琵琶湖の思い出13
ますの悪食

 姫鱒、虹鱒、あめの魚、山女魚、岩魚などみんな鱒の仲間
だろうと思う。
琵琶湖には、あめの魚がいた。

 産卵期の大きなあめの魚を兄が捕ってきたことがある。
家族みな大喜びで、あめの魚飯にして食べた。
大きな卵のつぶ、桃色の身が混ざる薄いしょう油飯に、わけぎ
と木の芽を散らす。見た目も美味しいものだった。
いまでも、あめの魚は琵琶湖に生息しているのだろうか。

 鱒を刺身で出すところがあるらしいが、私は手を出せないでいる。
皮と身の間に寄生虫がいると言われているのと鱒の養殖場を見た人
から、悪食ぶりを聞いたからである。
本当かどうかは知らないがその人の話では、「鱒の養殖池に
シマヘビが入ったとこ見たこどなぁ、あっという間に喰われて
しまいよったがな、あいつは何でも喰いよるぞ」と。

 少年の頃に、これを聞かされた。
養殖法や調理法が衛生的になり昔と違い刺身も大丈夫と言われても、
私は、塩焼きを食う。

 川魚と肉の生食には、これからも臆病でいようと思っている。