらけの餅は、小豆のかたちの残る汁粉に入れて食べた。

 これで新年も無業息災、子供の役目は果たしたと、少し得意な
気持ちがする日だった。

 さて、移り住んだ坂東太郎の傍の町では、河川敷や空き地に
“どんど”がしつらえられる。
“どんど”は、四方に太い孟宗竹を配し藁と笹で組まれている。

 空き地の一角で篠竹と紅白の丸餅が売られる。
小正月の夕刻に火がつけられ、頃合いをみて篠竹の先に餅を刺し、
焼く。
火勢が強いのと昔ながらの餅でないためか、すぐ膨らみ焦げる。
コゲだらけの紅白の餅を“どんど”の火と集まった人たちを
眺めながら食う。

 今年も無病息災、これはどこも変わらない。

 明日は”どんど”正月飾りを一緒に焼き、2012年を前に
進めていこう。