藤原さんの声を何日も聴いているうちに、
私は自分たち夫婦の未来を、ふと想像するようになった。


子どものいない私たちが、
80代、90代になったとき、どんな日々を送るのだろう。


藤原さんが

 


「死ぬまでにこのお金、全部使いたいのよ」

 


と言ったとき、

 


その奥にある “使えないまま残ってしまう時間” が
どこか、自分の未来と重なって見えてしまった。


お金だけあって、使えない未来。
それは、正直、少し虚しい。


そして私は思い出す。


70代になって体調を崩した母が、
お金がないわけでもないのに、
不安だけが大きく育っていったことを。


母の不安は
“足りない不安” ではなく、
“使うことへの不安” だった。



その記憶が、胸のどこかに残っていた。



■ぼーっとする時間に、こんなに回復力があるなんて!知らなかった


私はこれまで、
“ぼーっとする時間”を上手に持てなかった。


何かを生み出さないと価値がない。
誰かの役に立たないといけない。


そんなプレッシャーを
ずっと自分にかけ続けていたと気づく。


でも今回の入院で、
私はふと4階のラウンジから
遠くの山や木々を眺めながら
ただ“ぼーっとする時間”を過ごした。


周りの声をそっと遮り、
景色だけを静かに受け取る。

 





そのとき、驚いた。

身体の奥に、ゆっくりとエネルギーが満ちてくる感覚があった。


家には、こういう“ぼーっとする場所”が
実はなかったのだと気づいた。

そして思った。


家のリビングは、
映画やテレビを見る場所、だけど
本当にくつろげる場所とは言い難い。


ほんの少し違うだけで、
“受け取れるもの”はまったく変わる。
(気がする)

…この話は、また別のブログで書こうと思う。



■心地よさのグレードを上げるとは、静かな豊かさを増やすこと


私は、情報や観光を詰め込む旅行が
そこまで好きなわけではない。


でも――


同じ景色をゆっくり眺めたり、
何もせずに呼吸が深くなるような時間には、
強く惹かれる。


それが、
私にとっての“心地よさのグレードを上げる”ということだ。


 

山の緑が見えて、
海の音をぼんやり聞いて、
ただのそんなことを主人と二人で楽しむ


そんな時間を大切にしたい。



■59歳の私は、ここからこう生きていく


主人とただゆっくりとする時間をもっと持ちたい。


家の中に“休める場所”を整えたい。
良い景色を見ること、
美味しいものを食べることに、
時間とお金をしっかり使いたい。


そして――
F1を見に海外へ行く。


そのために、
体のことも、お金のことも、
具体的に計画していきたい。


知識は可能性を広げ、
理解は不安を減らす。
プロの力を借りながら、
本当に居心地の良い未来を作っていこう。


今回の入院は、
ゆっくり味をわうことの豊かさを
そっと教えてくれた時間だった。



あと数日で59歳。


ここからの私は、
心地よさを育てながら
“経験と思い出を作る人生”を選んでいく。


おわり。

 

 

 

 

 

 

 

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