俺は、今月16歳になる。
高校は、正直言ってあんまり楽しくない。
翔くんが行っておいた方が良いって言うから、そんなもんかと思って進学した。
だけど通い始めた高校は、面白いことなんてほとんどなくて、唯一良かったことは気の合う友達が出来たこと。
そいつは古くからの伝統を受け継ぐ家に生まれて、やっぱり色んな思いを抱いてて、俺の鬱々とした気持ちとそいつの気持ちがシンクロして、あっという間に家にも遊びに行くような仲になった。
おじさんは、ものすごい大物なのに、気持ちの柔軟な人で、俺とソイツがやんちゃなこと言ったりやったりしてても
「人様にだけは迷惑かけるなよ」
って言うだけで、いつもニコニコ笑ってくれてた。
兄ちゃんは、めちゃくちゃ真面目で、真っ当な人で、親友のそいつとは本当に兄弟なのかと思うくらいタイプが違って見えた。
兄ちゃんは優しくて努力家で、俺が生意気言ってると、いつも笑って叱ってくれた。
「潤、そうゆう言い方は良くないよ。お前はそうゆうつもりじゃなくても、相手にお前が悪く思われる。損するのはお前なんだからね」
そんな風に言ってくれる人は、兄ちゃんくらいで、いや、翔くんも似たようなこと言ってくれてるけど、どうしても素直に聞けなくて、いつも黙りこんでしまう。
嫌な顔ひとつしないで
「まあ、わかってるよな。ごめんな、説教くさくて」
なんて言って、ポンって俺の肩を叩いて、雅紀やカズのところに行っちゃう。
結局いつも、なんにも言えないで終わってしまう会話に、自分のせいだってわかってるのに、イライラしてみんなに八つ当たりしてしまう。
だから、少しずつメンバーと距離をとって、あんまり話さないようになってた。
その分、親友の家に入り浸っていた。