アラームの音が鳴るほんの少し前、自然に目覚める。
カーテンの隙間から入る光が天井に少しだけ反射して、もう朝なのを教えてくれる。
んんって身じろぎしたら、俺の身体に回された腕がキュッと締まった。
まだ眠ってるはずなのに、自然に俺を引き止めるこの人が愛しい。
「おはよ、さとし」
眠るこの人を起こさないように小さな声で囁くように言った。
聞こえないくらいの小さな声なのに、この人はうっすらと目を開いて、ふわっと笑う。
幸せそうに笑って、顔中にキスをくれて
「おはよ、かず」
って、優しく言ってくれるんだね。
いつもの朝の風景。
二人で迎える朝は、いつも甘い。
しばらくベッドの中でいちゃいちゃして、起きてからもコーヒーを淹れる俺の腰に手を回して、後ろから抱きしめてるさとし。
時々、イタズラをする子どもみたいに首筋や肩にキスをしてくるから、くすぐったくて。
「もう、手元狂うでしょうが」
「いや、かずなら大丈夫」
「どんな自信よ。それ」
「和也のことは、おいらが一番良くわかってる」
「ふふっ」
「笑うなよ」
「笑うでしょ?」
「なんでだよ」
「だって、アンタ可愛いんだもん」
「じゃあチュウさせろや」
「ふふふ」
笑ってる俺をグルッと振り向かせて、アンタの柔らかい唇が重なった。
優しいキスだと思ってたら、いつの間にか舌の絡むキスに変わってて、なんか恥ずかしくなったから、グーパンチしてやった。