遙か彼方の記憶を掘り起こすに、小学2年生とかだったんじゃないかな。だから8歳。
いとこのおさがりの、ピンクの自転車だった。
父と練習したのを憶えてる。
閉まってる県庁の前は車が入ってこないアスファルトの広い空間になってて、そこで自転車の後ろを持ってもらって何度も練習した。その間、弟は補助輪付きの小さな自転車で周りを爆走してたような。
父は24時間勤務で朝9時から翌朝9時まで仕事だったから、帰ってきて昼食をとったら昼寝して、15時頃からは私や弟と遊んでくれた。きっと週末に、あの車の心配がいらないスペースへ連れて行ってくれたのだと思う。
父と話したら憶えていただろうか。
もういない父に確認することはできないけれど、あの人は記憶力が良かったから、きっとそういう日常のひとコマも「せやったせやった」と懐かしく思い出してくれたかも知れない。