あれ、なんなんだ。
どうゆうつもりなんだ。あいつは。
あんな歌って、あるか?
新しいアルバムのCDが出来上がったって、マネージャーから全員に手渡されたのは昨日の撮影の後。
2週間前、レコーディングが終わったと帰ってきたかずは、ご機嫌だった。
「ただいま~」
「おお」
「なによ、おおって。おかえり~とか、待ってたよとか、ないの?いや、あるわけないか........ごめん。期待した俺がバカだった」
なんかすげー散々な言われ方してるけど、顔はニコニコだし、声は弾んで楽しそうだから、いつもの天邪鬼なんだろう。
そうゆうとこが可愛いとか思うおいらも相当お前にやられちゃってるんだろうな。
言うだけ言って、さっさと鞄を下ろして、手を洗いに行ったかずを追いかける。
洗面所で「冷たっ」て言いながら手を洗うかずの腰に後ろから手をまわした。
グッと抱きしめたら「あんっ」って、可愛い声。
とたんに熱があがる。
かずの匂いと声。
抱きしめた華奢な腰。
こいつはおいらのモンだって、刻みつけたくて甘い吐息を感じたくて、首筋に鼻を擦りつけた。
「あっ、もう。やだっ....あんっ」
甘い声
やだってセリフがちょっとイラっとしたから、首筋をペロリと舐めてやった。
途端に、甘い甘い声で啼きはじめた。
その声に煽られて、もう我慢なんて出来ない。
かずの膝の裏に手を伸ばして抱き上げた。
びっくりしてまんまるな目をしてる。
それでも、甘えるようにおいらの首に腕を回して、ぎゅっと抱きついてきた。
おいらの肩にかかるかずの息が熱くて、かずもおいらを欲しがってくれてるって分かる。
「行くぞ」
おいらの声にコクンと頷いたかずを抱いて、寝室の扉を開けた。