~銀髪姫と不良幹部、番外編~
今日はクリスマス。
だけど私は史音と会う約束をしていない。
出来ないの方が正しいんだけど。
毎年クリスマスは夕凪財閥主催のクリスマスパーティーをホテルを貸し切って行っている。
去年まではよかったんだ。
史音とまだ付き合っていなかったし。
狼鬼でのパーティーは忘年会と一緒にやってたから問題はなかった。
だけど今年は違う。
やっと想いが通じあったんだ。
なのにクリスマスに会えないとかありえない。
クリスマスパーティーは恒例となっていて、史音は去年も参加していたから知っている。
だから会おうなんて一言も言われていない。
きっと遠慮してるんだろう。
だからと言って何も言わないとか男じゃねぇ!!
そこは攫うぐらいの勢いでこいよっ!!
…って叫んだところで何も起こらないんだけど。
はぁ…とりあえず、このパーティー早く終わらないかな…。
このドレス早く脱ぎたいんだけど。
お母さんが今朝持ってきたドレスは、赤色の膝上までのワンピースドレスに、ところどころに白色のレースが縫い付けられている。
髪はキレイに巻かれ、お花のピン留めをつけている。
…似合わないのはわかってるよ。
でも、夕凪財閥主催のパーティーにシルバープリンセスが出ないわけにはいかないから。
だから私は出るしかないんだ。
「お久しぶりです。またおキレイになりましたね」
「ありがとうございます」
ずーっとこればかり。
もう聞き飽きた。
はぁ…瑠依どうしてるかな?
瑠依はまだパーティーになれていないため、このパーティーには参加はしていない。
会いたいなぁ…。
瑠依や狼鬼のみんな、禅に雄吾。
そして…。
「依亜っ!」
「っえ?」
このパーティーには参加していないはずなのに。
どうしてだろうね。
こんなにもたくさんの人がいるのに、あなたの声は聞こえるんだ。
「行くぞ!」
頭がついていかない私を、どんどん引っ張る史音。
史音?
待って…どこに向かってるの?
そっちは出口だよっ?
「史音っ!まだパーティーが!」
「…大丈夫。ちゃんと許可はもらってる」
…許可?
一体誰から?
「依亜のお母さんが〝頑張った依亜にご褒美〟って」
お母さんが…っ?
「よかったな。ちゃんと見ててくれてんぞ」
「っうん」
本当に幸せものだよ。
嫌だったパーティーも、今なら好きになれるかもしれない。
「んじゃ、お姫様を攫いますか」
「…っへ?」
攫う?!
そしていつの間にか外に出てるし!!
入り口に止めてあったバイクに私を乗せると、史音はバイクを出した。
少し風がある…。
だけど寒くはない。史音がコートを貸してくれたから。
バイクを飛ばして30分。
着いたところは…。
「ここはよく見回りの帰りによってた丘…?」
気分転換によく通っていた街が見渡せる丘。
ここには久しぶりにきたけど、相変わらずベンチしかない。
史音はここで何がしたいんだろう。
「依亜。あれ、見て」
〝あれ〟?
史音の指さす方向。
「う…わぁぁあぁっ…」
そこにはこれほどとない絶景があった。
「ここは穴場なんだ。地元の人でも知る人は少ないんだ」
「史音…」
「頑張ってる依亜に俺からのご褒美」
今日はご褒美をもらってばかりだな。
本当に感謝しきれない。
「ありがとう。この絶景を史音と見られた。それだけで私はまた頑張れる」
ニコリと微笑む。
その瞬間、腕を引っ張られて、史音の腕の中へと入る。
突然のことに史音を見つめると、史音は幸せそうとでも書いてそうなくらい満面の笑みを浮かべていた。
「あーこのまま連れて帰りてぇー」
「なっ!///」
外でなんてこと言うのよっ!
「でもそれはまだ。あいつらが待ってるからな」
「あいつら?」
「ん、雄吾を始めとする狼鬼のメンバーが倉庫で待機中」
みんなが?!
今日はみんな予定あるって言ってたのに…。
「依亜を驚かせようってみんなで考えたんだ。ちなみに、おばさんも共犯だから」
「驚くわよ…っ。でも嬉しい」
せっかくの恋人のイベント、史音とは会えないと思っていた。
だけど、会えた。
あの孤独のパーティーから私を攫ってくれた。
絶景も見ることが出来て、私は幸せものだ。
クリスマスがこんなに輝いて見えるものとは思わなかった。
大切な人と過ごすのってこんなに幸せなんだね。
私は史音と過ごせてすごく幸せだよ。
「史音、ありがとう」
「依亜?」
「そして大好き!」
ありがとう。
私のサンタさん。
END
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