昨日Twitterにおいてお約束しておりました
旧歌舞伎座において私が昔いたしておりました『ボテ』の運び方をこちらでご紹介します
このツイートを拝見して
— 中村芝のぶ (@wakasibakai) December 2, 2020
旧歌舞伎座の階段を思い出し…
そしたらエレベーターや台車の無い時代に
どうやって師匠の荷物を運び出していたかを
思い出しました(笑)
今では考えられない技がありましたので
時間があれば簡単な絵の解説付きで
アップしてみようと思いますhttps://t.co/qMJ0oAFgM3
皆様にとっては『ボテ』と言われても耳馴染みのない言葉だと思いますが
歌舞伎や文楽などで昔から使われておりました非常に丈夫な行李?みたいなもので
ここに楽屋の備品や衣装などをキツキツに詰めて(中でモノが暴れると壊れたりするため)
劇場から劇場へ移動する運送時に使います
こんな感じ(雑な絵ですみません💦)のものです
竹や金具に木の角材 丈夫な麻布などでできており
通気性がよく頑丈で
巡業先ではこれを開けたものを積み上げて棚変わりにもできる便利なものです
今は作る職人さんが激減してしまい
ボテを使う役者さんもだんだんと数が減ってまいりました
丈夫で便利なのですが
これが重いのです!💦
何も入れてなくてもまあまあな重さがあるのですが
荷物を入れると人一人分くらいの重さになってしまうことも…
ですからこんなもち方は勿論できません(腰を痛めます)
そして昔の歌舞伎座にはエレベーターがございません(笑)
二階の楽屋へ師匠が入られることになると
台車も(入門当時は台車もありませんでした)エレベーターも使えないため
こんな風になってしまうためかなり力持ちの方でも難儀します
ですので二人がかりで協力して運んだり
誰かにこのように持たせてもらったりするのです
ところがこの持ち方を一人でできてしまう方法があるのです
私の兄弟子だった芝光さんという方が(今は中村 芝皐というお名前で舞踊家をされてらっしゃいます)
「おい芝のぶ、こんなの一人で担げるんだぜ」
とおっしゃると私の目の前で軽々と背中に背負い上げてしまいました
それはどのようにかと申しますと…
まずボテをこのように体の前に立てます(この時ボテにぐっと片膝を当てます)
そして手前にグッと引き寄せた瞬間
鉄棒の蹴上がり?のような要領で(例えが合ってるか分かりませんが)
膝で押し上げながら背中の上へ転がすように背負い上げます
今書いていても本当にこんな事できるのか疑わしくなってきますが
コツを掴めば意外と楽で
私も名題になるまでは結構この持ち方でボテを運んでおりました
かなり重いボテでもこれなら小走りに運んだりできます
又階段を降りるのも大丈夫です
(大分昔の話ですので背負い方に細かい違いはあるかも知れません)
慌てて描きましたのでお粗末な絵になってしまい申し訳ございませんでした
皆様におかれましてはこの運び方を試される場合は
周りに人はいないか
ぶつかるものは無いかをよく確認した上でお試しくださいませm(__)m