空港とは驚くほどパワーを持つ場所のようで、あの胸の高鳴りは誰しも感じたことがあるのではないだろうか。
遠い空高くから小さな点のような飛行機が、真っ青の空に姿を見せ、段々こちらへと近づいてくる。少しずつ大きくなるその姿。
羽や機体に描かれた絵やマークに、どこの国の航空会社だろうと目を輝かせる。
世界中から降り立ち、世界中へと飛び立つ滑走路。真っ直ぐに強く伸びたのその線は、人々の好奇心を刺激し、果てのない夢を感じさせてくれる。
小さな子供から大人まで、カメラを構える人、今から大切な人を見送る人たち、いろんな想いの中でその瞬間が交差する。
遠くへ離れていく飛行機には、思いっきり手を振り、ときには涙しながら「どうか元気で、また会える日まで」とその人の健闘、成功、幸せを願ったりもする。
見たことのない景色に出会うと、心が感じたことのないような感情を生み出す。
ワクワクした高揚感に足元も自然と弾む。
日本の日常では感じられない、その国を行き交う人や空港の雰囲気。
外を出たときのまるで違う空気。カラッとしているのかジメジメしているのか澄んでいるのか場所によって全然違う。
街へのアクセスや乗り物は充実しているか。
タクシーの運転手さんは信用できるか。宿は綺麗できちんとお湯が出るか。ベッドは清潔で虫はいないか。ホテルやゲストハウスのスタッフの人たちは優しいか。
荷物を整理して外を散策してみると、その街の雰囲気と人の様子が少しだけ感じられる。
観光地化された場所ばかり巡っていると、そこで暮らす人たちの「日常」や「生活」があまり見えてこない。
立派な建築、芸術、景色は確かに素晴らしい。
せっかく来たなら見ておきたいと思って行かずにはいられないタイプである。
それに加えて、そこで暮らす人たちの日常を少しでも感じたくて、スーパーや市場、少し外れた道路(危険じゃない範囲内で)を見て周るのが好きだったりする。
食べ物はどんなものが好まれて、どんな料理の仕方なのか。
人はどんな性格の人たちが多そうか。
心は豊かで幸せそうか。国の大きさや物質的な豊かさで、人の幸せは測れない。その人の持つ目の輝きや、滲み出るオーラが幸せそうかどうか、悲しそうかどうか、苦しそうかどうか。
何かを感じるように、訴えきれない何もすることができない、もどかしさややるせなさを感じたりもしながら旅をする。
沢山の資金を使ってその土地に行き、高価なカメラやパソコンを片手にリュックを背負い、好きなものを好きなだけ食べ、綺麗なところやちょっとカオスな場所を観光し、その国を知った気になりながら、ほんの束の間の休息や娯楽を楽しむ。
恵まれない子どもたちがいる場所で、多くを稼ぐことができず働き口もあまりなく仕事を選べない人たちが沢山いる国で、チップや物乞いをせがまれると嫌がり、時には怒り除け者扱いをする人を見ると、つくづく人は勝手だと思う。
その国にお邪魔させてもらっていながら、自分は豊かで海外に行くための大金を持っていながら、そこで暮らす人たちの心の中を推し量ることもせず。じゃあ何ができるのかと言われれば、何もできない。自分だってその一人だから。
自分の内にある好奇心によって、刺激や余暇を楽しむために楽しませてもらっているだけ。
けれど、決して無力なだけではないとももちろん思っている。
バリ島の孤児院に行った時も、「親の愛情を知らない子供たちの力になりたい」と強い気持ちの上で向かったけれど、二週間で本当は何が大切で何ができるのか途方に暮れて絶望しそうになった。
結局その国の人たちのために出来ることなんて、ほんのちっぽけでしかないなんて思って自分で自分が苦しくなった。
日本に戻ればすぐに海外で感じたことも忘れ、日常の忙しさに心が向くだけなのではと。
国の違いを知ることは、視野を広げる意味で、価値観の変化ももたらす事がある。
人生が変わるとまではいかなくても、何かを知るきっかけ、気づくきっかけに。そして日本の当たり前がいかに凄いことなのか。
外の世界を知るということは、やっぱり確かに良いものだと思う。
綺麗で魅力的な国や、芸術的な文化や建物が多い国、雑貨が可愛い国、まだまだ発展途上の国、人を癒してくれる海やリゾート。
それぞれの場所で、何を求めて、何を感じるかは、人それぞれ自由だ。
私が外に出たいと思う理由は、単なる大きな好奇心が一番大きい。
そして見たことのない景色や感動に出会いたいということ。異国の文化や生活に少しでも触れたいということ。
世界中の人と出会いたいということ。
それでもまだまだ知らない世界ばかりで、歴史のことも芸術文化のことも、もっともっと知りたいという気持ちが溢れてくる。
人生においての勉強、経験、充実。
その時々での目的によって旅の仕方も随分変わってくるけれど、
これからも時間と金銭面が許す限り旅を続けていきたいし、それを記す場所があれば残していきたいと思う。
※写真はバリ島に行ったとき。
孤児院からの広がる田園風景。
可愛い子供たちの後ろ姿も夢中で撮った中の一枚。
