いつも通り家に帰って、いつも通り眠りにつき、いつも通り目を覚ます・・・
はずだった。
目を開けると、そこは森の中だった。
日常から外れてしまった、目の前の出来事に、思考が追いついていかず、私は起き上がりかけて
固まった。
肌に触れる暑く乾いた空気。手のひらから感じる草の感触。
懐かしさの欠片もない風景と匂い。
「え」
思わず声がこぼれる。
目を閉じて、また開いて見る。
同じ風景だった。
ここは森の中で、私が寝ているのは草の上で
。
絶対間違いなく日本ではなくて、それどころか、昨日までの自分はいったいなんだったんだ。的な、
感情がわきあがって・・・
怒ればいいのか、泣けばいいのか・・
とりあえず、わからなかった。
少し時間がたった。
いつまでも中途半端な体勢はつらいので、立ち上がってみる。
ふと、自分の服に目をやると、確かに昨日ベッドに入ったときと同じ姿だった。
寝るときに愛用していた、水色のズボン、白いTシャツ、ズボンとおそろいの上着だ。
ということは、やはり少なくとも眠りにつく前の自分は、嘘ではないと。
では、なぜ今このような状態に??
昨夜何か変わったことがあったのだろうか・・
思い出してみる。
「あ」
そういえば・・・
昨日は4月4日・・私の17回目の誕生日だった。
いや、でもそれが何だと?
よもや、17歳になったと同時に、ここへ来ることが決まっていたわけではあるまい。
いやでも、そんなアホな。 ファンタジー世界じゃあるまいし。
いやでも、雨が呼べる時点ですでにファンタジー要素のつまった人生が始まっていたのでは・・
「げ」
なぜだろう。
ものすごく、気づいてはいけないことに気づいてしまった気が・・・
「おい。」
ビクッ!!!
激しく心臓が跳ね上がった。
まったく聞きなれない人間の声。
まだ驚きが消えない上、頭は混乱していて・・次にとるべき行動が浮かんでこなかった。
「さっきから、なに挙動不審な態度してるんだ」
男・・だな。低い声だし・・あまり中年とも思えない声色だ。
とりあえず、振り向くべきだろう。
おそるx2振りむいて見る。
ズッキューン!!!
おおおおおおお バリかっこいいやんけーー!!
綺麗な亜麻色の髪が、乾いた風になびいてサラサラと、音を立てるように揺れている。
長すぎず、短すぎないショートヘアスタイルだ。
澄んだ紫の瞳も、整った顔立ちをいっそう引き立て、ここまで理想の顔を拝めるとは・・
が、おかしな点がひとつ。その服装。
まるで中世の騎士のような、鉛色の鎧に身を包み、長いマントを背に、腰には剣が差してある。
まるで・・・
まるで・・・
「・・・・やっぱり、ファンタジー」
「は?」
「いえ・・」
