散々笑った私たちが落ち着いた頃、翔雅がそーっと差し出したのは、そらと私の大好きなPonジュース。
「とりあえず、これ、お詫びの印です。まりんが、ひまちゃん誘ったりして、マジでスミマセンでしたっ!」
「ちょっと、やめてよ。なんで謝るの?ひまちゃん可愛いんだからいいじゃん」
「お前、このタイミングで言うか、それ」
「本当の事だもん。金髪だって似合ってるよ」
「もー!お前は黙ってろっ。そら、ごめん!」
翔雅が謝りながら、まりんの頭に手を乗せてぺこりとさせてる。
そらは当たり前だ!みたいな顔で、頷いてジュースを受け取ったから、二人に座ってって声をかけた。
「とりあえず、ソファー座ってよ」
「あ、そうだな。座っていいぞ」
「なんでそんなに偉そうなのっ!」
「当たり前だろ」
「そら」
「ひまちゃん」
また言い合いになりそうなところを、まりんと翔雅の声でハッとして、思いとどまる。
「これ」
「うん」
そらから、大好きなPonジュースを受け取って、キッチンでコップに注ぐ。
ソファーから翔雅の声が聞こえてきた。
「え?あれで通じんの?相変わらずスゲーな」
「普通だろ」
「普通じゃねえよ。なあ、まりん」
「んー、しょーまはちょっと鈍ちんだもんね」
「はあ?俺のせいかよ」
「そうかも」
「お前らも、相変わらずだな」
私もジュースをお盆に乗せてソファーへ。
みんなの前にコップを置いたら、そらが「飲め」って言ってる。
「うお!やっぱうめー」
「うん。美味しいね」
「そら、どう?」
「美味い」
「そら!ジュースに免じて許して!」
手を合わせて、拝むみたいに翔雅が謝ってるけど、そらはまた、文句言いそうな顔してる。
「あのなあ、ジュースは受け取るけど、そんなに簡単に許せることじゃないぞ!」
「もういいじゃん。大体、なんでそんなに怒ってんのよ」
私の言葉に目をまん丸にしたそらは、口を尖らせてムーっとしてから口を開いた。
「あのさぁ、お前はどうゆうつもりなの?」
「なにが?」
「自覚ないわけ?」
「だから、なにが?」
「本当にわかって無いのか」
「だから、なんなのっ!」
「怒るなよ。怒りたいのはこっちの方だわ」
そらの声が急に低くなって、はあーってため息をついたから、なんだか怖くなってしまって下を向いた。
そしたら、私の頬にそらの手があてられて、そらの方を向かされる。
「な.....に...?」
「こっち向いとけ」
「離してよ」
「離すわけないだろ。お前は、俺のだろ?」
「そらっ!」
「なんだよ?」
「それは.....」
「俺、隠すつもり無いぞ。俺とお前のこと」
やけに男らしい顔できっぱり話すそら。
そんな顔ズルイ。
本当にズルイ。